『櫛風沐雨(しっぷうもくう)』は、風雨にさらされながら苦労を重ねる様子を表す四字熟語です。櫛風沐雨の意味や由来する語源から、ビジネスシーンで使える具体的な例文まで解説します。
目次
櫛風沐雨の意味と語源
『櫛風沐雨』という言葉の読み方や、意味が分からない人は多いかもしれません。まずは、『櫛風沐雨』の読み方や意味、言葉が生まれた歴史的背景について見ていきましょう。
■風雨にさらされて苦労する様子を表す
『櫛風沐雨』の読み方は『しっぷうもくう』です。この四字熟語は、風雨にさらされながら苦労を重ねる様子を指します。
『櫛風』は風が髪をくしでとかすように激しく吹きつける様子、『沐雨』は雨が体を洗い流すように降り注ぐ様子を例えた表現です。文字通りには『風で髪を整え、雨で体を洗う』という意味で、そこから『風雨に打たれながらも使命を果たそうとする人の姿』を表します。
例として、豪雨の中で被災者の救助活動に尽力する消防団の姿などが挙げられます。単に厳しい環境で苦労することだけでなく、困難に立ち向かいながら努力を重ねる姿勢も表す四字熟語です。
■櫛風沐雨の語源・由来
『櫛風沐雨』は、中国の古典『荘子』の天下編に由来するとされる四字熟語です。原文では、激しい雨に打たれ、強い風に吹かれながら国づくりに励む姿が描かれています。そこから、『風雨に耐えて働く』『苦労を惜しまず尽くす』という意味が生まれたそうです。
また、中国の正史『晋書』文帝紀にも『櫛風沐雨、周旋征伐、劬労王室二十有余載』という一節があり、激しい風雨にさらされながら、王室のために尽くした長年の努力をたたえる文脈で用いられています。
このような古典の背景をもとに、現代の日本語でも『長年にわたる努力』『献身的な苦労』を表す言葉として使用されています。ビジネスシーンや人物紹介などで『櫛風沐雨の人生』『櫛風沐雨の努力』などといった形で見かけることがあるでしょう。
正しい使い方と例文

四字熟語を日常生活で引用するには、正しい使い方を理解することが大切です。ここでは、『櫛風沐雨』を使う際の注意点とシーン別の例文を紹介します。
■ポジティブな文脈で使う
『櫛風沐雨』は、長い時間をかけて苦労を乗り越えた努力や、献身的な姿勢を高く評価するときに使われるポジティブな四字熟語です。困難に負けずに目標を達成するまでの過程や、周囲のために尽力した姿勢を称賛する場面に適しています。
誤用を避けるには、ネガティブな批判や単なる愚痴として使わないことが大切です。努力や献身的な姿勢を評価する文脈で用いることで、言葉本来のニュアンスが生きるでしょう。
風雨にさらされながら懸命に歩んできた姿がイメージされ、称賛の気持ちをより鮮明に伝えられる表現です。
■スピーチやプレゼンに使える例文
『櫛風沐雨』は、スピーチやプレゼンで自分や組織の歩みを語る際に役立つ表現です。苦労を単なる大変さとしてではなく、成長につながる経験として語れるため、聞き手に前向きな印象を与えられます。
挑戦の過程を振り返ったり、チームの結束力を強調したりする場面で使ってみましょう。
<例文>
- 新規プロジェクトの立ち上げは櫛風沐雨の日々でしたが、皆さんのおかげで形にできました
- 私たちは櫛風沐雨の覚悟で、地域の課題解決に取り組んできました
- 彼は櫛風沐雨の日々を経て、一人前の職人として成長しました
櫛風沐雨の類義語と英語表現

最後に、『櫛風沐雨』の類義語についても知っておきましょう。類義語を知っておくことで、状況に応じた最適な表現を選べるようになります。
また、グローバルなビジネスシーンで活躍する人は、英語での言い換え表現も知っておくと、スピーチの場面などで役立つでしょう。
■風鬟雨鬢
『風鬟雨鬢(ふうかんうびん)』は、風雨にさらされながら苦労して働く姿を表す四字熟語です。典拠は中国・中唐期の伝奇小説『柳毅伝』とされ、『鬟』は頭頂部で輪のように束ねた髪、『鬢』は耳元に垂れた鬢髪を指します。
髪が風や雨に乱れるほど奮闘する様子から、この表現が生まれました。『風鬟雨鬢』は、髪が乱れるほど風雨にさらされながら働くイメージから、身体的な負担や身なりの乱れもいとわない献身的な働きぶりを強調します。
<例文>
- 彼は風鬟雨鬢の思いで地域を歩き回り、住民の声を拾い上げていった
- 彼女の風鬟雨鬢の奮闘が、プロジェクト成功の大きな原動力となった
■雨露霜雪
『雨露霜雪(うろそうせつ)』は、雨・露・霜・雪といった気象の移り変わりを示す言葉で、人生におけるさまざまな困難や試練を表す四字熟語です。
『櫛風沐雨』が風雨にさらされながら働く苦労を指すのに対し、『雨露霜雪』は人生全般にわたる多様な苦難を表現している点が特徴です。『櫛風沐雨』が働く姿勢や献身的な苦労を称賛するのに対し、『雨露霜雪』は苦難の例えとして用いられます。
<例文>
- 新規事業は雨露霜雪に耐えながら、ようやく軌道に乗った
- これから二人は雨露霜雪を共に乗り越えていくことでしょう
■英語での表現例
英語にも、『櫛風沐雨』と似た言い回しがいくつかあります。例えば、『struggling through wind and rain』のように風雨に耐えながら前に進むイメージを、そのまま英語にしたフレーズで表現することもできます。
<例文>
- He built this company by struggling through wind and rain.(彼は櫛風沐雨の思いでこの会社を築いた)
ほかにも、『undergo hardships(苦労する)』や、『through thick and thin(良いときも悪いときも)』も、英語表現として使える言い回しです。
<例文>
- She had to undergo hardships , but those experiences made her stronger.(さまざまな苦労をしたが、その経験が彼女をより強くした)
- They supported the project through thick and thin.(彼らはどんな困難があってもプロジェクトを支え続けた)
櫛風沐雨は苦労に耐えて歩む姿を表す言葉

『櫛風沐雨』は、『荘子』の『天下』編や『晋書』に由来する四字熟語です。『風雨にさらされて苦労する様子』を表しており、努力を惜しまず献身的に取り組む姿をたたえる言葉として使われるようになりました。
ビジネスの現場では、厳しい状況の中で結果を求められる場面も少なくありません。しかし、その過程で積み重ねた経験や苦労は、きっと次の成長につながるはずです。
もし今、困難を乗り越えて目的を達成した人が身近にいるなら、その努力をたたえる言葉として『櫛風沐雨』を使ってみてはいかがでしょうか。
構成/DIME編集部







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