いやー、ラブブが大流行していますね。香港在住のアーティストが作ったウサギのような長い耳とギザギザの歯が特徴のキャラクターで、SNSでBLACKPINKのリサやリアーナなどセレブが愛用していることをきっかけに世界的なブームになったわけです。
私、こないだ旅行でモンゴルに行きまして、ウランバートルにある市民マーケットみたいなところに行ったのですが、もうラブブ、ラブブ。
現地ガイドいわく「全部ニセモノですよ」らしいですが、海賊品が出るということは流行の証しでもあるわけで、その影響力を体感した次第です。
ラブブってキャラのかわいさがウケているのも当然ですが、バッグやスマホに付けるチャームとしても人気でハイブランドとの合わせでセンスを見せつける、みたいなのもあるようです。
あ、チャームっていうんですよ、最近。ついていきましょう、流行に。

さて、温故知新していきましょう。洋服やバッグに付けるチャームで大流行したものといえばファーチャーム。そう。フェイクファーのしっぽを付けるギャルが2000年代初頭に大量発生しましたよね。
もちろん発信源は、浜崎あゆみさん。ギャルといえばガングロだった90年代が終わり、白ギャルといわれる新しいギャルのカリスマだったあゆがテンガロンハットをかぶってファーチャームを付ける姿に憧れて、みんな尻尾を生やしてましたねぇ。
今、平成ギャルブームがきてて、ファーしっぽを同じようにスクールバッグやスマホに付けているJKもいるらしいです。時代の輪廻に「ファー」と声が出てしまいますねぇ。
ちなみに、一説ではファーチャームを付け始めたのはマドンナだ、という声もあります。ケモ耳的なかわいさがあったんですかね。ケモナーなんて言葉もない時代でしたが。
サンリオのフットワークが生む、積極的なコラボ
キャラクターがセレブにフックアップされてファッションアイテムになる、といえば忘れてはいけないのがハローキティ。生誕51年の、老舗サンリオが誇るキティちゃん。
2010年くらいからマイリー・サイラスやブリトニー・スピアーズ、アヴリル・ラヴィーンやケイティ・ペリーにパリス・ヒルトンがプライベートやパーティーに出席する際にキティちゃんをあしらったグッズを付けることでファッションアイテムに昇華しました。デュア・リパがキティちゃんのビキニを着ている画像はめっちゃバズりました。
サンリオの凄いのはフットワークの軽さ。ビッグウェーブを感じると全面的に協力してセレブと積極的にコラボ。ファッションアイテムとしてキティちゃんだけではなく、シナモロールやマイメロディ、バッドばつ丸、ハンギョドンなど潤沢すぎるラインナップで展開する姿はたくましさしかないですよね。
キャラクターIPがスタンダードになるのは本当に難しく、氷山の一角だと聞きます。確かにあの日爆発的に売れたアレもコレも気がつけば見なくなってしまいました。そう考えるとアンパンマンやドラえもん、ディズニーやポケモンなどのスタンダードがいかに盤石かということを思い知ります。
セレブとのコラボやファッションアイテムとしてブレイクしたラブブ、でもそれは「流行物」とのコラボという禁断の果実でもあるわけで、10年後もあるのかどうか。ラブブの原作者が不穏なインスタをアップロードしていたりと、時代の徒花へ一直線な雰囲気も否めません。
30年後に「令和レトロ」とか言ってリバイバルでヒットする、とかではなく、これからもスタンダードとして世界中から愛されてほしいものですね。在庫過多でホコリまみれで世界中の倉庫に山積みにされるラブブなんて見たくないもの!

ヒャダイン
音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名 前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。様々なアーティストへ楽曲提供を行ない、自身もタレントとして活動。
文/ヒャダイン
※「ヒャダインの温故知新アナリティクス」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME1月号に掲載されたものです。







DIME MAGAZINE











