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2026年に「たばこ税」はいくら増える?おさえておきたい増税の仕組み

2025.12.25

2026年から段階的な引き上げが予定されている「たばこ税」。増税のスケジュールやたばこ税の仕組み、「たばこ税はなぜあるの?」といった疑問や増税後の影響について解説する。

たばこ税の増税が話題となっている。「紙巻きたばこ」と「加熱式たばこ」で異なる現在の課税方法を統一し、たばこ全体の増税も段階的におこなわれる見通しだ。

喫煙者にとっては厳しいたばこ税の増税だが、増税スケジュールや実質いくらの値上げとなるかを理解しておくと、不要な買い溜めなどを避ける役に立つだろう。

そこで本記事では、2026年から始まるたばこ税増税の流れと、たばこ税の仕組み、増税の影響について解説する。

たばこ税の増税はいつから?2026年と2027年のスケジュールをチェック

たばこ税の増税は、2026年と2027年以降で内容が異なる。まず知っておきたいのは、2026年中はすべてのたばこ税が増税になるわけではないという事実だ。

■【2026年4月・10月】加熱式たばこの課税方式を見直し

2026年4月と10月には、加熱式たばこのみを対象とした課税方式の見直しがおこなわれる。具体的には、「重量+価格」で紙巻きたばこの本数に換算していた従来の方式から「重量のみ」で換算する方式に変更となる予定だ。

これにより、加熱式たばこの税負担が紙巻きたばこに近づき、税負担の格差が是正されることとなる。

■【2027年4月〜2029年4月】国のたばこ税の段階的な引き上げ

紙巻きたばこと加熱式たばこの税負担差が縮小された2027年以降、紙巻きたばこ・加熱式たばこを含むすべてのたばこ製品を対象とした国税の引き上げが予定されている。ただし、値上げは3年間で段階的におこなわれる予定だ。

・令和9年(2027年)4月:1本あたり0.5円引き上げ

・令和10年(2028年)4月:1本あたり0.5円引き上げ

・令和11年(2029年)4月:1本あたり0.5円引き上げ

増税額は、3年間で合計1本あたり1.5円(1箱20本で30円)となる。なお、これは国税(国たばこ税)のみを対象としており、地方税(都道府県たばこ税・区市町村たばこ税)は対象外だ。

■今回の増税の背景-防衛費の増強とたばこ税

今回のたばこ税増税は、防衛費増額の財源確保を目的としている。政府は増税による約2000億円の増収分を財源に充てる方針だ。

たばこ税の仕組み

たばこ税は、製造たばこ全般に課される間接税だ。しかし、税の内訳や、なぜ設定されているかは知らない人も多いだろう。

■たばこ税は4つの税金から構成される

たばこには4種類の異なる税金が課されている。財務省の資料によると、たばこ1,000本あたりの税率は以下の通りだ。

・国たばこ税:6,802円/千本

・たばこ特別税:820円/千本

・都道府県たばこ税:1,070円/千本

・区市町村たばこ税:5,052円/千本

たばこ税の合計(消費税除く)は13,744円/千本、1本あたり約13.74円となり、これに消費税が加わる。

※参考:たばこ税等に関する資料 : 財務省

■たばこ税の計算方法を実例で紹介

たばこ1箱あたりの具体的な税金額も見てみよう。1箱600円のたばこの内訳は、以下の通りだ。

たばこ税等(4種類の合計):約305.2円

たばこ本体価格:約240.2円

小計:545.4円

消費税(10%):約54.6円

合計:600円

税金の合計は約359.8円で、小売価格の約63.1%を占める。600円のたばこを購入すると、そのうち約360円が税金となる計算だ。

■たばこ税はなぜあるの?高税率の理由

たばこ税の税率が高く設定されているのには複数の理由がある。主な理由を見てみよう。

・健康被害の抑制

たばこの価格を引き上げることにより、喫煙率の低下を促す効果が期待されている。実際、過去の増税時には喫煙率が低下する傾向が見られた。

・医療費削減への期待

喫煙者数の減少と共に喫煙関連疾患が減少することで、長期的には医療費の削減効果が見込まれている。

・安定的な税収の確保

たばこ税は国・地方合わせて年間約2兆円で推移しており、重要な税収源となっている。

・国際的な動向

WHO(世界保健機関)のたばこ規制枠組条約(FCTC)に基づき、主要国では健康政策の一環として高率のたばこ税が導入されている。

たばこ税と消費税の関係

たばこ税には国税・地方税・特別税のほかに消費税も課される。消費税は、たばこ本体とたばこ税の合計額に課税されるため、「税金に税金がかかる」状態だ。これに対して釈然としない印象を覚える喫煙者も多いだろう。

■たばこ税と消費税の二重課税は違法?

二重課税とは、同じ対象に対して複数の税金が課される状態を指す。結論を言うと、この二重課税は、税制設計上は合法だ。背景には間接税の「課税対象」の考え方がある。

消費税は「最終的な販売価格」に対して課税され、たばこ税は「製造・販売段階」で課税される個別消費税と言える。この2つは課税のタイミングと性質が異なる税金であり、制度として確立されているため法律上は問題ない。

たばこ税以外では、酒税、ガソリン税(揮発油税)、石油石炭税なども同様の二重課税となっている。

たばこ税増税の影響と今後の見通し

たばこ税が増税されることで、喫煙者の生活や税収と健康のバランスにはどのような影響が見られるかを考えてみよう。

■たばこ税増税が喫煙者に与える経済的な影響は?

まずは増税後のたばこ代の変化を見てみよう。1日1箱(20本)喫煙する場合、年間の負担増加額は以下の通り。

・2027年4月以降:0.5円 × 20本 × 365日 = 年間3,650円増

・2028年4月以降:さらに0.5円増(累計1円/本増)で前年比+3,650円、累計7,300円増

・2029年4月以降:さらに0.5円増(累計1円/本増)で前年比+3,650円、累計10,950円増

3年間の累計負担増は約10,950円となる。加熱式たばこユーザーは、2026年の課税方式見直しで税負担が紙巻きたばこに近づき、さらに2027年以降の国税引き上げも適用されるため、製品によっては大幅な価格上昇の可能性があるだろう。

■税収と健康政策のバランス

財務省の令和7年4月時点の資料によると、たばこ税の税収は国・地方合わせて概ね2兆円程度で推移しており、安定的な税収源となっている。

一方で、喫煙率は低下が続いている。厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、2003年には男性46.8%、女性11.3%だった喫煙率が、2019年には男性27.1%、女性7.6%まで低下。販売数量も1996年度の3,483億本をピークに減少が続いている(財務省資料)。

税率を上げることでたばこの販売数量は減少することが予測されるため、たばこ税の税収は頭打ちの段階にあると言えるだろう。

こうした喫煙者の減少は、長期的には医療費の削減効果が期待されるが、具体的な削減額や削減時期の算出は不確実となっている。健康政策と税収確保のバランスが今後の課題と言えるだろう。

■今後のたばこ税はどうなる?

たばこ税の増税は、現時点では2027〜2029年の3年間のみ確定しており、2029年以降の増税は未定だ。ただし、世界的にはWHOのたばこ規制枠組条約に基づいた継続的な増税・規制強化の流れがあり、日本も例外ではないと言える。

電子タバコ(VAPE)などの新製品への課税も今後検討される可能性がある。

喫煙者は、以下のポイントも踏まえつつ、何らかの対策を取るのが望ましいだろう。

・禁煙・節煙の検討(経済面・健康面の両方でメリット)

・家計への影響を事前に試算(3年間で累計約11,000円増)

・禁煙外来の利用(条件を満たせば保険適用)

・ニコチン代替療法など禁煙補助手段の活用

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

文/長尾尚子

Author
ライター歴18年。2018年に独立し、フリーランスに。複数のWebメディアで記事を執筆中。育児・教育をはじめ、住宅ローン、保険、金融、エンタメなど幅広い分野の取材・執筆を手がける。【資格】消費生活アドバイザー、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。子ども3人を育児中のママでもある。

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