2026年は午(うま)年です!馬は哺乳類ですが、名前に「ウマ」とつく昆虫は多く存在しており、一見、馬とはあまり関係なさそうな仲間の種類もいます。今回はそんな「ウマ」が付く意外な昆虫たちの基本情報から見つけ方までを一挙に解説いたします。ウマ年の昆虫採集の参考にしてみてくださいね。
ウマオイ
まず、最初に紹介するのは“ウマ”オイです。ウマオイとはバッタ目キリギリス科ウマオイ亜科に属する種類のことで、身近な種類としてハヤシノウマオイやハタケノウマオイなどが知られています。「ウマオイ」という名前はオスが出す「スイーッチョン」という鳴き声が馬方(馬に荷物を引かせて運ぶ職業の人々)が馬を追いかける時のかけ声に似ているからだと言われています。
食性は雑食性ですが、肉食性が強く、自然界では他の昆虫を捕まえて食べている姿をよく見かけます。飼育する際は、コオロギやミルワームなどを与えると、好んで食べてくれます。持つ時は脚のつけ根を両側から挟むようにするのがおすすめです。脚には鋭いトゲがあり、持つとポロッと脚ごと取れてしまうこともあるので、注意しましょう。
成虫が現れるのは8月から10月頃で、東京都内など身近な場所でも観察することができます。夜の草むらで、鳴き声を頼りに探してみましょう。捕まえる際は、ウマオイの網を下や横に置き、網の中へ飛び込ませるようにしましょう。ハヤシノウマオイは森の中などの閉鎖的な場所にいるのに対して、ハタケノウマオイは畑や河川敷などの開けた場所でよく見られます。
カマドウマ
次に紹介するのはカマド“ウマ”です。カマドウマとはバッタ目カマドウマ科に属する仲間のことで、肌色や焦げ茶色などの模様を持ち、長い後ろ脚と触覚、翅を持たないことなどが特徴です。飛び跳ねる力が強いことから、馬を連想させ、古くは竈(かまど)の周りでよく見られたことからこの名前が付けられました。その独特な動きとイメージから昆虫好きの間でも「ゴキブリは大丈夫だけど、カマドウマだけは苦手」という人も多く、時には便所コオロギなどと呼ばれることもあります。
食性は雑食で、他の生き物の他に腐った果物、樹液、落ち葉など様々なものを食べ、飼育下では、人間の食べ物であれば、おおよそ何でも食べます。また、多くのキリギリスやコオロギの仲間が卵の状態で越冬するのに対して、カマドウマは寒さに強く、成虫や幼虫の状態で越冬することができます。
夏から秋にかけて活発になる種類が多く、暗くてジメジメした場所でよく見かけます。具体的には、木の洞の中や洞窟、古い家の風呂場やトイレ、屋根裏などにも姿を現し、集団でいることもよくあります。ウマオイ同様、網の中に飛び込ませるようにすれば、捕まえることができます。
ウマノオバチ
最後に紹介するのは“ウマ”ノオバチです。ウマノオバチはハチ目コマユバチ科に属する1種で、メスが自分の体長の4〜8倍の長さの産卵管を持つことが知られています。この長い産卵管が馬の尾に見えることから名前が付けられました。産卵管があるのはメスのみで、オスにはありません。
寄生蜂であり、メスは長い産卵管を使って木の中にいるミヤマカミキリなどの蛹に卵を産み付けます。そのため、ウマノオバチを見つけるには5〜6月頃に寄生主となるミヤマカミキリが生息しているクヌギやコナラなどが生えている場所に行き、メスが長い産卵管を木に刺して産卵しようとしていないかを探すのがおすすめです。ウマノオバチは人間を刺すことはないため、近くで観察しても大丈夫です。
さて、今回はウマがつく昆虫たちを紹介してきましたが、ウマ以外にもウシやゾウなど様々な動物の昆虫を持つ名前が存在します。昆虫の名前は、見た目や動きなどに由来するものが多く、納得できるものから「う〜ん」と頭を悩ませるものまで存在します。ぜひ、いろんな昆虫の名前に着目してみてくださいね。
昆虫ハンター・牧田習
博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。
著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my
書籍情報
『昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本』
著者:牧田 習
定価:1,210円(本体1,100円+税)
体裁:新書判 / 128ページ / 4C刷
発行:小学館
発売日:2025年7月4日
ISBN:9784092274433
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文/牧田習







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