仕事、健康、お金、人間関係。忙しい毎日の中で、人生全体を俯瞰する時間を持てているだろうか。『最速で夢をかなえる! すごろくノート術』著者・原麻衣子氏に、2025年を振り返りながら現在地を把握し、2026年のQOL(生活の質)を高めるための実践的な使い方を聞いた。
ライフチャートは「満足度」を軸に、人生を俯瞰する自己分析ツール
ライフチャートとは、人生を「仕事」「お金」「健康」「家族・大切な人」「人間関係」「生活環境」「楽しみ」「自己成長」といった8つのジャンルに分け、それぞれの“満足度”を10点満点で数値化し、円グラフ状に可視化する自己分析ツール。
特徴は、成果や達成度ではなく「自分がどれだけ満足しているか」を基準に点数をつける点にある。仕事で成果を出していても、心身が疲弊していれば満足度は低くなる。逆に、数字には表れにくい充実感や納得感が高ければ点数は上がる。この“思考”と“感情”の両方を使う設計が、従来の自己分析との大きな違いだ。
円として描かれることで、人生全体のバランスが一目で分かるのも特徴のひとつ。「仕事だけが突出している」「健康が極端に低い」など、文字だけの振り返りでは気づきにくい偏りが可視化される。
ライフチャートの基本ステップ(年末年始振り返り版)
ステップ1:2025年の満足度を直感で採点する
8つのジャンルそれぞれについて、10点満点で直感的に点数をつける。考え込まず、最初に浮かんだ数字を書くことが重要。0.5点刻みや10点超えでもOK。
ステップ2:点数分を塗り、全体を可視化する
円グラフ状に塗ることで、全体のバランスが視覚的に把握できる。
ステップ3:そのジャンルを象徴する出来事を書く
「転職した」「入院した」など、その点数をつけた大きな要因となる出来事や課題を書く。
ステップ4:全体を俯瞰して気づいたことを書く
「円がガタガタ」「生活環境の満足度が低い」など、感じたことを簡単に書き出す。
ステップ5:理想とする2026年の満足度を書く
2026年にどうありたいか(何点でいたいか)を同じチャートに描く。2025年と別の色を使うと、現在と未来のギャップが一眼でわかる。このギャップはこれからの“伸びしろ”となる。
ステップ6:満足度を上げたいジャンルを2つ選ぶ
すべてを変えようとせず、特に満足度を上げたいジャンルを2つに絞るのがポイント。
ステップ7:プラス1点のためのベイビーステップを決める
大きな目標ではなく、「1点上げるためにできる小さな行動」を考える。2~3日でできそうで、「やりたい」と思える行動であること。たとえどんなに簡単なことでも、やりたくない行動は続かない。必要だけど気分が上がらない行動には、好きな音楽やご褒美などを組み合わせる工夫も有効だ。
原氏が強調する注意点は大きく2つある。
1つ目は、「人の目を意識しないこと」。見栄や理想で点数をつけてしまうと、現状把握がずれ、未来もずれてしまう。誰にも見せる必要はない。自分のためだけのワークだ。
2つ目は、「落ち込まないこと」。点数が低いのは失敗ではなく、現状に気づけた証拠。上がる余地があると捉えることが重要。
15分のセルフチェックで人生のパフォーマンスを上げる
ビジネスパーソンは、どうしても仕事や成果に意識が偏りやすい。特に多忙な時期ほど、健康や家族、楽しみの優先順位は下がりがち。しかし、ライフチャートで全体を俯瞰すると、仕事のパフォーマンスは仕事以外の要素と密接につながっていることに気づく。
健康が整えば集中力は上がり、心に余裕が生まれれば周囲への配慮や提案力も高まる。結果として、仕事の成果にも好影響をもたらす。原氏は「ライフの充実が、仕事のパフォーマンスを底上げする」と語る。
さらに、ライフチャートは15分程度で完結する手軽さも魅力。今回は、年末年始の振り返りとして活用する方法を紹介しているが、2025年と2026年の対比を、現在と未来の対比にすれば、3カ月に1度の定点チェックとしても取り入れられる。
完璧を目指す必要はない。まずは現状を知り、プラス1点の行動を決めるだけでいい。その小さな一歩の積み重ねが、2026年のQOLを確実に引き上げていく。忙しい日々の中にこそ、自分の人生を俯瞰する15分を取り入れてみてはいかがだろうか。
【取材協力】
原麻衣子氏
株式会社メイクステージ 代表取締役社長、女性起業支援コーチ
『最速で夢をかなえる! すごろくノート術』著者
https://makestage.com/index.aspx
取材・文 / 岡のぞみ







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