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なぜ、作った?iPhone専用バッグ「iPhone Pocket」が示す今後のiPhoneの在り方

2025.12.22

2025年11月11日、Appleが新製品に関する発表を行った。『iPhone Pocket』に関する内容である。

9月に新型iPhoneが登場したばかりなのに、早速次のシリーズが!? と一瞬考えてしまったが、そうではない。このiPhone Pocket、何とiPhoneを持ち運ぶためのウェアラブルアイテムなのだ。iPhone専用風呂敷、と言ってしまうのはいささかセンスのない代替表現か。イッセイミヤケとのコラボ製品で、「オリジナルの3Dニット構造」を採用したという。

なぜ、Appleはこのような製品を開発するに至ったのか?

「小さく軽いiPhone」は売れない!?

iPhoneの価格は、上昇の一途である。

最も安価なiPhone 16eでも、その価格は9万9,800円から。iPhone 17 Pro Maxの2TB版に至っては、何と32万9,800円だ。スマホにこんなカネは払えない。大体、ちょっと前のiPhoneはもっと小さくて手に馴染むくらいのサイズ感だったじゃないか。あの頃のiPhoneに立ち返ったら、もう少し安い価格で販売できるんじゃないか……と考える人もいるだろう。

ところが、小さくて軽いiPhoneはなかなか売れないということは、今やテクノロジージャーナリストの常識になっている。

現にiPhone miniシリーズは、僅か2世代でその歴史に幕を閉じた。今年発売された「薄型軽量iPhone」ことiPhone Airも、実はかなりの販売不振に見舞われているというリーク情報がある。その一方で、ProとPro Maxの売れ行きは好調の模様。要は「大きなサイズのiPhone」を求めるユーザーのほうが、「小さく軽いiPhone」を求めるユーザーよりも多いということだ。

しかし、昔よりも大型化したiPhoneをどのように持ち歩くのか? という問題がここで発生してしまう。

2万5,800円は「適正価格」か?

「iPhone Pocketは日本製で、イッセイ ミヤケで行われた研究開発の成果である、オリジナルの3Dニット構造を採用しています。このデザインは「一枚の布」というコンセプトからインスピレーションを得て、ブランドを象徴するプリーツ加工の服の日常的な実用性を捉え直したものです。iPhone Pocketの開発とデザインはApple Design Studioとの密接な協力のもとで展開し、Apple Design Studioはデザインと生産全体を通して洞察を提供しました。」
(iPhone Pocketを発表:iPhoneを身につけて持ち運ぶための美しいアイテム-Apple)

Appleが配信したプレスリリースには、iPhone Pocketの製品としての魅力、こだわり、そして機能性が事細かに説明されている。逆に言えば、それしか書かれていない。

ここで敢えて邪推をすれば、「そうせざるを得ない事情」があったのではないか。

Apple Pocketに関しては、発表当初は「靴下の出来損ない」「高価過ぎる謎ウェアラブル製品」という酷評もあった。価格は以下の通りである。

「iPhone Pocketは限定リリースです。短いストラップのデザインはレモン、マンダリン、パープル、ピンク、ピーコック、サファイア、シナモン、ブラックで、長いストラップのデザインはサファイア、シナモン、ブラックで提供されます。iPhone Pocketの価格は、短いストラップのデザインが25,800円(税込)、長いストラップのデザインが39,800円(税込)です。」(同上)

その製品の価格設定が適切か否かは、ブランドや材質、品質を考慮しなければならない。が、単に「2万5,000円のスマホ専用バッグ」と考えた場合、一般消費者にとって確かにこれは安価なものではない。

しかし、そんなiPhone Pocketの模造品が既に出回っているという。模造品が作られるということは、その製品がよく売れているという何よりの証明だ。売れていないものの模造品を作る愚か者は存在しない。現に、Appleの日本版公式サイトではショート、ロング共に全色売り切れ。

テクノロジージャーナリストがどう酷評しようと、この製品は明確な答えを出しているのだ。「iPhoneを収納するためだけのウェアラブルグッズは売れる」という、極めて明確な答えを―—。

「現代人のファッションの再発明」に着手したApple

そしてこのiPhone Pocketは、今後の「iPhoneの在り方」を指し示す製品になっている……とするのは考え過ぎだろうか。

しかし、前に述べたようにminiシリーズはラインナップに定着せず、Proシリーズは好調な売れ行きを示している。あれだけ期待されていたiPhone Airは、今や完全に影の薄い機種になってしまった。となると、今後のiPhoneは基本的に大型路線を維持していく……と考えるのが自然ではないか。

また、これからは「iPhoneからウェアラブルアイテムが続々発売される」という可能性も考慮しておくべきだろう。かつて、「電話の再発明」というキャッチフレーズでiPhoneを世に送り出したAppleが、現代人のファッションをも再発明してしまうことはあるのだろうか。

【参照・画像】
iPhone Pocketを発表:iPhoneを身につけて持ち運ぶための美しいアイテム-Apple

文/澤田真一

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1984年生まれ。静岡市生まれ相模原市育ち。グラップリング歴20年超。世界のスタートアップ情報からガジェットレビュー、Apple製品、キャッシュレス決済、その他諸々のジャンルの記事を執筆。

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