『立て板に水』の意味や由来を解説します。類義語や対義語について知っておくと、語彙力アップに役立ちます。使い方も紹介するので、ビジネスシーンや日常生活で活用してみましょう。
目次
「立て板に水」の意味と由来は?
『立て板に水』という言葉は、人が話す様子を表す慣用句です。しかし、正確な意味や由来を知らない人もいるのではないでしょうか。まずは、『立て板に水』の本来の意味と語源について解説します。
■「よどみなく話す」様子を表した言葉
『立て板に水』とは、言葉につまずくことなく、スラスラと流ちょうに話す様子を表現する慣用句です。ビジネスシーンでのプレゼンテーションや、会議での発言で使われることも多く、『えっと』『あの』といったつなぎ言葉を挟まず、よどみなく話す状態を指します。
早口言葉をスラスラと言える人についても、『立て板に水のようだ』と表現することがあります。基本的に褒め言葉として使われ、『のごとく』『のように』などの表現と組み合わせて用いるのが一般的です。
会議・スピーチなどでよどみのない話し方をすると、内容を熟知していて自信に満ちた印象を与えやすくなるでしょう。ただし、あまりにスラスラと話し続けると、人によっては「中身が薄い」「セールストークのようだ」と感じる恐れもあります。
■「立て板に水」の語源・由来
『立て板に水』の語源は、その言葉が示す通り、立てかけた板に水を流す様子から生まれました。実際に板を立てて水をかけると、水は板の表面をよどみなくスムーズに流れ落ちていきます。
この自然現象が、言葉がスラスラと出てくる人の話し方として、例えられるようになりました。板が垂直に立っているため、水は重力に従って一気に下まで流れます。
これが言葉を発する際の『抵抗なく』『つっかえることなく』という状態を視覚的に表現しており、滑らかな話し方を見事に表現しています。
「立て板に水」の使い方

『立て板に水』の使い方について、日常会話やビジネスシーンで役立つ例文と英語表現を紹介します。意味を理解して正しく使えるようになれば、コミュニケーション能力の向上につながるでしょう。
■「立て板に水」を使った例文
<例文>
- 彼のプレゼンテーションは立て板に水のようで、聴衆を引き込んでいた
- 部長の新プロジェクトの説明は立て板に水で、全員がすぐに理解できた
- 趣味の話になると、あの静かな同僚が立て板に水のように話し出す
これらの例文は、滑らかで分かりやすい話し方を褒めたり、普段は寡黙な人が特定の話題で饒舌になる様子を表現したりしています。また、『立て板に水を流す』のように『流す』を加えると、より一層言葉が途切れなく続く様子を強調できます。
単に早口というだけではなく、内容が整理され、聞き手に伝わりやすい話し方を指す言葉です。
■英語表現を使った例文
『立て板に水』に近い意味の英語表現として、『flowing eloquence』『speak very fluently』などの言い回しが使われることがあります。以下、例文を見てみましょう。
<例文>
- She spoke with flowing eloquence in her presentation.(彼女はプレゼンテーションで立て板に水のように話した)
- He spoke very fluently when he explained his reasons.(彼は立て板に水のように理由を述べた)
イギリス英語には『Talk nineteen to the dozen』ということわざもあり、流ちょうに話す様子を表現する際に使われます。
語彙力アップ!「立て板に水」の類義語

言葉が流れるようにスムーズな様子や、話術に優れていることを表す言い回しはほかにもあります。『立て板に水』と意味合いは似ているものの、微妙にニュアンスの異なる類義表現を見ていきましょう。
■「弁舌に優れる」
『弁舌』とは、ものの言い方や話しぶりを意味する熟語で、『弁舌に優れる』で話術が一般より秀でていることを表します。単にスラスラ話すだけでなく、説得力や論理的な構成を備えた話し方をする人に対して、使われることが多い表現です。
<例文>
- 彼は弁舌に優れており、難しい概念でも聴衆に分かりやすく説明できる
- 彼女は弁舌に優れているため、クライアントとの商談でも常に成果を上げている
『弁舌に優れる』には、単なる話術の巧みさだけでなく、知性・教養に裏打ちされた説得力を備えた話し方というニュアンスが含まれることが多いでしょう。『立て板に水』よりも、やや格式高い印象を与える表現といえます。
■「戸板に豆」
『戸板に豆』は、戸板の上に置かれた豆が転がりやすいことから例えられた表現です。『早口でよどみなく話す様子』とともに、『物事が転がるように進む』意味を表します。
また、豆が戸板の上で転がってしまい思うように止められないことから、『物事が自分の思い通りに進まず、状況をコントロールできない様子』を表す意味でも使われます。
<例文>
- 彼女は、母国語でないのに日本語を戸板に豆のようにペラペラと話す
- 彼の計画は、戸板に豆のように次々と障害が現れて進まない
「立て板に水」の対義語

プレゼンテーションの場では、緊張から話の流ちょうさを欠いてしまうことがあります。言葉につまずいたり、スムーズに話せなかったりする状態を表す表現についても、確認しておきましょう。
■「横板に雨垂れ」
『横板に雨垂れ』とは、言葉が途切れ途切れになり、スムーズに話せない様子を表す慣用句です。木目が横向きになった板に雨水が落ちると、水が引っかかりスムーズに流れない様子を例えています。
<例文>
- 彼は緊張のあまり、横板に雨垂れのような話し方になってしまった
- プレゼンテーションでは、横板に雨垂れにならないように、事前に準備しておくことが大切だ
こうした表現は、相手の話し方を冷やかす意図で使うと不快感を与える可能性もあるため、使用する場面には注意が必要です。
■「たどたどしい」
『たどたどしい』とは、物事を行う様子が危なっかしく、スムーズに進まない状態を表す言葉です。『たどたどしい』話し方とは、言葉につかえたり、自信なさげに話したりする様子を指します。
<例文>
- 留学生はたどたどしい日本語で自己紹介をしていた
- 緊張のあまり、彼のスピーチはたどたどしくなってしまった
ただし、『たどたどしい』は必ずしも否定的な意味だけではありません。例えば、「彼女はたどたどしい日本語ながらも、一生懸命伝えようとする姿勢が好感を持てた」のように、努力している様子を含めて評価する場面でも使われます。
「立て板に水」の意味や由来を知っておこう

『立て板に水』とは、立てかけた板に水が流れる現象に由来する表現で、よどみなくスラスラと話す様子を表す慣用句です。
早口言葉をスムーズに言える人にも使われ、会議・スピーチでは堂々としたイメージを与える一方、内容が薄いという印象を持たれる恐れもあります。
類義語の『弁舌に優れる』『戸板に豆』や、対義語の『横板に雨垂れ』『たどたどしい』などの表現も合わせて知っておくと、語彙力アップに役立つでしょう。ぜひ、ビジネスシーンや日常会話で活用してみてはいかがでしょうか。
構成/編集部







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