タイは日本人にとって、最も魅力的な観光地である。
が、タイを含む海外旅行は今や「高嶺の花」になりつつあるとも言われている。その原因を円安だけに求める人が少なくないのだが、それに(円安とイコールではない)タイバーツの高騰も加わっていることに言及しなければフェアではない。現に、タイ政府は様々なバーツ高抑制策を打ち出している。
筆者は今年になって3回もタイを訪れたが、確かに「モノの値段」が高くなったと感じる場面に多々出くわしている。ただ、それでもまだまだ「タイは安い」のではないか。筆者がそう考える理由は、宿泊費にある。
タイのリゾート地パタヤのホテルを見ても、高級さと立地を追い求めなければそれなりの施設、それもプール付きのホテルを2,000円台からの価格で探し出すことができる。
工夫すべきは「ホテル選び」
タイは現在「紛争当事国」になっている。
隣国カンボジアとの領土を巡る問題が再燃し、何とタイ空軍がF16戦闘機を出撃させてカンボジア軍の弾薬貯蔵庫を破壊したという情報も入っている。かつて筆者が実行した「バンコクからバスに乗ってカンボジアを目指す」ということは、当分できなさそうだ。
ただし、それでもカンボジア国境とは程遠い観光地は「平常運転」である。実は筆者自身、この記事をパタヤの滞在先で執筆している。
パタヤはそもそもが外国人の多いリゾート地ということと、上述の円安・バーツ高の同時進行が響いているため食費がかなり高くついてしまう。日本にいたほうが安く上げられるはずだ。だからこそ、パタヤでの滞在費用を少しでも安くしたいと考えるのなら、まず工夫すべきは「ホテル選び」である。
とりあえずここでは、2026年1月15日から同月21日まで滞在するという仮定で、Agodaを使って検索してみたい。絶対条件は「プールがあること」。せっかくリゾート地に来たのだから、プール付きのホテルに泊まりたいと考えるのは人情ではないか。
ビーチから程近いホテルは高い!
単純に料金の安い順から表示していくと、1泊2,215円という価格の部屋を提供している施設があった。
が、これはホテルではなくホステル。部屋の種類はドミトリーだ。さすがにドミトリーはちょっと……という人が大半のはずなので、画面をスクロールして出た2,666円の部屋をクリック。
テレビ、エアコン、バスルームのあるデラックスツイン。部屋自体は決して悪いものではなさそう。が、問題は立地。このホテルは、どうもパタヤ中心部からだいぶ南下した位置にあるらしい。「パタヤの中心部」をどこに求めるのかは見解が分かれるだろうが、ここは東南アジア最大級の歓楽街パタヤ・ウォーキング・ストリートをパタヤの中心と考えたい。
そうした場合、選択肢はだいぶ減っていく。パタヤに限らずどこのリゾート地でも同様のはずだが、海岸にほど近いプール付きのホテルはどうしても高い。一番安い部屋は1泊6,549円のスタンダードルームだった。冒頭で「高級を追い求めなければそれなりの施設、それもプール付きのホテルを2,000円台からの価格で探し出すことができる」と書いてしまった手前、何としても条件の良い部屋を探さなければならないのだが……低価格の部屋になると「時間をかけて歩かないとビーチに行けない距離」のホテルを選ばざるを得なくなるのだ。
「沈没観光客」の需要を目論んだプール付きホテル
もっとも、パタヤという都市には海岸から離れた場所にも歓楽街があり、そこを隠れ家にする外国人観光客の需要を目論んだホテルも数多く存在する。
たとえば、パンデミック以後に急速な開発が進められたソイ・チャイヤプーンという通りがある。ジェントルマンズクラブが立ち並ぶストリートでもあるのだが、そこから程近い場所に『サタス・コート5』という老舗ホテルが。ビーチへは徒歩で10分強といったところ。
「パタヤに沈没するヨーロッパ系観光客御用達の宿」ということで有名だったりもするのだが、何とここにはプールがある。冷静な目で見れば、ここも立派なリゾートホテルなのだ。
そして、このサタス・コート5は日の巡り合わせが良ければ1泊3,000円台で予約を取ることができる。残念ながら上述の日程条件では「完売」だったが、まぁこのあたりは運が多分に作用すると書くべきか。
いずれにせよ、パタヤでのホテル選びは「ビーチまでの距離」が価格に大きく影響すると断言してもいいだろう。ビーチから徒歩5分以内に到着できるホテルは高く、そこから遠くなるにつれてだんだんと安くなっていく……という具合である。
(沈没…旅先に魅了され母国へ戻らなくなること)
まだまだタイは安い!
これらは言い換えると、立地面で贅沢を言わなければ日本のビジネスホテルよりも遥かに安い価格でパタヤのプール付きホテルに宿泊できるということでもある。
以上の理由から、パタヤは依然として日本国内旅行よりも安く楽しめる場所と言い切ることができる。もちろん、これが日本のバカンスシーズン(ゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始)になると事情はまた異なってくるはずだが、それでも海外旅行はちょっとした工夫と機転、そして運次第でどこまでも安く、そして楽しくなるのだ。
文/澤田真一
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