2025年12月12日、BBC Studiosが「The 20 Best Places to Travel in 2026(2026年に訪れるべき旅行先20選)」を発表。国内では石川県がその一つに選出された。
能登半島地震からの復興の歩みと地域の多彩な資源が高い評価を獲得
今年の訪れるべき先のガイドは、地域コミュニティの支援、環境保全、独自の文化遺産の継承に取り組みながら、観光を通じて持続可能な価値を生み出している地域に焦点を当てている。
選定にあたっては、BBCスタッフおよび各分野の記者に加え、世界的に著名なサステナブル・トラベルの専門家の知見を取り入れ、旅行者を積極的に受け入れ、訪問が地域にもたらすプラスの効果が期待できる場所を厳選したという。
2026年に訪れるべき旅行先として石川県が世界の注目地域の一つに選ばれた理由として、能登半島地震からの力強い復興の歩み、世代を超えて受け継がれてきた伝統工芸、そして国際的な評価を得ている日本酒文化など、地域が誇る多彩な資源が高く評価されたことが挙げられている。
■“旅が地域の力になる” という石川県の取り組みを世界へと届ける重要な機会に
2024年元日、石川県能登半島はマグニチュード7.6の地震に見舞われ、大きな被害を受けてから、2年。地域では観光を通じた再生に向けて努力が続けられており、今回の選出はその取り組みが世界から認められた証とも言える。
県南部の金沢市は、東京から新幹線でアクセスできる人気観光都市。日本三名園の一つである兼六園のほか、金箔や加賀友禅など、訪日客から高い支持を集める伝統文化体験が充実している。
一方、今回特に注目されたのが地震の被害を受けた能登地域だ。能登では「農家民宿」と呼ばれる宿泊施設で、田植えや農作業といった季節の体験を通じて地域の暮らしに触れられるプログラムが人気を集めている。その収益は、家族経営の農家の支援や、白米千枚田に代表される何百年も続く棚田の維持にも役立てられている。
また、能登は古くから酒造りが盛んな地として知られ、能登杜氏が生み出す日本酒は数々の賞を受賞。地震で被害を受けた酒蔵の復旧を支えるための「Don’t Stop Noto Sake」プロジェクトなど、地域内外の連携も進んでおり、多くの蔵が事業を再開している。
輪島塗をはじめとする伝統工芸や豊かな海産物にも、地域の魅力として再評価が高まっている。
家族経営の宿に泊まり、地元の食を味わい、職人の手仕事を購入する。こうした旅行者の行動が、文化と暮らしを守りながら、地域の再生を後押ししている。
今回の選出は、“旅が地域の力になる” という石川県の取り組みを世界へと届ける重要な機会となったと言えるだろう。
関連情報
https://www.bbc.com/travel/article/20251209-the-20-best-places-to-travel-in-2026
構成/清水眞希







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