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【NIKKIのKINIなる世界】世界的ミスコンが大混乱!?「ティアラ」の裏の格差と騒動

2025.12.19

女性の美を競い合うミス・コンテンスト、通称「ミスコン」。英語では「beauty pageant」といい、その原型は中世ヨーロッパまでさかのぼるそうです。1951年に最初のミス・ワールドがロンドンで開催されて以来、ミス・ユニバース、ミス・インターナショナル、ミス・アースなど、さまざまな世界大会が毎年開催されています。

2017年にポーランドで開かれたミス・スプラナショナル大会の1シーン

正直に言うと、私自身はミスコンに対してあまり肯定的になれないでいました。自分の国の代表に選ばれるために外見の美しさを磨くだけでなく、キャリアや社会貢献などに尽力し、自国の女性のロールモデルとして努力を惜しまない生き方を送る女性たちには尊敬しかありませんが、それでもやっぱり、この時代に女性同士を容姿で競わせるってどうなの?という疑問をずっと抱えていました。今年のミス・ユニバースを経て、気持ちが少し変わったかもしれません。

ミスコン各国代表たちが責任者に蜂起!

その騒動というのは、今年11月にタイで開催されたミス・ユニバース国際大会で起きました。「ミスコン界のスーパーボウル」とも呼ばれるこの大会の現地責任者のナワット・イサラグリシル氏が、各国代表のための説明会の途中でメキシコ代表のファティマ・ボッシュさんを名指しし、スポンサー向け撮影イベントに参加しなかった彼女を全員の前で「dumbhead(バカモノ)」と罵倒したのです。

イベント欠席は組織間のミスコミュニケーションによるものだったと後で判明しましたが、代表は彼女の説明に耳を貸さず、報道陣やライブ配信カメラの前で彼女を大声で侮辱し、反論する彼女を警備員に取り押さえさせようとしたのです。

この突然の異変に現役のミス・ユニバースや各国代表らは抗議し、次々と部屋を退場したことで現場は一時大混乱に。すでに敬遠困難や視聴率低下などの問題を抱えていた大会にとって厄介なスキャンダルとなりました。逆に株が上がったのは各国代表の女性たち。

逆らえば出場権剥奪、という脅しに屈せず、権力を盾に傍若無人にふるまう男性に毅然とNOを突き出す彼女らの姿はまたたく間にSNSに拡散され支持を集めました。そして最終的にミス・ユニバースの称号を審査員たちから贈られたのはボッシュさんでした。

東南アジアや南米などでは英語圏など西洋諸国ではミスコンの意義を疑問視する人も多く、テレビ放映の視聴率も例年右肩下がりが続いていますが、世界的に見れば依然としてミスコンは人気イベントで、世界規模で10億ドル(約1550億円)相当のビジネスとされています。特に新興国の人々にとっては、自国の存在を世界のステージに持ち上げる期待の星とされているのです。

ミスコンは新興国や少数民族などにとって希望の星になりうる。写真はインドネシアのミスコン優勝者たち

社会や政治の問題に声をあげるミスコン出場者たち

これからのビューティークイーンは不正を見過ごさない社会正義の心も必要?

不名誉な形でスポットライトを当てられてしまったミス・ユニバースですが、ネガティブな話題ばかりじゃありません。世界的なプラットフォームに立てる機会を活用して、政治や社会問題に関する発信を行う女性もこれまで脚光を浴びてきました。

2021年の国際大会では、軍事クーデターによって混迷が深まっていたミャンマー代表の女性がチン族の伝統衣装を身にまとい「Pray for Myanmar(ミャンマーのために祈りを)」と書かれた巻物を世界中の視聴者に訴えました。他にもウルグアイ代表が「ヘイト・暴力・排斥・差別を止めよう」と大きな文字で描かれた虹色のスカートをひるがえし、シンガポール代表は国旗カラーの赤と白で「STOP ASIAN HATE」という文字が大胆にデザインされたマントでコロナ禍で広がったアジア人差別に声を上げました。

他にも、イギリスなどではノーメイクのままで出場する大会や参加者が数年前から話題を集めていたりと、「美しさ」という価値観もさらに多様になっています。

変容する社会の価値観を自身の「美しさ」を通して反映できる参加者が今後増えるかもしれません。もしかしたらミスコン、私が思っていたより多面的で面白そうかも……?

文/キニマンス塚本ニキ
ラジオパーソナリティ、翻訳家。1985年、東京都生まれ。9歳まで日本で育ち、その後15年間をニュージーランドで生活。現在は英語通訳・翻訳や執筆のほか、ラジオパーソナリティ、コメンテーターとして活躍している。

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