AIの進化によって、これまで親しんできたぬいぐるみやトイは、よりリアルな気持ちを共有可能な「心を通わせる友達や兄妹」へと姿を変えつつある。
人とAIの関係性そのものを新しい段階へ
中国EC大手の京東(ジンドン)と深セン市玩具産業協会が発表した「AIトイ消費トレンド白書」によると、世界のAIトイ産業は急成長しているとのこと。2023年の市場規模は100億元(約2000億円)程度だったが、2030年には10倍になると予測されている。日本国内でもその兆候は鮮明だ。例えば、2024年末に発売されたカシオの『Moflin(モフリン)』は、発売後5か月で7000個の販売を記録。大きな成果を上げている。
2025年もAIを搭載する商品が続々と登場。特筆すべきは、SNSで知られるMIXIの新しい取り組みとして商品化した『Romi Lacatanモデル』と、通信機能を備えるモバイル型ロボット『RoBoHon』の経験をふまえて開発されたシャープ『ポケとも』だ。いずれも複数のAIを組み合わせた機能により、過去の会話や体験を学習しながら〝関係を深める〟ことができる。従来のように〝一方的にロボットを愛でる〟だけではなく〝愛されている〟ように感じる体験が得られて、強い癒やしや共感が育まれるというわけだ。
今後は「Makuake」の先行販売プロジェクトで注目を集めた『lopeto(ロペト)』(※ChatGPT非対応)や、IoT家電メーカーとして知られるSwitchBotの『KATAフレンズ』も一般発売を控えている。
ちなみに海外では、ChatGPTの開発元であるOpenAIが玩具メーカーのマテルとの提携を発表。〝しゃべるバービー人形〟をリリースするのではないか、というニュースが世界を驚かせた。
どの製品も一般家庭で無理なく一緒に暮らせるサイズ感で、ロボットとユーザーとの心理的な距離もググッと縮まりそうなものばかり。ぬいぐるみやトイで加速するAIの採用は、人とAIの関係性そのものを新しい段階へと導いていきそうだ。
〝かわいい〟だけじゃない!気持ちを読み取り会話する

シャープ『ポケとも』3万9600円(直販価格)
利用料 月額495円(ノーマル) 月額990円(プレミアム)
〝共感知性〟を備えた対話AIキャラクター。独自AI技術がユーザーの感情や趣味嗜好、位置情報などを収集・分析し、GPT-4o miniにインプット。「それらの情報をふまえて回答するため、ユーザーの状況に深く共感し、機転を利かせた会話が可能」と、開発を主導する景井美帆さん。高さは約12cm、重さは約194g。11月21日発売。
アプリでも会話ができる!

『ポケとも』には専用アプリがあり、本体と同じように会話が可能。両者の会話履歴は同期される仕組み。本体を持ち運べない時でも、すぐそばにいてくれる。
話す&触れ合うことで成長していく

lopeto『AIペット lopeto』5万6980円(直販価格)
利用料 なし
複数のAIモデルを組み合わせて構築された「脳モデル」を搭載。話しかけたり触れたりする際に得た音声・視覚・触覚といった情報をもとに唯一無二の性格を形成する。同社の担当者いわく、開発目標としたのは「本物のペットのような存在」とのこと。高さは約15cm、重さは約600g。
昨日や一昨日に交わした会話の続きも楽しめる

MIXI『Romi Lacatan(ロミィ ラカタン)モデル』9万8780円
月会費 毎月1958円 毎年1万9580円
独自AI「ChatRomi」により、素早い応答で自然な会話が可能だ。同社担当者によれば「過去の会話を意味ごとに分類できるのが特徴。それを会話に活用しているので愛着を育める」そうだ。会話に連動した愛らしい所作も魅力だ。高さは約10cm、重さは約400g。

家族ひとりひとりと向き合ってくれる

SwitchBot『KATAフレンズ』価格未定
利用料 未定
AIの言語モデルと視覚モデルを搭載。手振りを認識して近づき、全身を動かして応答する。同社担当者いわく「人の感情や状況を理解し、接し方や動作を相手によって自然に変える」とか。スマートホーム機器と連携・操作にも対応させる予定。重さは3kg前後。2025年内に日本展開予定。

取材・文/河原塚英信 撮影/園田昭彦(lopeto) 編集/田尻健二郎
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2025年10月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。







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