現在、エンタメビジネス全体の国内コンテンツ市場は年々拡大しており、映像コンテンツと情報サービスが市場を占めている状況で、エンタメコンテンツの日常的な利用率ではデジタル・リアルともに「映画(館)」がトップとなっているという。
マーケティング領域全般における統合的なソリューションを提供しているADKマーケティング・ソリューションズ(ADK MS)は、そんなエンターテインメント領域におけるユーザー動向や実態を把握・分析して可視化した「エンタメ総合調査レポート2025」を作成して公開した。
この調査では、動画プラットフォームに着目して、動画トレンドの現状を把握しつつ動画プラットフォームのファン分析を行っている。ここでは「動画コンテンツ視聴トレンド」と「動画プラットフォームのファン分析方法とその結果」について紹介していこう。
動画コンテンツの視聴トレンドは「じっくり・集中して一気見」
・好きなエンタメコンテンツランキング
今回の調査では、好きなエンタメコンテンツは映画、ドラマ/バラエティー、アニメの動画系コンテンツが上位を占めており、エンタメユーザーをもっとも惹きつけるのは「動画」だった。10位以内には、スポーツ観戦や温泉施設、テーマパーク・遊園地もランクインしていた。
「動画」の動画視聴スタイルは、全世代ともに「じっくり・集中して一気見」派が大半を占めており、視聴時間帯も21時から22時が多く、1 日の終わりにじっくりと動画を見る人が多い傾向がわかった。タイパを意識した“倍速視聴”や“ながら視聴”が話題になりがちだったが、じっくり時間を掛けて視聴するスタイルが主流のようだ。
動画コンテンツジャンルの視聴トップは「音楽・ライブ」
コンテンツ(作品)のジャンルに関しては、視聴経験、好意、ファン意識ともに「音楽・ライブ」がトップだった。コンテンツジャンルに対する好意やファン意識は、推し活とも密接に結びついているようだ。
「音楽・ライブ」ジャンルについて深掘すると「音楽オーディション×リアリティショー(オーディション系リアリティショー)」コンテンツがファンの支持を集めていた。オーディション系リアリティショーは、スタート時にファンが少なくても番組を通してファン意識が徐々に形成されて、視聴者参加型コンテンツやSNSのハッシュタグなどを利用した番組コミュニティ、オーディション背景のストーリーの発信などでファン化していくと推測できる。
「グロースカーブ」&「X-PACK」でファン分析
調査を行ったADK MSのマーケティング事業では、商品・サービス・ブランドを支持して売上・収益をもたらすだけでなく、他者にも影響を与える発信行動で情報の起点になりうる存在を「ファン」と位置付けて、「心理軸」と「経済軸」で定義している。
AKD MSオリジナルのファン分析メソッド「グロースカーブ」と「X-PACK」を活用することで、動画プラットフォーム上の好意やファン意識を深掘して動画視聴のファンの実態や育成方法を検討できるという。
・グロースカーブ
「グロースカーブ」は、ファン意識とビジネス成長の関係性を把握できるブランドコンディションマップ。横軸を「心理軸=ファンの量(ファン自認率)」、縦軸を「経済軸=ビジネス上の優良行動量」として市場内の各ブランドをプロットして、そこに現れる近似曲線をグロースカーブ」としてマップ化。ブランドがカーブのどこに位置しているかによって、採るべき戦略の変化を検討できる。
・X-PACK
「X-PACK」は、心理軸と経済軸で顧客を6つのセグメントに分類して、顧客構造を捉えるファン構造フレームワーク。左右を「心理=ファン意識の有無」、上下を「経済=ブランドやサービスなどに対する行動量」として顧客を6分類したもの。
動画プラットフォームは、縦軸を「経済軸=メイン利用率」、横軸のファン自認率の割合とメイン利用率の関係性を「グロースカーブ」でみると、ファン自認率の割合が回答者全体の5%前後を超えるとメイン利用率の伸び率が加速して、グラフ波形がS字のカーブを描いている。ファン割合が5%から10%では縦軸のメイン利用割合の伸び率が加速しているので、これをみると早期のファン育成が重要ということがわかる。
主要動画プラットフォームのファンに関しては、休日や余暇の「動画をじっくり視聴」の割合が回答者全体平均よりも高い傾向があった。好きなコンテンツ(作品)には、じっくり付き合うファンが多いことも特徴といえるだろう。
構成/KUMU







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