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1日8缶で脳卒中に!?エナジードリンクの過剰摂取に医師が警鐘を鳴らす理由

2025.12.29

エナジードリンクの過剰摂取は脳卒中リスクを高める?

エナジードリンクは活力や元気をもたらすかもしれないが、飲み過ぎは深刻な脳卒中リスクを招く可能性があるとして、医師らが警鐘を鳴らしている。

「BMJ Case Reports」に12月9日掲載された英ノッティンガム大学病院のMartha Coyle氏とSunil Munshi氏による症例報告によると、毎日8缶のエナジードリンクを飲む習慣があった健康で体力もある50代の男性が、その危険性を、身をもって知ることになった。

報告によると、この男性は極めて高い血圧が原因で軽度の脳卒中を起こし、永久的なダメージを受けた。男性の血圧はエナジードリンクを飲む習慣をやめた後、正常に戻ったという。

英国のノッティンガム大学病院NHSトラストで治療を受けたこの男性は、「エナジードリンクを飲むことで、自分にどんな危険が及んでいるのか全く認識できていなかった」と当時を振り返っている。また、「8年たった今でも、左側の手と指、足とつま先にしびれが残っている」と言う。

症例報告によると、この男性は突然の左半身の脱力、しびれ、バランス感覚の低下、歩行障害、嚥下障害、言語障害で病院に搬送された。

入院時の血圧は、収縮期血圧(SBP)が254mmHg、拡張期血圧(DBP)が150mmHgで、健康な人の血圧(SBP 120mmHg、DBP 80mmHg以下)を大きく上回っていた。脳画像検査からは、感覚や運動機能に関わる脳の部位である視床で脳卒中が起きていたことが明らかになったという。

搬送後、男性には降圧薬の投与が開始され、収縮期血圧は170mmHgまで低下した。しかし、自宅に戻ると再び血圧が上昇し、医師が薬を増量しても下がらなかった。そこで、いくつかの質問をしたところ、彼は平均で1日8缶のエナジードリンクを飲んでいることを打ち明けた。

医師らによると、男性が飲んでいたエナジードリンクには1缶当たり160mgのカフェインが含まれており、1日のカフェイン摂取量は合計1,200~1,300mgになる。

なお、推奨されているカフェインの1日当たりの最大摂取量は400mg以下とされている。男性は、医師からエナジードリンクの摂取をやめるよう強く勧められ、それに従ったところ、血圧は正常に戻り、処方薬も不要になった。

医師らは症例報告の中で、エナジードリンクに潜む危険性を理解している人は少ないことを指摘している。Coyle氏らは、「2018年には英国の大手スーパーマーケットが、肥満や糖尿病、虫歯の対策として16歳未満へのエナジードリンク販売を自主的に禁止した。しかし、虚血性脳卒中や出血性脳卒中を含む心血管疾患のリスクが上昇する可能性については、あまり検討されていない」と述べている。

今回の報告によると、エナジードリンクには高濃度のカフェインが含まれているが、他の成分にも“隠れカフェイン”が含まれている。

例えば、ガラナにはコーヒー豆の2倍の濃度のカフェインが含まれているという。また、カフェインと、タウリンやガラナ、高麗人参、グルクロノラクトン、砂糖など他の成分との相互作用が血圧に強い影響を及ぼし、脳卒中リスクを高める可能性があると医師らは指摘している。

こうしたことを踏まえて医師らは、「原因不明の高血圧がある患者には、エナジードリンクの摂取について確認すべきだ。生活指導にはエナジードリンクという心血管リスク因子についての話も含める必要がある」と注意を促している。

研究グループは、今回の報告が単一症例のみに基づいたものであることを認めつつも、彼らが抱く懸念には医学的に妥当性があると説明し、「現時点のエビデンスは決定的なものではない。しかし、蓄積されつつある研究文献、脳卒中や心血管疾患に関連する高い疾病負担と死亡率、すでに十分に立証されている糖分の多い飲料による健康被害を考慮すると、エナジードリンクの販売規制強化や広告キャンペーン(その多くが若年層をターゲットとしている)の見直しは、将来の脳血管および心血管の健康に有益である可能性がある」と結論付けている。(HealthDay News 2025年12月10日)

Copyright (C) 2025 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: best_shop/Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://casereports.bmj.com/content/18/12/e267441

Press Release
https://bmjgroup.com/heavy-energy-drink-intake-may-pose-serious-stroke-risk-doctors-warn/

構成/DIME編集部

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