
海外旅行にクレジットカードは必需品である。なぜなら、「お金を落としたり盗まれる」ということがクレカを使っている限りはまず起こり得ないからだ。クレカを落としたとしても、すぐに利用停止措置を取れば何とかなる話である。
したがって、現地で現金が必要になった時もATMからキャッシング……といきたいが、ちょっと待った! そのキャッシング、もしかしたら「自動リボ設定」になっているかもしれませんよ。
いや、それどころか規約で「海外でのキャッシングは原則リボ払いのみ」としているカードも珍しくない。にもかかわらず、現実問題それを知らない人は少なくないのではないか……。
実際使った額より請求額が少ない!?
筆者がタイを旅行していた時のことである。
タイを含む東南アジア諸国は、外国人観光客にとってはまだまだ「現金社会」だ。なぜかと言えば、これらの国々は「クレカを持っていない低所得者層からキャシュレス決済を利用できるようにする」という政策を打ち出しているから。
日本は全国各地に地方銀行や信用金庫があり、日本人である限り「預金口座を持たせてもらえない」ということはまずない。しかし、国際的に見ればそれはかなり珍しい光景なのだ。海外では預金口座を持っていない成人は、決して珍しくない。
そのような人たちにキャッシュレス対応させるのが最優先であり、故にクレカを持っている外国人はいろいろなところで不便に直面する(それはやむを得ないことであるが)。要は、タイでの旅行にキャッシングは絶対に避けては通れない行為なのだ。
ところが、このキャッシングには「意外な落とし穴」が。
筆者自身、タイにはよく渡航しているが、ある時PayPayカードの請求額を見て驚愕した。明らかに、使ったはずの額よりも安いのだ。「ウン万円得したぜ!」などと喜んでいる場合ではない。利用明細を調べてみると、何とタイのATMでキャッシングした分が勝手にリボ払いになっているのだ。

「リボ払いのみ」と「1回払いのみ」が混在
実はこれは、PayPayカードの規約に最初から記載されていることである。
必ずご確認ください
・海外キャッシングの利用分はリボ払いのみとなるため、30日で全額お支払いいただくためにはリボ残高おまとめ払いまたは繰り上げ返済が必要です
・「リボ残高おまとめ払い」はリボ払いのご利用残高の一部または全額を次回引き落とし日にまとめてお支払いできます
(海外キャッシング-PayPay)
筆者は「海外キャッシングはリボ払いのみ」ということを全く知らなかった。ど、どうりで計算が大きく違ってくるわけだ……。
なお、他のクレカ発行会社の規約を見てみると、PayPayカードと同様に「海外ではリボ払いのみ」ということがよくあるらしい。
※海外でのキャッシングご利用はリボルビング払いとなります。1括払いでのお支払いをご希望の場合は、リボ払い返済額の変更サービスをご利用ください。
(海外でキャッシング-オリコ)
海外でキャッシングをご利用いただいた場合、お支払い方法は「リボ払い」となります。
(よくあるご質問-イオンカード 暮らしのマネーサイト)
その一方で、「海外でのキャッシング利用は1回払いのみ」としているカードも。
海外キャッシングでは1回払いのみとなり、キャッシングリボ払いはご利用いただけません。あとからリボ払いへのご変更は可能です。
(キャッシングリボ払い-楽天カード)
クレカはトラベラーズチェックの「上位互換」
さて、筆者はファイナンシャルプランナーというわけではなく、またこの記事の主旨は「海外旅行におけるクレカキャッシング」であるため、リボ払いがその人のライフプランにどのような負担を与えるのかをここで論じることはない。
海外では、常時まとまった現金を持ち歩くよりもリボ払いになってしまってもいいからキャッシングするべきだということをここでは論じたい。
15年ほど前までは、紛失しても再発行できる「トラベラーズチェック」というものが存在した。これは大手銀行に持っていけば即座に額面通りの現金を受け取れる優れた金融商品だったが、今ではその役割をクレカに譲って引退した。言い換えれば、渡航先でのクレカのキャッシングを否定するということは「トラベラーズチェックの上位互換・後継手段を否定する」のと同義である。「リボ払いは嫌だから代わりに現金を持ち歩く」という判断は、あまり良いものではない。

「おまとめ払い」でリボ残高を一挙解消
上述したPayPayのページでも説明されているが、リボ払いは「リボ残高おまとめ払い」という形で一気に解消することができる。
お支払い月の10日21:59までに手続きすると、当月のお支払いコースに加算されます。
11日9:00以降に手続きすると、翌月のお支払いコースに加算されます。
(リボ払いの利用残高をまとめて支払いたい-PayPay)
この説明を基に、仮定を組み立ててみよう。たとえば、12月にタイへ旅行して現地のATMで5万円分をキャッシングする。それはそのまま何もしなければリボ払いとなる。が、月を跨いだ1月10日の夜までにオンラインで手続きをすれば、リボ残高を一挙解消できる引き落としを1月に行うよう指定できるのだ。
正直、やや面倒くさい作業ではある。が、そうした決まりがある以上は利用者がそれを知っておくべきで、この部分は安全な海外旅行のための「イロハのイ」とも言えるのだ。もっとも、これは少し前までの筆者の愚鈍さを裏付けるものでもあるのだが……。
【参照】
海外キャッシング-PayPay
海外でキャッシング-オリコ
よくあるご質問-イオンカード 暮らしのマネーサイト
キャッシングリボ払い-楽天カード
リボ払いの利用残高をまとめて支払いたい-PayPay
文/澤田真一
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