値上げラッシュで物価高がより深刻化した2025年。その一方で野村総合研究所の調査によると、日本の富裕層(純金融資産保有額1億円以上5億円未満)と超富裕層(同5億円以上)は2013年以降、一貫して増加傾向にあり、2023年の世帯数は合計約165万世帯で、資産の総額は約469兆円と推測されている(2025年2月13日、野村総合研究所ニュースリリースより)。
このように富裕層の増加に伴って、需要が高まった富裕層向けのクレジットカード。2025年は相次いで新しいクレカが登場し、話題となった。この傾向は来年以降も続くと思われる。
JAL最高峰の『JAL Luxury Card』と『JAL Luxury Card Limited』
2025年に登場したクレカの中で一番インパクトがあったのが、日本航空がBlack Card I(ラグジュリーカード)とアプラスと連携して発行した、JAL最高峰のメタルカードの『JAL Luxury Card』と『JAL Luxury Card Limited』だ。
年会費は『JAL Luxury Card』が24万2000円。完全招待制の『JAL Luxury Card Limited』は59万9500円と、一瞬、耳を疑う金額だが、その分、付帯する特典やサービスが充実している。
まずJALの特典としては、JALの搭乗時に特別なサービスが利用できる「FLY ON プログラム」のステイタスが得られる。『JAL Luxury Card』は「JMBクリスタル」、『JAL Luxury Card Limited』なら「JMBサファイヤ」のステイタスになり、搭乗時にボーナスマイルがもらえたり、専用カウンターでのチェックイン、国際線機内Wi-Fiサービスの利用、国内外の空港ラウンジの利用などのサービスが受けられる。
FLY ON ポイントはJALグループ便に搭乗したときのフライトマイルをもとに積算されるもので、本来、「JMBクリスタル」には3万FLY ONポイントまたは30回の搭乗と1万FLY ONポイント、 「JMBサファイヤ」には5万FLY ONポイントまたは50回の搭乗と1万5000FLY ONポイントが必要になる。それらがカードを持っているだけで達成できるのだ。
『JAL Luxury Card Limited』なら毎年、5万FLY ONポイントがもらえるので、自分でためているポイントに加算して、さらに上位のステイタスである「JGCプレミア」や「JMBダイヤモンド」を狙うこともできる。
一方、提携する『Luxury Card』はMastercardの最上位クラスである「World Elite」に対応。年会費が5万5000円の『Titanium Card』、11万円の『Black Card』、22万円の『Gold Card』、完全招待制の『Black Diamond』の4つのカードラインナップを揃える。
その中で『JAL Luxury Card』は『Black Card』相当レベル、『JAL Luxury Card Limited』は『Gold Card』相当レベルとなり、24時間365日対応のコンシェルジュデスク、148か国600都市以上の空港ラウンジで利用できる『プライオリティ・パス』、2名利用で1名無料のダイニング優待など、様々な特典が利用できる。
JALグループ便の搭乗だけでなく、旅行やダイングなど、幅広いジャンルの特典が利用できるだけに、JALマイラーやJALのステイタスホルダー以外からの注目度も高い。
Visaの最上位ランクの『三井住友カード Visa Infinite』
三井住友カードからは、一般申し込み可能なカードとしてVisa最上位の『三井住友カード Visa Infinite(インフィニット)』が国内初登場した。年会費は9万9000円。同社史上、最も高額な新規入会や継続特典が得られる。
新規入会月の3か月後月末までに100万円以上のクレカ利用をすると、Vポイントが10万ポイントもらえる。そして翌年以降は毎年、前年の年間利用金額が400万円以上であれば4万ポイント、700万円以上であれば11万ポイントが付与される。条件を達成することで、年会費分以上のポイントが手に入る可能性があるというわけだ。
セブン-イレブンやローソン、マクドナルド、スターバックスなど、対象のコンビ二や飲食店でスマホのVisaのタッチ決済やモバイルオーダーで支払うと、7%ポイント還元という特典もある。
そして注目したいのが、このカードならではの特別体験だ。例えば2026年6月開催の「FIFA ワールドカップ26」では、特別観戦チケットを用意するほか、選手のサイン入りアイテムのプレゼント、日本代表の堂安律選手のスペシャルイベントの招待などを予定する。
このようなVisaのスポンサーシップを活用したイベントに加え、中華料理の脇屋友詞シェフとパティシエの鎧塚俊彦シェフとの特別コラボコース、日本のゴルフ界をけん引する石川遼との特別ラウンドなど、ダイニング、音楽・観劇、アート、趣味・レジャーの4つのジャンルにおいて、年間50回以上の会員限定イベントを開催。唯一無二の体験をすることができる。
年会費分のポイントを獲得するためには、年間700万円以上のクレカ利用が必要になるが、キャッシュレス決済の普及に伴って、クレカで決済できるものが増えている。年間700万円以上の支出があるファミリー層なら、検討してみてもいいのではないだろうか。
2026年も富裕層向けのクレカが相次いで登場
三井住友カードは2026年5月に、『Olive Infinite』の発行を予定。これは前述の『三井住友カード Visa Infinite』の特典に加え、三井住友フィナンシャルグループの総合金融サービス『Olive』の特典も受けられるというもの。三井住友銀行やSBI証券のサービスを利用することでもポイントが貯まるので、『Olive』を利用している人や利用したい人は、このクレカの発行を心待ちにしたい。
2026年にはこのほか、『ニューオータニクラブ ダイナース プレミアムカード』が5月に発行開始予定。ホテルチェーンのニュー・オータニとダイナースクラブカードを発行する三井住友トラストクラブの提携カードで、年会費2万4200円の『ニューオータニクラブ ダイナースカード』の上位カードになる。
ホテルニューオータニの中の5つ星ホテルである「エグゼクティブハウス 禅」のフリーステイ(1泊分/年)や、直営ホテルの部屋のアップグレードなど、独自のサービスを提供。24時間365日対応のコンシェルジュサービスや、銀座プレミアムラウンジと大阪梅田プレミアムラウンジの利用など、ダイナースクラブカードの特典も受けることができる。
『Olive Infinite』や『ニューオータニクラブ ダイナース プレミアムカード』はいずれも年会費やカードデザインなど、詳細は明らかにされていないが、すでにわかっている特典だけでも魅力的な内容だ。
富裕層に向けたクレカは今後、ますます充実していくことが予想される。2026年の動向にも注目しておきたい。
文/綿谷禎子







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