メーカー各社が力を入れて、よく見かけるようになった折りたたみ式スマートフォン。ほかのモデルよりも高額な印象だが、ヘビーユーザーやプレミアム層の注目を集めている。
グローバル市場調査会社のカウンターポイントリサーチ社は、2025年7⽉1⽇から2025年9⽉30⽇に行った最新調査で、2025年第3四半期スマートフォングローバル市場の折りたたみ型スマートフォン出荷量が前年同期⽐14%増で、同カテゴリーでは過去最⾼となる四半期ボリュームを記録したことを発表した。
シェア拡⼤を牽引した折りたたみ型スマートフォンの種別はブックタイプモデルで、Samsungの『Galaxy Z Fold7』とHuaweiの『Mate』シリーズの堅調な需要が成⻑に貢献した。Samsungのグローバル向けクラムシェルラインナップの刷新やMotorola『Razr 60』シリーズの好調な採⽤によって、クラムシェル型の出荷も増えていたという。
折りたたみ式の好調を支えるプレミアム層への訴求力
OEM別のパフォーマンスでは、今四半期はSamsungの『Galaxy Z』シリーズサイクルが市場に与えた影響の⼤きさが浮き彫りとなっており、特に『Z Fold7』は、より薄型で軽量なハードウェア、ヒンジ耐久性の向上、折り⽬の視認性低減などでプレミアム層への訴求⼒を高めて想定を上回る伸びを実現した。
Huaweiは『Mate』シリーズで着実な勢いを維持しており、HONORとvivoも折りたたみラインナップの刷新を通じて存在感を示している。Motorolaは、競争⼒のある価格設定と強⼒なチャネルパートナーシップ、製品の使い勝⼿に関する⾼評価を背景に、グローバルで頭⾓を現した注⽬プレーヤーのひとつといえるだろう。
■折りたたみ型スマートフォン(フォルダブルスマートフォン)出荷シェア
2024年第3四半期と2025年第3四半期の⽐較
2026年は『iPhone』版登場とブックタイプからの進化がカギ
スマートフォングローバル市場の折りたたみ型スマートフォンのカテゴリーは、2025年通年でも2桁半ばの前年⽐成⻑で着地する⾒込みで、プレミアムユーザーが⽣産性向上性のために⼤画⾯と耐久性の向上が両⽴できる選択肢として⽀持した。
2026年には、市場はさらに拡⼤フェーズへと移⾏する⾒通しで、主な要因として耐久性の向上、薄型・軽量化の進展、ヒンジやパネル構造の最適化、AIを活⽤したソフトウェア体験の拡充などが挙げられている。
2026年後半にはAppleが新規参⼊すると言われており、堅固な『iPhone』ユーザーベースを背景に主要地域でプレミアム機種へのアップグレードサイクルを強化すると期待されている。
競争環境の変化でイノベーションリーダーシップの重要性は高まっており、既存ベンダー各社は次なる折りたたみ採⽤に向けて⾃社プロダクトポートフォリオの準備も進めている。
Apple参⼊を前に、OEM各社は技術リーダーシップを明確に打ち出し、製品差別化戦略を磨くことに注力しており、従来のブックタイプ設計からの段階的なシフトも進みそうだ。
3つ折りスマホは折りたたみ式の進化のカギを握る?
Huaweiが早期に取り組んだマルチフォールドの試験的モデルは、エンジニアリング⾯での可能性を感じさせており、Samsungが投⼊したトリプルフォールドデバイスは、まだ⼤規模展開というよりも実⽤段階での検証と戦略的なメッセージ発信という位置付けとみられており、その動向は気になるポイントだ。
カウンターポイントリサーチ社アソシエイトディレクターのLiz Lee⽒は、「Samsung の初代トリプルフォールドモデルは、ごく限られた数量での出荷にとどまる⾒込みですが、スケールを狙った製品ではありません。
2026年には、とりわけAppleのフォルダブルセグメントへの参⼊が予想されることから、競争環境は⼤きく変化することになります。
Samsungは本機をマルチフォールドのパイロット機として位置付け、⾃社の技術リーダーシップを強く印象づけようとしています。このリリースは、耐久性、ヒンジ構造、ソフトウェア最適化を検証し、将来の本格商⽤化に向けた実ユーザーからのインサイトを収集することを主な⽬的としたものです」とコメントしている。
今後もAI導入や機能拡大で、スマホ画面の大型化はさらに進みそうだ。参入各社もさらに力を入れるはずで、来年以降も折りたたみ式スマートフォンは注目を集めるプロダクトになりそうだ。
https://counterpointresearch.com/en/reports/global-foldable-smartphone-market-tracker-q3-2025
構成/KUMU







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