2025年の小学館DIMEトレンド大賞、話題の人物賞に輝いたのは俳優の横浜流星さん。
役を生きる──そんな言葉を証明する年だった。江戸のメディア王から歌舞伎界の御曹司まで、全く異なる世界を渡り歩き、観る者を魅了しつづけた。
まさに「今年の顔」と呼ぶにふさわしい激動の1年を、彼はどのように〝生きた〟のか。時代を虜にした俳優の素顔に迫る。
PROFILE
1996年、神奈川県生まれ。2011年に俳優デビュー。『流浪の月』(2022年)で第46回日本アカデミー賞優秀助演男優賞受賞、『正体』(2024年)で第48回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞。2025年は大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に主演し、映画『国宝』で主人公のライバルを演じた。2026年は主演作『汝、星のごとく』の公開を控える。
与えられた役を生き、魂を揺さぶられた1年
2025年の顔として「話題の人物賞」に輝いたのはNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に主演し、映画『国宝』にも出演する、俳優の横浜流星さん。
横浜さんはドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)でピンク髪の高校生を演じた19年にも「ベストキャラクター賞」に選ばれており、受賞年が異なる2冠達成は〝史上初〟となる。
「初めてを刻めて光栄です。『はじこい』の頃はとにかく全速力で突っ走っていました。そこからずっと走りつづけて、ひとつ階段を上がれたような感覚があります」
25年は役者人生における2つの大きな転機が訪れたといい、まず映画『国宝』を挙げた。横浜さんが常々語る「役として生きる」ことに重ねて、歌舞伎の世界を描いた本作で「役者が与えられた『お役』を生きる」ことで、魂を揺さぶられる経験をしたと明かす。役どころは、歌舞伎界の御曹司〝俊ぼん〟。劇中、近松門左衛門の『曽根崎心中』で遊女お初を演じた。
「俊ぼんにとってお初は〝本物〟になることを渇望し、役者として生まれ変わるきっかけを与えてくれた役。その役を前に彼は病を押して片足を失っても、なんなら死んでも、舞台に立ちつづける意地を見せた。あの生き様に憧れますし、『あぁ、自分はまだまだだな』って。芝居に全人生をかけるすさまじさに、深く心打たれました」
同じく、大河ドラマ『べらぼう』も「確実に人としても、役者としても得るものは大きかった」と振り返る。横浜さん扮する〝蔦重〟は本や浮世絵の企画、プロデュースなどをこなした「江戸のメディア王」。主人公を生き、現場の真ん中に立つ座長としても、生きた。
「蔦重はべらぼうに明るく、いろいろな人と交流する、動く人。現場では撮影以外でも蔦重でいることを心がけ、皆さんの気持ちを和らげる潤滑油でありたいと動いていました。関わった方々から様々なものを吸収しました」
24年から撮影へ入り、25年10月にクランクアップを迎えたばかり。
「『べらぼう』に捧げた1年で自宅と撮影現場の往復以外に何かをすることがなく、世の中の流行も全くわからなくて……。とは言いつつ、自分に戻ると役の癖は全て抜けるので蔦重の『ありがた山』とかも言わないんです(笑)」
26年はどんな年にしたいか。
「新たな一歩として、プロデューサーにも挑戦してみたい。高校の同級生と出した本『選択』を必ず映画化したいんです。キャストには才能ある人を見つけて、芝居しやすい環境を創出できたらと夢見ています。令和で蔦重をやってみる、みたいな感じでしょうか(笑)。気合いは十分です!」
飛躍の1年を振り返る 活動の軌跡
[2024年10月]原案を担当した小説『選択』をリリース
人生は選択の連続だ。日々の選択の積み重ねで今日の自分が形成され、その選択の先でこの作品も生まれた――。横浜さんが着想した原案を高校の同級生、THE RAMPAGEの岩谷翔吾さんが紡いだ『選択』。4年に及ぶ膨大なやりとりと執筆期間を経て完成した、閉塞感漂うこの時代を懸命に生き抜く、二人の青年の物語。
[2025年1~12月]NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で座長を務める
狂歌本や娯楽本をプロデュースし、無名の新人だった喜多川歌麿ら浮世絵師を発掘して、江戸の文化をけん引した蔦屋重三郎の一代記。横浜さんは蔦重を演じながら、座長として撮影現場を明るく率いた。『べらぼう』効果で2025年は浮世絵に脚光が集まり、浮世絵展や関連イベントが数多く催された。
[2025年6月]映画『国宝』が大ヒット!
横浜さんは役作りに約1年半を費やし、歌舞伎界の御曹司を熱演。作品は特大ヒットを記録した。「25年は現場で会う人、会う人に〝国宝、観たよ〟と言っていただき、ここまで業界の方から声をかけていただく経験はしたことがありませんでした。うれしく、作品の力を感じました」(横浜さん)
取材・文/渡部美也 撮影/須田卓馬 ヘアメイク/速水昭仁
話題の人物賞に選ばれたのは「横浜流星」さん!
様々なメディアで注目され、多くの人々の支持を集めた人物に贈られる話題の人物賞には、俳優の「横浜流星」さんを選出。大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で主演の蔦屋重三郎役を務めた他、出演作・映画『国宝』は興行収入が173億円を突破し、実写の邦画では歴代1位に。
今回の受賞を記念し、横浜流星さんを表紙に起用した増刊号が12月16日(火)に発売! 〝2025年の顔〟と呼ぶにふさわしい栄光の1年の舞台裏を、撮り下ろしインタビューと共に探ります。

価格880円(税込)
小学館
※通常版とは表紙が異なり、特別付録は付きません。内容は同一です。







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