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歩行領域モビリティとして話題のダイハツ「e-SNEAKER」に試乗してみて気づいたこと

2025.12.14

道路交通法の改定によって2023年4月に新設された「歩行領域モビリティ」。最高時速6kmで免許は不要、歩行者として歩道を走行できるという新しいカテゴリーの乗り物です。

歩くのが難しい方の移動手段として期待される一方、歩行者の中を走ることで事故やマナーの問題は起きないのか、といった不安もあります。

今回は、そんな歩行領域モビリティとして2025年8月にダイハツから発売された『e-SNEAKER(イースニーカー)』に試乗してきました!

免許なしで乗れる歩行者用モビリティ

筆者が訪れたのは、2025年12月5~7日にインテックス大阪にて開催された『ジャパンモビリティショー関西2025』。

ダイハツのブースでは、1957年に登場した三輪トラック『ミゼット』のリバイバルモデル『ミゼットX』や、軽のオープンカーとして人気を博した『コペン』の次期モデルと期待される『K-OPEN』など、未来を感じさせるコンセプトカーがズラリ。

はいだしょうこさんの歌声でおなじみのCMソングにある「小さいからこそできること」という歌詞が、そのまま形になったような展示でした。

そんな中、試乗車として展示されていたのが電動の1人乗り4輪車『e-SNEAKER(イースニーカー)』。シニアカーとして使えるのにスタイリッシュ、誰でも簡単に乗れる歩行領域モビリティです。

実は筆者がEスニーカーを見たのは初めてではありません。

その出会いは、大阪・関西万博。ゲートを入ってすぐのところでタイヤに『ミャクミャク』の目がデザインされた車両が走っているのを見かけ、「あれは何? 乗ってみたい!」とワクワクしました。

来場者向けのパーソナルモビリティとして貸し出されていたEスニーカー。まさか本当に乗れる日が来るなんて思ってもいませんでした!

Eスニーカーに乗ってみた

試乗の前に、まずは操作方法や注意点といった説明を受けます。

Eスニーカーの操作はとってもシンプル。

・前進:右手のアクセルを回す
・速度調整:アクセルの回し具合、または+−ボタンで最高速度を設定
・ブレーキ:左手のレバー、またはアクセルを戻す
・後退:右手親指のボタンを押す

直感的に扱える設計で、初めてでも安心して操作できそうです。

説明を聞き終わったら…いよいよ出発です!

今回は会場内に設置された、1周20mほどのコースを4周まわりました。まずは慣らしでゆっくりと、時速3kmで進みます。第一印象で感じたのは、電動ならではのスムーズな発進と静かな走行音。まるですべるように走れるのです。

また、エアタイヤとサスペンションのおかげで乗り心地もよく、シートもふかふか。どこへでもゴキゲンに、フットワーク軽く移動できちゃいそうな快適さでした。

小回り性能と安全機能に驚き

ストレートを抜け、初めてのUターンへ。まずは余裕をもって大回りで曲がってみます。

この時点で、早くも小回りの良さを実感しました。Eスニーカーの最小回転半径は1.43m。一般的な車いすと同程度ですが、ハンドル操作だけでスッと曲がれるため、数値以上に軽快に感じられます。

2周目以降は最高速度の時速6kmまで上げて、少し攻め気味に走行。そよ風が頬をなでる程度のスピードで、筆者にとっては小走りくらいの感覚です。

そのままのスピードを維持して、今度は小回りでUターンに突入! スピードと旋回が重なると転倒の不安もよぎりますが…Eスニーカーが危険を察知し、自動で速度を落としてくれました。

スタッフの方によるとEスニーカーは、

・坂道・旋回時の自動減速機能(速度抑制機能)
・傾斜センサーによる急斜面検知
・後退ブザー
・ブレーキ解除スイッチ

など、安全性を高める多数の機能を搭載しているのだそう。今回は試せませんでしたが、7.5cmの段差や幅10cmの溝も乗り越えられる走破性も備えているのだから驚きです。

筆者自身、最近ベビーカーを使うようになって気が付いたのですが、街中には意外と小さな障害が多いもの。それらを気にせず移動できるのは大きな価値だと感じました。

最後は、バックをしながら指定のエリアへ駐車。視点が高く死角が少ないため、狙った場所にスッと停められました。

意外とシビアなアクセル操作

ここまで満足度の高かった試乗ですが、ひとつだけ気になった点もありました。それは、時速6km設定時のアクセルワークの難しさ。

Eスニーカーはレスポンスがよく、アクセルを回せばすぐに最高速度に到達します。これはメリットでもあるのですが、その分速度の調整が難しく、慣れるまでは前後に振られやすいかもしれません。

人の少ない場所なら6km設定でも問題なさそうですが、街中やショッピングモールでは最高速度を抑え、余裕を持って運転する必要があると感じました。

特例特定小型原付より「人に近い」モビリティ

免許不要の電動モビリティといえば、電動キックボードなどの「特例特定小型原付」を思い浮かべる人も多いかもしれません。

しかし比較をしてみると、

・特例特定小型原付:車両扱い
・歩行領域モビリティ:歩行者扱い

と、法的位置づけが大きく異なります。

歩道走行の可否や年齢制限の有無を考えると、歩行領域モビリティはより“人に近い”存在。またEスニーカーに関しては、ダイハツにより走行性能や安全機能がしっかり作り込まれ、故障時の補償や修理体制も明確という点もユーザーフレンドリーだと言えるでしょう。

乗り心地・操作性・長く使うことを考えた安心感。これらを加味すると、Eスニーカーは歩行領域モビリティの中でも、有力な選択肢になるのではないかと感じました。

文/高木はるか

アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。

高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com

編集/inox.

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スーパーカブ90、クロスカブ110、ヴェルシス650を所有する生粋のライダー。全国をツーリングして遊んでいるうちに、いつの間にかそれが仕事になっていた。夢は全国の酷道制覇と、タイでカブツーリング。車はハイゼットトラックを所有。2024年に第一子を出産し、ママさんライダーとなった。

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