動画配信市場の覇者、Netflix。しかし、国内加入者の多くは40代以下。そこで次なる成長への戦略的キラーコンテンツとして白羽の矢が立ったのが、WBCの独占配信だった。
メディアコンサルタントの境治さんは次のように分析する。
「Netflixにとって未開拓であるシニア層へのアプローチは不可欠。そこで目をつけたのがWBCです。大谷翔平選手らの人気に加え、野球というスポーツはシニアに強力な訴求力がある。Netflixはこれを武器に、これまでリーチできなかった層を獲得しようとしたのです」
コピーライター/メディアコンサルタント
境 治(さかい おさむ)さん
テレビとネットを横断する深い知見を持ち、動画配信市場の動向に精通。『拡張するテレビ』など著書多数。メディアの未来を予測する。

その裏には、Netflixの本気度と配信システムの優位性もあるそう。
「地上波で見られないWBC」の勝算は?
「Netflix特有の『やると決めたらやる』という強力な交渉スタイルが契約に結びついたと聞いています。ただそれ以上に重要なのが技術力。彼らはCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)技術を駆使し、世界中で最大1億人規模の同時アクセスを処理するノウハウを蓄積。注目の一大イベントを安定して配信できる堅牢なインフラこそが、最大の強みなのです」
一方でシニア層の流入は「デジタルデバイスの壁」という新たな課題も顕在化させるが、それも新たなビジネスの萌芽になるという。
「シニア層にとって、配信サービスの操作ハードルが高いのは事実。視聴のために子供や孫に設定や操作を頼るケースが急増するでしょう。しかし、これは高齢者向けの『デジタルサポートサービス』といった新たな市場が生まれるチャンスでもあります。WBC配信は、単なるスポーツ視聴の枠を超え、家族間のコミュニケーションや周辺ビジネスの在り方も変えていく可能性をも秘めているのです」
スポーツの予言〈1〉独占放映でシニアのネトフリ加入が爆増
日本国内の契約者数1000万人を超えたNetflixが次に狙うのは「シニア層」。その成長戦略の起爆剤としてターゲットになったのが「WBC独占配信」だ。「日本のために戦う若き選手たち」という物語は、シニアを動かし、新たな市場と配信新時代の扉を開く。
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)
2026年3月5日(木)〜17日(火)
大谷選手の出場も決定!前回大会優勝の感動を再び!

今回のWBCは〝配信〟に無縁だった世代をも巻き込む可能性をはらむ。海外選手の参加が大きなポイントだが、その中で大谷翔平選手の参加表明はビッグニュース!
2026年WBC組み合わせ

※日付は全て現地時間。米国代表、日本代表が準々決勝に進出した場合、突破順位にかかわらず、米国代表は3月13日に、日本代表は3月14日に試合を行なう。(地)は開催地、(国)は参加国。
INFORMATION

〈POINT〉
大谷翔平選手の参戦表明でボルテージは最高潮へ。米国、ドミニカら本気の強豪国が「打倒・日本」に燃える。東京からマイアミへ、世界を股にかけた侍たちの連覇への旅が始まる!
スポーツの予言〈2〉W杯は使い分け視聴で観戦無双
「前回大会はAbemaの配信で、多くの人がネット視聴の利便性に開眼。今後は日本代表の試合は無料、コアな試合は有料というようにプラットフォームを『使い分ける』視聴スタイルが定着するでしょう。特に若者の間では、ドラマなどはSNSで結果を知ってから配信を見るスタイルも広がっています。もしかするとスポーツもそんな〝ネタバレ〟スタイルになる可能性も。2026年はいろいろな意味で自由に観戦を楽しむ時代になります」
FIFAワールドカップ
2026年6月11日(木)〜7月19日(日)

世界を揺るがす一戦も、今や通勤電車の中で視聴が可能。通信インフラとアプリの進化が、日本代表の熱気を「いつでもどこでも」体感できるように。
INFORMATION

〈POINT〉
48か国参加の過去最大規模となる今大会、最大の注目は「日本代表の優勝」だ。ブラジル撃破の実績を提げ、ベスト8の壁に挑む。前回王者アルゼンチン、エムバペ率いるフランス代表など強豪がひしめく中、SAMURAI BLUEが北米の地で頂点を目指す!
スポーツの予言〈3〉 地上波&配信二刀流のNHKが底力を発揮
「パリ五輪では、主に若者はTVer、シニアは地上波のNHK &民放という棲み分けができました。ただNHKもネット関連サービスを一本化した『NHK ONE』で、同時配信に加え、最大7日間の見逃し配信を行なうなど、配信強化を掲げています。問題なのはそれが受信料の支払いにつながらないこと。信頼度は高いものの、ネットでどう課金させるかの正解が見えない中で、2026冬季五輪では2つのメディアを使い分ける、世代的な棲み分けが進むと予測されます」
ミラノ・コルティナ冬季五輪
2026年2月6日(金)〜22日(日)
4度目の五輪。悲願の1500m 金に期待!

フィギュア日本ペア初の表彰台へ

かつて家族で観戦した冬季五輪も、今は視聴体験が鮮明に二分化。NHK中継を選ぶ親世代と、アプリで効率的に見る子世代。氷上の選手たちはメディアの「棲み分け」が進む時代の象徴に。
INFORMATION

〈POINT〉
スピードスケートの髙木美帆選手やスキージャンプの小林陵侑選手などメダリストの活躍のほか、今シーズンのGPアメリカ大会優勝を勝ち取ったフィギュアのりくりゅうペアにも期待がかかる。イタリアの地を舞台にした、華麗な冬の祭典を見逃すな!
取材・文/今 雄飛 撮影/田口有史(WBC)、岸本 勉(FIFA ワールドカップ、冬季五輪)







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