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アフタヌーンティーを「あんこ」にしたら売上が6倍に!40〜50代夫婦が殺到した〝意外すぎる理由〟

2025.12.13

2022年のユーキャン新語・流行語大賞に「ヌン活」がノミネートされ数年が経った今も、なお若い女性を中心に人気の「ホテルアフタヌーンティー」。しかしアフタヌーンティーを楽しめるホテルは世の中にあふれかえっており、選ばれる側は激戦だ。

そんな中で前年比の約6倍となる約1,200食を売り上げたのが、品川プリンスホテルの「あんこ」を主役にしたアフタヌーンティーだ。ユニークなポイントは、利用者の多くが40~50代のあんこ好き夫婦であるということ。

日本あんこ協会監修の、本気のあんこ好きが作ったアフタヌーンティーが成功した理由を、品川プリンスホテルの土田文生さんと日本あんこ協会のにしいあんこ会長に伺った。

(左)レストランサービス 江尻久美子さん、(中)味街道 五十三次 料理長 板倉宏さん、(右)セールス&マーケティング部の土田文生さん。

老若男女、世代を問わない魅力がある。あんこに秘めた可能性

あんこ好きの間で話題となったアフタヌーンティーが、2025年1月から3月末にかけて品川プリンスホテルの和食レストラン「味街道 五十三次」で提供していた和のアフタヌーンティー「おこたであったか “あんフォンデュ”」。お団子やイチゴなどさまざまな食材を2種類のあんこにフォンデュして楽しむ、日本あんこ協会監修のアフタヌーンティーだ。

品川プリンスホテル、セールス&マーケティング部の土田文生さん。

土田さん「味街道 五十三次では和のアフタヌーンティーを開催していましたが、企画会議の中でスタッフの一人から『あんこをフォンデュする体験が楽しいのではないか』、という意見がでて、あんこを主役にしたアフタヌーンティーを検討し始めました。そして調べている中で日本あんこ協会の存在を知り、にしいあんこ会長に連絡をしたところ、協力を快諾いただきました」

日本あんこ協会のにしいあんこ会長。

日本あんこ協会は2018年10月に創設し、「あんこを通じて世界平和を実現する」をミッションにあんこの魅力を伝える活動をしている。創設当初は17人だった日本あんこ協会員=あんこのスペシャリスト「あんバサダー」は、2025年10月時点で11,000人を超えるほど増加。日本あんこ協会員はSNSやイベントなどであんこの魅力を発信し、令和あんこブームの一躍を担っている。

にしいあんこ会長「令和あんこブームと言われているように、おはぎなど進化系あんこスイーツが近年人気です。私自身の活動としては百貨店、商業施設、自治体、鉄道会社など幅広い事業者と協力してあんこの魅力を伝えていますが、2018年と比べると問い合わせ件数が増加しており、あんこの世の中のニーズを強く感じています。ホテルのアフタヌーンティーを監修したのは品川プリンスホテルが初めてです」

日本あんこ協会員の男女比は1:2と女性比率が高いものの、「あんこ好きはどんな人か」という問いに対して、「50代男性も目立っています」とにしいあんこ会長。あんこは子どもも、中高年も、高齢者も、女性も、男性も、老若男女みんなに愛されやすい食べ物なのだ。

にしいあんこ会長「あんこには夫婦間や世代間コミュニケーションの橋渡しになる可能性を秘めています。男女、あるいは年齢が離れていると趣味趣向が異なることも多いですが、『あんこ』はみんなが共通して好き。

私の原体験としても、おばあちゃんやおじいちゃんが食べていたお饅頭を分けてもらって一緒に食べた思い出があり、コミュニケーションのきっかけとなっていました」

約1,200食売れた、前回の「おこたであったか “あんフォンデュ”」。

「あんこ好きは男性も多い」という仮説を実証するように、「おこたであったか “あんフォンデュ”」の利用者の多くは40?50代の夫婦。そして男性1人もしくは男性2人で利用する人もいたという。それまで味街道 五十三次のアフタヌーンティー利用者は圧倒的に女性同士が多かったにも関わらず、あんこを主役にしたら、男性が利用するようになったのだ。

土田さん「アフタヌーンティーは女性同士が多く、男性は行きづらいというイメージがありますが、『おこたであったか “あんフォンデュ”』はご夫婦で来てくださっている人を多く見かけました。

あんこ好きな旦那様からも『おいしかったです』とお声をいただきましたね。今まで『あんこ』を主役にしたアフタヌーンティーは初めてで、その反響からあんこには大きな可能性が秘められていたことを実感しました」

あんこ好きが考えたからこそ、おいしい。今年は「餡くらべ」を提供

あんこを使ったアフタヌーンティー自体は、珍しくはない。しかし、ほかのあんこアフタヌーンティーとの違いは、あんこのプロである「日本あんこ協会が監修している」というのが大きなポイントだ。『おこたであったか “あんフォンデュ”』では温かい「つぶあん」と冷たい「皮むきあん」の2種類のあんフォンデュを用意したのがこだわり。品川プリンスホテルと日本あんこ協会がブレストを重ね、あんこ好きが思わず笑顔になりワクワクするような新たなアイディアを実現させた。

にしいあんこ会長
「会話の中で『あんこは温かいものだけじゃなく、冷たいものもおいしいよ』という話が出て、温と冷の2種類のあんフォンデュを用意しました。あつあつのお餅と、冷たいあんこを合わせると、本当においしいんです。

そして冷たいあんこは、スッキリとした舌触りの皮むきあんを採用しました。こしあんではなく、あえて皮むきあんにすることで『皮むきあんってなんだろうね』とみなさんに楽しんでもらえたと思います。結果として、皮むきあんを世の中に知ってもらえるひとつの機会になりましたね」

2026年3月31日(火)まで販売中の「おこたであったか 餡くらべ」。

前回の好評を受けて、2025年12月1日(月) ? 2026年3月31日(火)は第二弾となる和のアフタヌーンティー「おこたであったか 餡くらべ」を開催。あんこのさらなる魅力を伝えるべく、粒あん・こしあん・白あんだけではなく笠間栗のあん・かぼちゃあん・紫芋あん・ピスタチオあん・いちごみるくあんを選べるように用意している。また、和菓子だけではなくショコラ羊羹や栗あんのモンブランタルトなど洋風のあんこスイーツも楽しめる。

餡3種・通常席は6,500円(税込)、餡8種・通常席は8,000円(税込)、おこた特別席は1人あたりプラス500円(税込)。

土田さん「日本あんこ協会では『あんことは食材を煮詰めて練ったペースト状のもの』と定義されていて、それにのっとりあんこの種類を増やした点が今年の特徴です。にしいあんこ会長よりおいしいあんこは『水が大切』というアドバイスもいただいたので、あんこを炊く時の水は昨年に引き続きプリンスホテル超軟水『南魚沼のおいしい湧き水』を使用しています。昨年大人気だった『おはぎの天ぷら』も、ぜひお楽しみください」

最中につぶあんを挟み、軽く炙ると、おいしさがアップ。

実際に体験してみると、あんこの食べ比べは想像以上に楽しい。そしてあんこを最中に挟んだり、お団子を焼いてから好きなあんこをのせたり、色々な食べ方を体験できる。食事メニューも充実していて、「和牛炙り焼き 西京味噌ソース」×「粒あん」という斬新な食べ方も提案している。

また、席は通常席のほか「おこた特別席」を用意。昨年は1組限定だったが多くの問い合わせを受け、今年は昼・夕・夜の1日3組限定で提供するという。

あんこを主役にした結果、従来とは異なる顧客層へとアプローチできた品川プリンスホテルの和のアフタヌーンティー。「食べ物で何が一番好きか」という問いの答えに「あんこ」と答える人は少数かもしれない。

しかし、「隠れあんこ好き」は世の中に多いと、にしいあんこ会長は話す。さらに「抹茶」を皮切りに「餅」、「あんこ」と外国人に和菓子ブームが広まりつつあり、日本の魅力を伝える食材としても評価できる。そこにあるのに、意外と気づかれていないーー「あんこ」に秘められた可能性は、未知数かもしれない。

・品川プリンスホテル 味街道 五十三次
和のアフタヌーンティー 「おこたであったか 餡くらべ」

HP:https://www.princehotels.co.jp/shinagawa/plan/53/afternoontea_ankurabe/

取材・文/小浜みゆ

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明治大学 経営学部を上位成績で卒業後、IT企業で営業・企画を経験。その後フリーのライター・フォトグラファーとなり、「旅」と「美容」を軸に執筆を行う。毎週のように国内外を飛び回り、自分自身でトレンドを体感し、記事を書くのがモットー。趣味は道の駅巡りで、関東道の駅全制覇。地方創生を応援したい。

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