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「バットマン」のコスプレを見ると、優しくなれる科学的理由

2025.12.29

ファン待望の「バットマン2」は2027年10月公開

2022年3月4日に全米公開、日本では2022年3月に公開されたスーパーヒーロー映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(原題:The Batman)は、コロナ禍で2度延長されての公開となり、公開後は続編の具体的な発表はしばらくなかったのだが、2025年に入って続編となる『THE BATMAN-ザ・バットマン-2』(原題:The Batman Part II)の撮影が決定したことがアナウンスされている。

公開が2027年10月1日に設定された「バットマン2」だが、スコットランド紙「The Herald」によると、同作はすでにプリプロダクションに入っており、2026年1月に主にイングランドのワーナー・ブラザース・スタジオ・リーブスデンで撮影が開始される予定だとの情報もあるようだ。

前作同様、ロバート・パティンソンが主人公を演じるが、新たにスカーレット・ヨハンソンが起用される可能性が発表されている。一説によるとヨハンソンは悪役のハービー・デント(トゥーフェイス)の妻、ギルダ・ゴールドを演じるということだ。長らく待たされ続けたファンだが、まずは来るべく新作への光明が見えてきたことになる。

コミックスとスクリーンの中の存在であるバットマンだが、もしもこのスーパーヒーローを退屈な日常生活の中で目撃すると何が起きるのだろうか。興味深い新たな研究によると、バットマンが電車内に乗り込んでくると、そこに居合わせた人々の正義感が高まり、利他的になって周囲に親切になることが報告されている。バットマンを目撃した乗客が妊婦さんに席を譲る確率が有意に高まったのだ。

地下鉄に突然バットマンがあらわれたら!?

イタリア・ミラノのサクロ・クオーレ・カトリック大学の研究チームが2025年11月に「npj mental health research」で発表した研究では、バットマンのような予期せぬ存在の突然の出現が日常生活の予測可能性を崩し、人々をルーティン状態から解放し、今この瞬間に向き合わせることが示唆されている。

向社会的行動、つまりマナーを守ったり困っている人を助けたりする行為は社会生活において人々に求められているが、そのような行動を引き起こす自発的な環境要因についてはほとんど研究されていない。

この研究ではバットマンの格好をした者の出現などの予期せぬ出来事が日常生活を中断させ、人々に今この瞬間への注意を高めさせることで、向社会的行動が増加するかどうかを検証した。

研究チームはミラノの地下鉄で実験的なフィールド調査を実施し、バットマンのコスチュームに扮した者が電車に乗り込んできた際の138人の乗客の行動を観察した。バットマンが乗り込む直前には妊婦さんに扮した女性が観察者と共に電車に乗車した。

バットマンの存在で周囲への気遣いができる

乗客の行動を観察すると、バットマンが乗り込んできた後に乗客が妊婦に席を譲る有意な傾向が見られた。バットマンが存在する状況で席を譲った乗客は67.21%(3人中2人以上)であったが、バットマンがいない対照実験では37.66%(3人中1人強)であった。

さらにバットマンがいる状況下で席を譲った人の44%がバットマンを見ていないと報告している。おそらくその多くは視界の片隅でバットマンを見ていたが、錯覚や見間違いとして見落としたと考えられるという。

研究結果はバットマンが出現するなどの予期せぬ出来事が、無意識レベルであっても向社会性を促進する可能性があることを示唆しており、公共の場で親切心を発揮しやすくなることにも繋がっている。しかも積極的な関与を必要とする従来のマインドフルネス介入とは異なり、この研究は日常的なルーティン状況の中断だけで同様の効果を生み出せる可能性がある。

バットマンの出現という目新しさと予測不可能性によって向社会的行動が促進される潜在的なメカニズムが示唆されており、注意の変化と社会的反応を結びつける理論を補強する研究結果となったといえる。

コスプレイヤーは場を和ませる!?

さらに今回の研究はスーパーヒーローの姿が、文化的価値観、性別の役割、そして騎士道的な援助の規範との関連性を強めた可能性もあるという。これはスーパーヒーローに関連する「プライミング効果(priming effect)」に関する研究と一致している。

プライミング効果とは、事前に与えられた情報(先行刺激)が無意識のうちに、その後の判断や行動に影響を与える心理効果のことで、たとえばカレーの匂いを嗅いだ後に実際にカレーを食べたり、スーパーで流れる宣伝の音声で商品選択が変わるなど、マーケティングや日常生活で広く見られ、その多くは無意識レベルで起きて起きていると考えられている。

つまりバットマンの姿は向社会的なプライミングの役割を果たしている可能性があることになる。バットマンの突然の出現は人々を日常から解き放ち、周囲への気配りを促し親切な行動に促すとすれば、ひょっとすると“コスプレイヤー”は公共の場をぬくもりのある和みの環境に変えられるのかもしれない。

※研究論文
https://www.nature.com/articles/s44184-025-00171-5

※参考記事
https://neurosciencenews.com/superhero-altruism-social-behavior-29962/

文/仲田しんじ

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北海道生まれ東京育ち。学業ドロップアウト後、小説家を志しつつ広告代理店営業マン、任期制陸上自衛官、家電販売員などを経て経て出版業界へ。アスキーなどで編集者として勤務した後、フリーライターとして活動。科学から心理学まで幅広いテーマを執筆。ネット上の研究論文を読むのが趣味。大型自動二輪免許を持っている。 X: @nakata66shinji

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