【株主優待ガイド】〝優待拡充〟ラッシュか？株式分割・新設で注目したい10銘柄

株主優待の新設の発表や、株式分割のニュースで分割後の100株でも株主優待をもらえる銘柄は、個人投資家にとっても投資するチャンスでもある。

12月4日時点でわかっている10銘柄を紹介しよう。

株式分割＋株主優待拡充の銘柄がある

まず、株式分割をして、分割後の100株でも株主優待がもらえる銘柄に注目したい。例えば、1:2の株式分割をして分割後100株でも、分割前100株と同じ株主優待がもらえるなら、株価が変わらないのならば1/2の額で同じ株主優待をもらえるわけだ。

■オーハシテクニカ（7628）（株価2,223円、最低投資額11万1,150円※分割前50株、分割後100株）の株主優待は…

自動車部品メーカーのオーハシテクニカは2025年12月31日基準日で、1:2の株式分割を行う。そして、現在、3月と9月に株主優待として保有株数に応じて、おこめ券がもらえているが、株式分割後も優待の対象条件は変更しない。つまり、これまではおよそ20万円で100株で株主優待をもらえていたが、株式分割後は1/2額の10万円で株主優待のおこめ券がもらえるようになる。

分割前に50株保有していた人は分割後100株保有となり、半年に1度おこめ券がもらえ、長期保有、3年以上でさらに1枚追加。つまり、3年以上になれば年間4枚分のおこめ券がもらえるわけだ。

オーハシテクニカは累進配当銘柄でもあり、今後、配当金が多くなっていくことも期待できそうだ。

■マブチモーター（6592）（株価2,839円、最低投資額14万1,950円※分割前50株、分割後100株）の株主優待は…

マブチモーターは、小型モーターを製造販売する電気機器メーカーで、2025年12月31日（実質的には12月30日）を基準日として株式1株を2株に分割。つまり、100株保有している人は分割後、200株保有になる。

そして、注目は分割後「100株以上200株未満である株主様を対象とした株主優待を新設」すること。分割後200株（分割前100株）や分割後400株（分割前200株）保有者などは変更がない。つまり、新規で株を保有すれば、2026年12月権利が取得できる。新規で株主になろうと思っている人にも、従来であれば、単元未満株・端株だったのが、単元100株保有になり、株主優待まで受けられるようになる。

■船井総研ホールディングス（9757）（株価2,323円、最低投資額11万6,150円※分割前50株、分割後100株）の株主優待は…

経営コンサルティングの大手、船井総研ホールディングスでも株式分割を予定している。

2025年12月31日（実際には12月30日）基準日で、1:2の株式を行うのだが、分割後の100株（分割前50株）でも株主優待を受けられる。「株主優待制度については、株式分割後も変更せず」と書いてあることからも明らかだ。

2025年12月権利では、100株の株主優待である500円のQUOカードをもらうには約23万円必要だったが、分割後100株（分割前50株）でも同様の株主優待がもらえると思うと、思わず「オレでなきゃ見逃しちゃうね」とつぶやきそうになる。

■ザ・パック（3950）（株価1,257円、最低投資額12万5,700円）の株主優待は…

すでに6月末に株式分割を終えたザ・パックは、株式分割後、株主優待拡充の第一回目の権利を2025年12月に迎える。

ザ・パックは2025年6月30日を基準日とした1:3の株式分割を実施。分割後も、分割前同様100株以上のQUOカード（12月権利、1,000円分）と図書カード（6月権利、500円分）を受け取れることを伝えている。

チャートを見ても、分割後は右肩上がりになっていて、現在は株価も1,200円を超えている。株価は日によって上下するが、分割後に順調に株価が伸びたいい例だといえよう。

記念優待・拡充

■BRUNO（3140）（株価1,040円、最低投資額41万6,000円※400株購入時）の株主優待は…

BRUNOは、30周年の特別優待を12月に実施する。ECサイトで使えるクーポン券を株数に応じて渡すとのことだ。

400株で1万8,000円分、600株で2万4,000円分、1,000株で3万円となかなか高額だ。クーポン券の利用条件や商品はわからないものの、BRUNO商品が好きなら魅力的に見えそうだ。BRUNOの株主優待は、毎年6月が権利だが、今年400株保有していた人は、6月に2万4,000円分、12月の記念優待1万8,000円分で、株主優待券だけでも4万2,000円分がもらえることになる。

■ランディックス（2981）（株価2,668円、最低投資額53万3,600円※200株購入時）の株主優待は…

不動産会社のランディックスも記念優待を12月に実施。

このランディックスでは、株主優待として400株以上だと、6月と12月にプレミアム優待倶楽部（PYC）のポイントがもらえるのだが、それに加えて2025年12月に限り、200株以上保有している株主にデジタルギフト1万5,600円分相当ももらえる。これは、2026年2月に設立25周年を迎えることによる記念優待。

通常だと400株ないと株主優待の権利は受けられないが、今回に限り200株で高額デジタルギフトももらえ、株価2,668円、配当利回り1.76％、200株保有時（デジタルギフト1万5,600円分）で計算すると、配当＋優待利回りは4.68％となる。

■ユニカフェ（2597）（株価1,130円、最低投資額11万3,000円）の株主優待は…

コーヒーの焙煎や加工をするユニカフェの権利月は12月だが、今回から株主優待の拡充。継続保有期間による株主優待品の増額を行う。

例えば、100株では、コーヒー詰め合わせ2,000円相当がもらえていて、新設の株主優待では5年未満では2,000円相当、5年以上になると2,500円相当。株価は1,132円で、100株保有時の配当＋優待利回りを見ると、5年未満では2.65％だが、5年以降だと3.09％にまで上がる。

新設

■日東精工（5957）（株価694円、最低投資額34万7,000円※500株購入時）の株主優待は…

工業用ねじ大手の日東精工は11月13日に株主優待の新設を発表。

500株では、3,000円相当の綾部市特産品かgiftee Box2,000円ポイントがもらえる。1万株では「あやべ特別市民制度（特産品等を年3回発送してもらえる）」に加入できる。

2025年は継続保有条件がないが、2026年12月には継続保有条件がつき、権利を受け取るためには「1年以上継続保有」が必要だ。500株の権利を受け取るには、500株を12月末、6月末に連続して3回以上記載・記録が必要となる。

■サイオス（3744）（株価508円、最低投資額10万1,600円※200株購入時）の株主優待は…

システム障害回避ソフトを開発・販売するサイオスは、11月6日に株主優待新設を発表。

200株保有で、各地の名産品等をセレクトしたオリジナルカタログがもらえ、その中から商品を選択できるという。12月権利なので、欲しい人は権利日までに買っておこう。無配ではあるが、約10万円で株主優待のカタログギフトがもらえると聞くと、そそられる人もいそうだ。

■ユカリア（286A）（株価848円、最低投資額8万4,800円）の株主優待は…

かなりニッチな株主優待になるが、病院の運営支援や経営支援を行うユカリア（旧社名：キャピタルメディカ）は株主優待制度を新設した。12月の権利月最終日までに必要株数を買えば、なんと自社製品「スマート脳ドック」の優待チケットがもらえる。

この「スマート脳ドック」、健康診断では発見できない脳の異常を早期発見できるサービスだそうで、1単元100株だと割引チケットだが10単元1,000株保有で無料受診できることになる。株主優待があれば、こういったサービスまでも受けられることに驚くことだろう。

文/谷口 久美子