クレジットカードなどで電車やバスなどの公共交通機関に乗ることができるタッチ決済乗車。日本では2020年7月、Visaのタッチ決済を茨城交通が導入したのが始まりで、今では45都道府県の195の公共交通事業者が導入を公表するなど(2025年12月19日時点)、日本全国に広がっている。
目的は利用者の利便性向上で、事前にチケットを購入したり、紙幣を両替する手間なく、対応するクレカを専用端末にタッチするだけで乗車できる。インバウンド観光客の利便性はなおさらで、券売機や窓口に長い行列を作ることなく、普段使っているクレカを使って乗車が可能だ。
大阪・関西万博を開催した関西エリアでは、2024年10月にOsaka Metro、近畿日本鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道の4社が導入。すでに利用可能な8社と合わせて12社が対応し、各鉄道事業者をまたがる相互直通利用も可能になった。2025年9月の月間利用者数は、2024年10月と比べて15倍以上になるなど、関西エリアでのタッチ決済乗車は大幅に拡大。この勢いが2026年には首都圏にもやってくる。
首都圏の鉄道会社11社が相互直通運転に対応
首都圏では鉄道事業者11社が、2026年春以降の開始を目指して、タッチ決済乗車の相互直通利用を共同で進める。
対象となる事業者は、小田急電鉄、小田急箱根、京王電鉄、京浜急行電鉄、相模鉄道、西武鉄道、東急電鉄、東京地下鉄(東京メトロ)、東京都交通局(都営地下鉄)、東武鉄道、横浜高速鉄道の11社。
対応する国際ブランドは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯の7ブランドを予定している。
相互直通利用を開始する各事業者の対応状況は以下の通りだ。
タッチ決済乗車は交通系ICカードとどう違う?
公共交通機関にタッチ決済で乗車するには、対応のクレカやデビットカード、プリペイドカードで、自動改札に設置されている専用端末にタッチする。対応のカードをスマホのAppleウォレットやGoogleウォレットに登録すれば、スマホのタッチでも利用することができる。
SuicaやPASMOといった交通系ICカードとはタッチする部分(端末)が別になるものの、動作的には同じようなイメージだ。
異なるのは交通系ICカードが事前チャージなのに対して、タッチ決済乗車の場合、クレカやデビットカードなら事前のチャージが不要。クレカは後払いになり、デビットカードなら利用と同時に口座残高から引き落としになる。
交通系ICカードもクレカと連携しておくことでオートチャージが可能になり、チャージ残高を気にすることなく利用できるものの、タッチ決済乗車は事前に何らかの登録をすることなく、いつものカードですぐに利用できるところが利点だ。
一番大きな違いは、交通系ICカードは通勤や通学時の定期券として利用できるが、タッチ決済対応のカードは現状、定期券利用ができないこと。また、子ども運賃に非対応で、子どもでも発行できるプリペイドカードで乗車した場合には、大人料金になってしまう。そのため子ども連れの場合は、子ども用ICカードや切符を利用する方が安くすむ。
タッチ決済乗車のメリットと注意点
タッチ決済乗車のメリットは、前述したように対応のカードを持っていれば、事前にチャージや登録する手間なく、すぐに利用できるところ。たまに残高不足のために改札で足止めされている人を見かけるが、クレカなら後払いになるので、そのような心配がなくなる。電車やバスだけでなく、ケーブルカーやロープウェイ、フェリーなど、様々な交通機関で利用できるところも利点だ。
2025年10月には沖縄県の西表島と由布島を結ぶ水牛車でも、タッチ決済の利用がスタート。導入コストが比較的安価なことから、ローカルな交通機関での採用も多い。もちろん海外でも利用でき、切符を購入せずに乗車できるので、現地の言葉や券売機の操作に悩むこともない。
電車やバスなどの移動に利用した時に、クレカのポイントが貯まるというメリットもある。現金で切符やチケットを購入するよりもお得だ。そして事業者によっては、1日に複数回乗車しても、1日の上限金額以上の運賃が請求されないケースもある。通常は事前に1日券を購入するものだが、その料金が自動で適用されるのだ。多く乗車した時に、特に意識しなくても自動でお得な運賃になるのは嬉しいサービスだ。
タッチ決済乗車は特定のクレカの利用や地域限定で、お得なキャンペーンが実施されることも多い。例えば現在は、三井住友カードが全国36路線を対象に、「スマホのVisaのタッチ決済乗車で7%還元キャンペーン」を2026年1月31日まで実施中(詳細は要確認)。こういったキャンペーン情報をマメにチェックしておくことでも、得できることが多い。
一方で注意したいのが、タッチ決済に対応している駅でしか利用できないことだ。乗車駅では対応していても、降車駅が対応していないケースもある。その場合、現金など、別の支払い方法に変更する必要がある。
また、対応している駅でも、全ての自動改札機にタッチ決済用の端末が設置されているわけではない。中には対応する改札機が、駅の一部の出口にしか設置されていないこともある。初めて利用する駅などでは、どこに対応する改札機があるのか調べておくと、実際に利用する時に慌てなくていい。
首都圏では相互乗り入れしている電車が多いが、現時点では、複数の鉄道会社をまたいだ利用に対応していないことが多い。行き先に応じて、利用する電鉄会社の対応などを調べておく必要がある。とはいえ2026年春以降、タッチ決済乗車の相互直通利用がスタートすれば、スムーズに利用できるようになるだろう。
2026年、急拡大する首都圏のタッチ決済乗車。キャンペーンも多く実施されそうなので、今から準備しておくのがおすすめだ。
文/綿谷禎子







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