トップランナー制度に基づく新しい省エネ基準がスタートし、基準を満たさない低価格モデルは市場から姿を消す可能性がある。
駆け込み需要による品薄や価格上昇も懸念される一方、最新モデルは電気代の大幅削減で長期的にはお得?交換のベストタイミングはいつなのか、その答えを探る。
エアコン 2027年問題
#エアコン交換のタイミング #トップランナー制度 #グリーン家電
家庭用エアコンの省エネ基準が2027年度から大幅に厳格化される。基準を満たさない比較的低価格なエアコンが販売できなくなる可能性があるため、駆け込み需要による品薄や価格高騰も予想されている。
家電ライターの藤山哲人さんによると、この省エネ基準は1997年採択の京都議定書に端を発し、1999年の省エネ法改正で導入された「トップランナー制度」によって決められているという。
「その時点で市販されている製品の中で最も優れた性能を基準とするのが、トップランナー制度です。2027年度の基準は、その5年前の22年に発表されており、各メーカーはすでに対応を進めてきているところです」
実際、三菱電機や富士通ゼネラル、日立は、すでに現行モデルの多くで27年度基準を達成している。世界で最も厳しいとされる省エネ基準に、各メーカーはどのように対応しているのだろう。
「技術的なアプローチとしては、室外機のコンプレッサーと、コンプレッサーを回すモーター、モーターを制御するインバーターの効率向上がキモとなります。つまり、インバーターに用いられるパワー半導体やモーターを自社で製造しているメーカーに強みがある」
その技術を持たないメーカーは市場から撤退するのだろうか?
「現在でもメーカー同士で部品を供給しあっているので、それほど問題にはならないでしょう。また、低価格のモデルでは、室外機をより大きな畳数用に変えることで対応するケースも増えそうです」
とはいえ、安いエアコンでは価格の上昇は避けられないという。
「現在6万円クラスであれば8万円ほどになるかもしれません。ただその分、電気代は年に7000円ほど安くなるから、2万円高くても2年で元が取れます。それ以降は毎年電気代が3000円ずつ安くなるので、省エネ性能の高い製品を買うほうが得です」
つまり、あわてて買う必要はなく、今後出てくる製品の省エネ性能を見て検討するのが賢明だろう。
【DIMEの読み】
2027年度以降、新基準に満たない製品が、すぐに販売できなくなるかは未定だ。ただ、省エネ性能が一段と向上することで、これまで以上に買い換えるメリットが生まれ、市場の活性化に繋がりそうだ。

出典:資源エネルギー庁、省エネルギーセンター「省エネ性能カタログ」等を基に作成
エアコンの省エネ率は、1990年代から2000年にかけて大きく下がったものの、07年頃から横ばいが続いている。
量販店に行ったら、緑のシールをチェック!

省エネ性能や年間電気代の目安を表記する「統一省エネラベル」が量販店の売り場で確認できる。現在は2020年度と27年度が混在しているので注意。
三菱電機は多くの機種で省エネ基準をすでに達成!

写真の『FZ』シリーズの最新モデルのほか『Z』『X』『FD』『ZD』も、2027年度の省エネ基準達成率をクリアしている。
〈最新技術1〉ポキポキモータ

コイルの巻き線構造を変えることで、小型化や高効率・高出力を実現。エアコンやエレベーターに使われている。
〈最新技術2〉高効率パワー半導体 SiC

同社が開発する家電向けパワー半導体モジュール『SiC SLIMDIP』は、高出力化と電力損失の低減を実現。
自宅のエアコンの性能のチェックには
省エネ製品買換ナビゲーション『しんきゅうさん』を使おう

省エネ製品への買い換えによる電気代削減効果を比較できるサイト。エアコン以外もチェックできる。
取材・文/小口 覺 編集/寺田剛治
※エアコンは冷房・暖房期間中の消費電力。冷暖房兼用・壁掛け型・冷房能力2.8kWクラス・省エネルギー型の代表機種の単純平均値。
電気冷蔵庫は年間消費電力量。定格内容積400Lとする場合。定格内容積当たりの年間消費電力量は主力製品(定格内容積401〜450L)の単純平均値を使用。
2015年度以降JIS規格が改訂されている。テレビは年間消費電力量。ワイド32型のカタログ値の単純平均値。
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