仕事中のランチは、午後からの活力につながる重要なもの。ただ昨今の物価高もあり、ランチに使う予算を減らしている人も多いのでは? そんな時、お手頃価格で食べられるランチがオフィスにあれば、社員や従業員の幸福度もアップするかもしれない。
老舗食品メーカーがオフィスランチ市場に参入
中華まんやカレー、月餅などを展開し、“新宿中村屋”でおなじみの株式会社中村屋は、新たにオフィス向け常設型社食サービス『Office Stand By You』を立ち上げた。
1901年創業の老舗食品メーカーが、昨今の物価高やオフィス回帰に伴う“ランチ事情の変化”を受け、新たな市場へ挑戦する。
1901年にパン屋として創業した中村屋は、1904年に日本で初めてクリームパンを考案。1909年には現在の新宿に支店を移し、110年以上歩みを続けてきた。
1927年に新宿東口に百貨店が進出してきたことを受けて、「中村屋のオリジナルの価値を届けていくため」に喫茶部(レストラン)を開設。レストラン部門も2027年に100年目を迎える。
このレストラン部門からインドカリーや月餅、中華まんじゅうなどの伝統商品が生まれた。2000年代になると、インドカリーのレトルト提供をスタートし、レトルト加工食品も展開するようになった。
そして今回、中村屋が新たに始めたのが『Office Stand By You』。企業向けのサブスクリプション型社食サービスだ。専用の什器、カップ、スプーンと共に、中村屋こだわりのスープがオフィスに常設される。
最大の特徴は「常温保存が可能」であること。従来の社食サービスでネックとなっていた冷蔵庫や冷凍庫の設置が不要で、省スペースかつ管理が容易(賞味期限は製造から1年)という利点がある。
従業員は食べたい時に電子レンジで90秒温めるだけで、本格的なスープを味わうことができる。福利厚生として導入企業が費用を負担するため、価格帯は1食100円~200円程度を想定。QRコードで簡単に購入できるため、オフィスで手軽に利用できる。
ランチタイムの混雑と物価高を救う「第3の賃上げ」
企画を担当した文化・事業創造室の石原広大課長は、開発の背景として「オフィス回帰によるランチタイムの混雑」や「物価高」を挙げた。
コンビニのおにぎりや持参した弁当など、簡素になりがちなオフィスの食事にスープを「プラス1品」することで、栄養バランスの改善と満足度向上を狙う。
また企業側にとっては、従業員の健康管理(健康経営)や、給与以外の形で還元する「第3の賃上げ(福利厚生)」としての導入メリットを強調した。
ボルシチやクラムチャウダーなど6種類 「テイスター制度」を設けたこだわり
本サービス最大の強みは「味」にある。開発を担当した食品開発部のシェフ・金谷将史氏は、元レストランシェフとしての経験を活かし、レトルトでありながら素材の食感や風味を損なわない製法にこだわったと語る。
シェフ揃いの商品開発部が味を評価し、社長の承認を得なければならない厳しい「テイスター制度」を設け、クリアしたメニューのみがラインナップされる。
こだわりの商品は、全6種類。
・ボルシチ: 創業者がロシア文学者との交流から生み出した伝統メニュー。1食で1日に必要な野菜の1/3が摂取でき、ビーツをピューレではなく煮込んで溶かすことで自然な甘みを引き出した。ゴロゴロとした具材と酸味のあるスープがマッチし、本格的な味わいに。
・クラムチャウダー: オーシャンクラムの旨味と生クリームの濃厚さが特徴。パンとの相性が抜群。
試食してみて筆者が一押ししたいのが、このクラムチャウダー。大粒のオーシャンクラムは歯ごたえをしっかり感じられ、中から旨味が溢れてくる。そのままでも十分美味しいが、パンやお米と合わせるのもオススメ。
・ビスクスープ玄米: オマール海老と紅ズワイガニのエキスを凝縮。玄米入りで小腹満たしや朝食にも最適。
玄米入りなのでこの一袋だけでもお腹がいっぱいになる。オマール海老の風味で高級感も感じられた。
・スープカリー: 中村屋の代名詞であるカリー技術を結集。3種の出汁(鰹・昆布・オマール海老)とガラムマサラを使用し、ゴロっとした野菜が入った本格派。
「さすがカリーの中村屋!」と思わせてくれた一品。スパイシーでコクがあり、出汁のうまみがしっかりと感じられる。レンコンやニンジンなどの具材がかなり大きいため、満腹感も満たされた。ご飯やカレーと一緒に食べると、本格的なカレーランチになる。
・ミネストローネ:9種の具材と押し麦の完熟トマト仕立て。1日の3分の1の野菜使用。
野菜たっぷりでシャキシャキとした歯ごたえを感じられる。押し麦も入っているため、プチプチとした食感も楽しめる。
・オニオンスープ: 伝統のインドカリーと同じ淡路産玉ねぎを使用。食感が残る玉ねぎと溶け込む玉ねぎを使い分けたこだわりの一品。1日の3分の1の野菜使用。
(※1日の野菜摂取量の目安は350g(厚生労働省「健康日本21」より)
どのスープも本格的な味わいで、1袋でお腹が満たされるもの。オフィスだけでなく、コンビニなどで一般販売してほしいほどクオリティの高い内容だった。
すでに10社が導入 「次の100年」に向けたプロジェクト
同社の島田裕之社長は、「創業以来、中村屋はクリームパンの考案やインドカリーの提供など、常に新しい食文化を作ってきた」と語る。
今回の新規事業を「次の100年に向けて、社会課題を解決しつつ中村屋らしさを形にするプロジェクト」と位置づけ、レストランの味をオフィスへ届けることで「働く人々の心と体を温めたい」と意欲を語った。
11月から順次導入が始まっており、すでに10社ほど導入している。石原氏によると、導入企業からは「食事が楽しみになった」「社内のコミュニケーションが増えた」といった好評の声が上がっているという。
味にこだわりを持つ老舗店のスープがオフィスにあれば、(しかもそれが100~200円台で食べられるとなれば)、ランチタイムが楽しみになること間違いなしだ。
取材・文/コティマム
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