みなさんは、「コーン茶」を飲んだことはあるだろうか?
筆者は数年前にコーン茶に出会って以来、お茶としては珍しい甘みにハマり、見つける度に購入していた。
そんなにあちこちに売っているものではなかったので、見つけたらラッキーなため即買い、という感じであった。
しかし、最近そんなコーン茶を見かけることが増えていのるのに気がついた。たまに見かけるだけだったコーン茶が、コンビニやスーパー、自動販売機などで簡単に見つけられる。それに種類も増えている。
なぜだろうか?いつの間にかコーン茶ブーム勃発か?気になったので調べてみた。
最初は“韓流ブーム”がキッカケ

まず、結構前から販売されている「北海道コーン茶」に着目した。この商品はポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社から発売されている。
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 「北海道コーン茶」の開発に携わった高井朋子氏に話を聞いた。
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社は、2012年には『やすらぎ気分のコーン茶』を、2016年には『さっぽろ大通公園名物 焼きとうきび茶』を発売しており、コーン茶に携わる歴史は長い。
現在発売されている『北海道コーン茶』は2021年に登場したものだ。そもそも「コーン茶」に着目したのはどのような理由からだろうか?発売した経緯について話を聞いた。
「2012年の最初に開発した当時は、韓流ブームがきっかけでした」(以下「」内、高井氏)
「コーン茶」は韓国でよく飲まれているお茶の一種である。当時、韓国系スープブランドを販売していた中で、韓国のお茶の「コーン茶」も開発することになったのだという。
しかし、当時は「コーン茶」に対する反響はそこまで大きくはなかったんだとか。
「2016年に北海道子実コーン生産組合から『子実コーン』の新たな用途開発ができないかとお話をいただきました。そこで開発したのが『さっぽろ大通公園名物 焼きとうきび茶』でした」
これは現在発売している『北海道コーン茶』の元になる商品だ。子実コーンとは牛などの飼料として使われているコーンであるが、食用としての用途開発を検討する中で、コーン茶の開発へと結びついた。
素材へのこだわり

『北海道コーン茶』は香ばしさや甘みが特徴的なお茶であり、ノンカフェインなこともポイントだ。どのようなこだわりを持って開発しているのだろうか?
「当社ではコーンスープも開発していることもありコーンのおいしさにはこだわりがあります。『北海道コーン茶』にはコーン茶に合う北海道産のとうもろこしを使用しています。また、缶コーヒーの開発で培ったコーヒー豆の焙煎技術を活かし、とうもろこしの焙煎にもこだわっています。」
甘さと香ばしさのバランスを試行錯誤した末に「甘さ:香ばしさ=3:2」の結論に至り、焙煎度合いを考慮しているという。
『北海道コーン茶』の売れ行きはずっと右肩上がり
発売当初からの売れ行きの増減具合はいかがなものだろうか?筆者が想像するようにコーン茶ブームが始まっているのだろうか?
「売れ行きは常に右肩上がりに伸び続けています」
2021年から発売された『北海道コーン茶』はずっと右肩上がりの販売状況であり、2023年からはさらに伸びたという。24年、25年も好調の波に乗っているんだとか。
じわじわと人気になった理由は何だろうか?
「業務用北海道コーン茶を2019年から発売しているのですが、その影響も大きいと思います」
詳しく聞くと、韓国料理店や焼肉屋などの外食でコーン茶やコーン茶割りなどに出会い、気に入った方がペットボトルを見つけて購入という流れが多いのだという。特に若い世代や女性からの人気が高いんだとか。
実は筆者も最初にコーン茶に出会ったのは焼肉店であった。そこで飲んだ味わいが忘れられず、ペットボトル飲料を見つけては購入するようになったのだ。
「最近では他社からも『コーン茶』が発売されており、コーン茶自体の認知度が上がり、それによって、『北海道コーン茶』もさらに売り上げが増加している状況です。」
小さいサイズを展開したことも売上に貢献

2024年には『北海道コーン茶』525mlの通常サイズに加え、275mlの小さいサイズも登場した。
「小さいサイズは主に自動販売機で販売しています」
これが女性や高齢者など、少し飲みたいニーズに当てはまるのだという。確かに筆者も出先で喉が乾くと、持ち運びを考えて小さいサイズを選びがちだ。
「特に寒い時期にはホットがよく売れています」
ホットのコーン茶も甘さや香ばしさが蒸気の中にも感じられ、ほっとするような味わいになる。
2025年に登場した『GREEN DA・KA・RA やさしいコーン茶』

だんだんコーン茶ブームの全貌が見えてきた気がする。
ここで、最近新たにコーン茶の販売を開始したサントリー食品インターナショナル株式会社 ブランドマーケティング本部の石田太郎氏にも話を聞いた。
GREEN DA・KA・RAシリーズからも、今年2025年に『GREEN DA・KA・RA やさしいコーン茶』が発売されている。
開発のキッカケはなんだろうか?
「きっかけは、近年の健康意識の高まりとカフェインコントロールのニーズです。ノンカフェイン茶市場は拡大していますが、現状では麦茶やブレンド茶、ルイボスティーなど選択肢が限られています」(以下「」内、石田氏)
ここに新たな価値を提供できるチャンスを感じたのだという。
「コーン茶は若年層を中心に認知や飲用経験率が上昇しており、新たなノンカフェイン茶の選択肢として定着する可能性を秘めています」
「コーン茶」の開発に対して慎重な声も

今回発売された「やさしいコーン茶」は、北海道産とうもろこしを100%使用。焙煎方法の異なる2種のコーンをブレンドすることで、コーンらしい甘さと香ばしさを強化し、満足感がありながらも、すっきりとゴクゴク飲める味わいに仕上げたとのこと。
ただ、「コーン茶」は流行ってきているとはいえ認知度は他のお茶に比べて高くはないため、開発に関しては意見もあったという。
「当初、社内では飲用経験者が少なく、開発に対して慎重な声もありましたが、同じく市場としてはニッチだった『やさしいルイボス』がクセのあるイメージを払拭し、多くのお客様に受け入れられた成功体験が後押しとなり、商品化に至りました」
今回の『やさしいコーン茶』も、まだイメージの少ないコーン茶を「やさしい」というネーミングで手に取りやすくし、日常茶として定着させることを目指しているとのこと。
計画比約1.5倍の好調な売れ行き
どのような方が『やさしいコーン茶』を購入しているのだろうか?
「『やさしいコーン茶』は、若年層を中心に幅広い方に手に取っていただいています。
また、ノンカフェイン茶であるため、小さなお子様にも安心してお飲みいただけることから、親子でも一緒にお楽しみいただいております」
特に、ノンカフェインであることが健康や美容に良いイメージにつながり、評価されているという。
現時点での売れ行き具合はいかがなものだろうか?
「現時点では計画比約1.5倍(25年4-10月)と、非常に好調に推移しています。今後も多くのお客様にお飲みいただけるよう、引き続き取り組んでまいります」
コーン茶はどこまで伸びるのか?
キムチや冷麺など、韓国から伝わり日本に深く馴染んでいる食事は少なくない。
コーン茶も、いつかはその仲間入りをするのだろうか? 今後の経過を見守りたい。
取材協力:ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社、サントリー食品インターナショナル株式会社
文:まなたろう
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