大人だけではなく、子どもたちの間にも広く普及し始めている生成AI。2024年12月、文部科学省が「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」を策定し、学校現場での適切な利用が推進される一方、子どもの生成AI利用に対する懸念も広がっている。
アウェアファイおよび同社が運営する「こころの総合研究所」はこのほど、2025年9月に実施した「未成年の子どもによる対話型生成AIの使用に関するアンケート調査」の分析結果を発表した。
本調査では、未成年の子ども(18歳未満)を持つ保護者を対象に、子どもの対話型生成AIの利用状況と、保護者が感じる影響・懸念を明らかにした。
1. 未成年の3人に1人が利用、中学生では半数超
未成年の子どもを持つ保護者に、子どもが対話型生成AIを利用したことがあるかを尋ねたところ、35.6%(326名)が「利用経験あり」と回答した。利用率は年齢とともに上昇し、13歳以上(中学生以上)では半数以上が利用経験ありという結果となった。最年少の利用者は1歳だった。
なお、回答者の中で最も利用率が高い「ChatGPT」は利用規約において13歳未満の利用を禁止しているが、本調査では13歳未満の子どもの26.0%が対話型生成AIを利用していることが明らかになった。
2024年11月の小中学生及びその保護者を対象とした調査では、生成AIの利用率は小1~3で1.4%、小4~6で5.0%、中1~3で13.3%となった。今回の調査の結果では、小1~3(7~9歳)が34.8%、小4~6(10~12歳)で46.9%、中1~3で59.0%であったため、生成AIの利用が増えていることがわかる。
また、保護者がAIを利用している家庭では、子どもがAIを利用している割合も高い傾向が見られた。具体的には、保護者がAIを利用している場合、子どもがAIを利用している割合は33.4%であったのに対し、保護者が利用していない場合、子どもがAIを利用している割合は2.2%にとどまった(保護者も子どもも対話型生成AI利用あり:33.4%、保護者のみあり:38.8%、子どものみあり:2.2%、保護者も子どももなし:25.6%)。
2. 週1回以上の利用が半数超、学外での個人利用が約8割
対話型生成AIを利用している子どもの半数以上が週1回以上利用しており、最も多い利用頻度は「週2~3回」となった。
利用目的は、「特定のテーマについて情報を集める」「勉強でわからないところを教えてもらう」などの学習・リサーチが最も多く、「趣味の話」や「雑談」など、話し相手としての利用も多く見られた。
契約形態については、個人用のみの利用が84.3%、個人用と学校で支給されたものの両方を利用が5.9%、学校で支給されたもののみを利用が2.4%となった。学外での個人利用が約8割を占める結果から、学校での安全管理が及ばない環境での利用が主流であることが明らかになった。
3. 保護者の受け止め:全体的にはポジティブだが、一部に懸念も
子どもの対話型生成AI利用について、保護者がどのような影響を感じているかを尋ねたところ、「特に影響はない」「やや良い影響」という回答が多数を占めた。具体的には、学習の補助や情報収集に役立っているといった声が寄せられた。
一方で、約10%の保護者が「怖いと感じた瞬間」または「依存しているかもしれないと感じた瞬間」があると回答した。割合としては少数だが、具体的な懸念として以下のような声が寄せられた。
「個人情報や自身の画像などを安易に入力してしまう」
「回答を疑うことなく信じてしまう・鵜呑みにしてしまう」
「間違った情報を信じて行動に影響していると怖いと思った」
保護者が最も気になる点として、「AIとやりとりしている内容」が挙げられ、求める対策としては「適切な利用方法について子どもが学ぶ機会の提供」「有害なコンテンツへのアクセス制限」「やりとりの内容を保護者がモニタリングできる機能」が上位となった。
考察:学外での子どものAI利用への対策が急務
学校現場での生成AI活用の議論は進んでいるが、実際に学校管理下のみで利用している子どもはわずか2.4%にとどまり、約8割は学外での個人利用が中心だった。こうした“学校の外”で広がるAI利用については、リスクや対策の議論がまだ十分とは言えない。
米国心理学会(APA)は、未成年のAI利用は大人とは異なる影響がある可能性が高いと指摘している。専門家監修のサービスなど、児童青年向けに適切に設計されたAIシステムや、目的に特化したAI利用が望ましいと考えられる。
文部科学省のガイドラインでは、学校現場において留意すべき代表的なリスクとして、AIに人格があるかのように誤認するリスク、AIに依存したりAIの答えを鵜吞みにすることで能力の育成が妨げられるリスク、機密情報や個人情報に関するリスク、著作権の侵害に関するリスクなどが挙げられている。
今回の調査結果であげられた保護者の懸念と、ガイドライン上で挙げられているリスクは一致しており、今後AIを利用する子どもがますます増えることを考えると、事業者だけでなく、利用者、専門家、そして社会全体で子どものAIの適正利用について考え、実践していく必要があると考えられる。
●調査対象者の詳細
<対象エリア>全国
<対象者条件>未成年の子ども(18歳未満)がいる保護者、日本国内在住者
<サンプル>
・サンプル数:1054
・分析対象者数:明らかに適切ではない回答行動をしている137名のデータを除外し、917名(87.0%)を分析対象とした
<回答者(保護者)の年齢および性別>
・性別:女性 626名、男性 276名、回答しない 15名
・年齢:平均年齢は39.4歳(SD =7.7)
<回答者の子どもの年齢および性別>
・性別:女性 434名、男性 461名、回答しない 22名
・年齢:平均年齢は8.7歳(SD =4.8)
<調査手法>インターネット調査 ※アウェアファイユーザーを対象とした調査ではない
<調査期間>2025年9月9日 – 9月27日
<実施主体>株式会社Awarefy「アウェアファイこころの総合研究所」
出典元:株式会社Awarefy
構成/こじへい







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