小売(リテール)業者が自社の店舗・ECサイト・アプリなどを広告媒体として活用し、購買直前・直後の顧客接点で広告を配信する新しいマーケティング手法「リテールメディア」。
消費者データを基盤にした高精度なターゲティングが可能で、小売企業にとっては「新たな収益源」として注目されている。
そこで電通デジタルは、生活者のリテールメディアへの接触が購買行動およびブランド認知に与える影響を明らかにするため、「2025年 リテールメディア調査」を実施。
主要商品カテゴリー(29カテゴリー)および主要流通業態(コンビニエンスストア、食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、バラエティショップ※1、ECモール)において、リテールメディアが生活者にどのように活用され、購買行動やブランド指標にどのような影響を与えているのか調べたので、詳細をお伝えしよう。
リテールメディアの活用は短期的な売上に加え、ブランド指標の向上にも貢献
調査対象商品29カテゴリーのうち、パソコンを除いたすべてのカテゴリーにおいて、店頭で商品を認知されるケースが最も多く、特に「食品・スイーツ」「飲料」「日用雑貨」でその傾向が顕著に見られた。
買い物時に買う予定はなかったが購入した非計画購買について、「食品・スイーツ」「飲料」「日用雑貨」は食品スーパーやコンビニ、ドラッグストア、バラエティショップで、「ファッション」「美容・コスメ」はバラエティショップやECモールで起きやすい傾向が明らかに。
続いて、リテールメディア接触後の購買指標への影響について調査したところ、購買への影響は、流通アプリ内クーポンが総じて高く、特にバラエティショップ、コンビニ、ドラッグストア、ECモールにおいてはユーザーのうち20%以上がその場で購入するという顕著に高いことが判明。
また、バラエティショップにおいては、流通アプリ内広告が購買促進およびブランド指標に与える影響が、他の流通業態と比較して高い傾向が見られた。
リテールメディア接触後のブランド指標への影響については、商品認知、興味喚起、商品理解について以下のような影響が見られた。
・商品認知:バラエティショップのサイネージ、流通アプリ内クーポン、流通アプリ内広告、ドラッグストアアプリ内広告の影響が比較的高い結果に。
・興味喚起:ECモールアプリ内広告とアプリ内クーポン、次いで、バラエティショップのサイネージとクーポンも比較的高い結果となった。
・商品理解:バラエティショップのクーポン、サイネージ、流通アプリ内広告の影響力が比較的高くなっている。
最後に流通アプリを閲覧するタイミングについて調査。オフライン業態の流通アプリでは、「会計時」に加え、「買い物に出かける直前」「お得情報を確認するとき」など入店前の閲覧が多く、ECモールアプリでは「欲しいものができたとき」「商品検索・比較」が突出する結果となった。
この結果から、リテールメディアは、「買い物モーメント」にある生活者へ質の高いリーチが可能なメディアであることがわかる。
まとめ
本調査結果より、リテールメディアは従来の販促機能に加え、ブランディング施策としての機能を兼ね備えることが明らかになった。
依然として、商品認知の場はオフラインチャネルである店頭が多い傾向と、食品スーパーやドラッグストアなどの小売流通各社が生活者に提供しているアプリ(流通アプリ)は「買い物に出かける直前」の閲覧が多いことから、リテールメディアは「売り場」に近い接点であるからこそ、商品に対する興味・関心が最も高まる瞬間やタイミングの「買い物モーメント」にある生活者に対して、質の高いリーチを担保していると考えられる。
また、いずれの流通業態においても、流通アプリ内で配布されるクーポンが購買への高い影響力を示したことに加え、各種リテールメディアへの接触が「商品認知」や「興味喚起」、「商品理解」などブランド指標の向上に一定の効果を発揮することが分かった。
リテールメディアの活用は、広告コミュニケーション施策のゴールの一つである売上への歩留まりを高めることが期待できるため、短期的な売上伸長に加えて、ブランディング施策の投資対効果を高める上で重要な役割を持つと考えられる。
調査概要
タイトル:2025年 リテールメディア調査
調査手法:インターネット調査
調査時期:2025年9月16日~19日
調査エリア:全国
対象者条件: 20~69歳男女
本調査回収サンプル数:1,200サンプル
調査主体:株式会社電通デジタル
商品カテゴリー(抜粋):ファッション/美容・コスメ/食品・スイーツ/水・ソフトドリンク/アルコール飲料/日用雑貨/ダイエット・健康/医薬品・コンタクトレンズ/ギフト/ペット用品/PC・スマートフォン・通信/インテリア/キッズ・ベビー・おもちゃ
調査委託先:株式会社電通マクロミルインサイト
※1:日用品、生活雑貨、化粧品、文房具、キャラクターグッズ、食品・菓子類など、幅広いカテゴリーの商品を多角的に取り揃える小売店。
※2:本調査の集計においては、直近3カ月以内の購入者の性年代構成比に基づき、ウエイトバック集計(WB)を実施し、調査結果の偏りを補正しています。
関連情報
https://www.dentsudigital.co.jp/news/release/services/2025-1203-000282
構成/Ara







DIME MAGAZINE















