近年ギフト市場におけるお中元・お歳暮などの規模が縮小する一方、カジュアルギフトやSNS等を介したデジタルギフトの利用が増加している。シニア女性においても同様の傾向は見られるのだろうか?
50代以上の女性を対象とした雑誌ハルメクに関するマーケティングやリサーチのコンサルティングを行うシンクタンク「ハルメク 生きかた上手研究所」はこのほど、全国の50~87歳の女性579名を対象に「贈り物に関する意識・実態調査」をWEBアンケートにて実施し、その結果を発表した。
何らかの贈り物をしているシニアは97.8%。贈り物の機会は全体的に減少、特にお中元・お歳暮は2017年から18.1%減
2025年調査では「直近1年間ではひとつも(贈り物を)贈っていない」は2.2%で、97.8%がなんらかの贈り物をしていた。
ほとんどの贈り物が2017年よりも減少。中でも10ポイント以上減少していたのは「旅行・帰省のお土産」「おすそ分け」「お中元・お歳暮」「お見舞い」など。特に「お中元・お歳暮」はマイナス18.1ポイントと大幅に減少した。一方で増加傾向だったのは「バレンタインデー」「おつかいもの」となった。
「あなたにとってのお中元・お歳暮はどのような存在ですか」という問いに対し、「直近 1 年間にお中元・お歳暮を贈った人」で最も多かったのは「人付き合いの潤滑油」、次いで「近況報告のきっかけづくり」、3 番目は「やめたいけどやめられない礼儀」となった。
「お中元・お歳暮を贈らなかった人」で最も多かったのは「そろそろやめたいこと・やめたこと」次いで「面倒なこと」。3 番目は「人付き合いの潤滑油」となった。
「3年前と比較したときの贈り物にかけるお金」はさほど変化なし。ただし「欲しいものの内容」は、約4割が変わったと回答
「3年前と比較したときの贈り物全般にかけるお金」は、全体では「以前と変わらない」が45.4%と最も多く、「増えている」(25.0%)、「減っている」(29.5%)は同程度となった。
年代別に見ると、50代で「減っている」が31.4%とやや多くなっており、年齢が上がるほど「増えた」が増加、「減った」が減少する傾向にあるものの、差はわずかだった。
増えた理由で最も多いのは「物の値段が上がっているから」。減った理由で最も多いのは「贈り物をする相手の数が減っているから」だった。なお、3年前と比較し、「贈り物として欲しいものの内容は変わった」との回答が各年代4割前後みられた。
●贈り物に対する考え方の変化
・LINEギフト等、選ぶのも送るのも簡単な物になった(58歳)
・物が欲しいと思わなくなった。物を増やしたくない。本当に欲しい物なら自分で買う(59歳)
・以前はたとえ不要な物でも仕方ないと考えたが、最近はハンカチなど不要な物はかえって失礼ではないかと思うようになった(61歳)
・モノでなく経験に使える飲食チケット、旅行チケット、スタバチケットなどが嬉しいです(61歳)
・趣味的な物より実用的な物が欲しいと思うようになった。例えばお米、野菜、お肉、お魚等の食材やギフト券(デパート、スーパーで使える)や体験型のチケット(映画鑑賞券、スーパー銭湯の入浴券)とかが嬉しい(66歳)
・食べ物をたくさんの量いただいても、夫婦二人では食べきれない。いただき物は果物など甘いものが多く、糖分の摂り過ぎで健康が気になる。持病で食べてはいけないものもあるが、相手には伝えられない(71歳)
・老いてきて、食べ物をもらっても一人なので残る(85歳)
デジタルギフトは約9割が認知。認知者の中で実際の贈答経験者は約6割
デジタルギフトは全体の86.0%が認知。認知者ベースでの贈答経験のある人は60.6%となった。そのうち「贈ったことはないが、もらったことはある」は33.5%、「贈ったことはあるがもらったことはない」は3.2%、「贈ったことももらったこともある」は23.9%だった。
贈答経験のあるデジタルギフトで「もらった」のは「Amazonギフト券」「LINEギフト」「QUOカード」などが上位。「贈った」では「LINEギフト」が最も多く、次いで「Amazonギフト券」となった。
「その他」の自由記述をみると、贈答経験のあるデジタルギフトは「スターバックスのギフト券」が多かった。
デジタルギフトの用途は「誕生日」のほか「ちょっとしたお礼・お返し」が多く、従来の贈り物カテゴリーにとどまらない利用の広がりもうかがえた
「デジタルギフト」が最も使われているのは「もらう」「贈る」とも「誕生日プレゼント」となった。次いで「頂き物やお世話になった際のお返し」が多かった。また、「母の日にもらった」も11.9%と比較的多かった。なお、提示した選択肢以外の「その他」と答えた人が2~3割みられた。
「贈る意向」については、全体では「贈りたい(贈りたい+まあ贈りたい)」が26.7%、「贈りたくない(あまり贈りたくない+贈りたくない)」が37.6%と、「贈りたくない」が、10%上回った。
「贈られる意向」については全体では「贈られたい(贈られたい+まあ贈られたい)」が39.0%、「贈られたくない(あまり贈られたくない+贈られたくない)」が30.6%で、「贈られたい」がやや上回った。
年代別に見ると、年齢が若いほど「贈りたい」「贈られたい」意向は高かった。
デジタルギフトの今後の利用意向の理由(自由回答)
●贈りたいと思う理由
・相手の必要なものが分からないときなどはデジタルギフトのほうが良いと思うから。少額のものもあるので贈るほうも贈られるほうも負担がないから(54歳)
・カジュアルな贈り物として若い方へ、相手に気を遣わせないようなちょっとしたプレゼントとして贈りたい(60歳)
・お誕生日プレゼントをお友達、子どもや孫たちに贈りたいです。スターバックスのコーヒー券を、「楽しんでね」の気持ちを込めて贈りたいです(77歳)
●贈りたくないと思う理由
・お金そのものを贈る印象が強いのと、だいぶラフな感じがして苦手(52歳)
・相手の好みを考えたり、薦めたい物を贈るのもプレゼントの一部。デジタルギフトは企業とかが一般に向けて出すものだと思う(73歳)
・自分も贈り方があまりよくわからないし、もらったほうも受け取り方がわかるかどうか不安である(75歳)
●贈られたいと思う理由
・少額のものをいただくには、気を使わないで受け取れそうなので嬉しい(57歳)
・使えるお店を選んで行かなくても、家でサイトから気軽に購入できるから(64歳)
・お財布を持たないで出掛けてもスマホがあれば困らないので、スマホの中にデジタルギフトがあると余計嬉しいです(77歳)
●贈られたくないと思う理由
・Amazonなど、使い方がわかりやすいものは歓迎だが、使い方がわからないものは調べる手間がかかるから(51歳)
・使える場所や品が限られるから。 以前何かの特典でAmazonの商品券を送ってもらったが、使いこなせず無駄にしてしまった事がある(69歳)
・デジタルで贈られても嬉しくない。手渡しのプレゼントやお金ではないプレゼントをもらうほうがいい(71歳)
<調査概要>
調査方法:郵送での質問用紙配布アンケート
調査対象・有効回答者数:全国50~87歳・579名
調査実施日:2025年10月15日(水)~10月20日(月)
※ 2017年調査:11月に実施(メールアドレス保有のハルトモ会員229名「お中元・お歳暮について」)
調査主体:株式会社ハルメク・エイジマーケティング ハルメク 生きかた上手研究所
※ 調査結果のパーセンテージは、小数点以下第2位を四捨五入したため、総数と内訳の合計が一致しないことがある。
出典元:ハルメク 生きかた上手研究所調べ
構成/こじへい







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