相乗りタクシーが、全国的に普及しつつある。この「全国」という言葉の取り扱いはいささか注意が必要だが、タクシー配車サービスGOの手掛ける『GOエコノミー』の場合は、まさに日本の心臓部でのオペレーションを開始している。
皇居をぐるりと囲む都心12区で、通常のタクシーよりも遥かに安価な相乗りタクシーが運行されている。しかも、これは路線バスではないから確実に席に座ることができるという。このGOエコノミー、無茶苦茶便利じゃないか!? しかし、GOの公式サイトを見てみると「気を付けなければならない点」も見受けられるのだ。
都心を広くカバー!
相乗りタクシーは、予め決められた乗降地点へ効率的なルートを算出しながら走行する乗り物である。
最近の配車アプリは、その時々の利用客からのオーダーに応じた最短走行ルートを即座に出してくれるようになったため、停留所はあるがそこへ行くルートが固定されていない相乗りタクシーというものが実現可能になったという流れである。客の視点で見てみれば、自分が乗車してから目的地に行くまでその車両に別の利用客が乗るかもしれない……ということだ。いや、「乗るかもしれない」どころかGOエコノミーの場合は「ほぼ確実に乗車して来る」と言い切ってもいいだろう。
そのことは、GOエコノミーの運行エリアを見れば察しがつく。
東京都心エリア :
湾岸(豊洲/東雲/有明/晴海/台場/月島/勝どき)
東京・大手町・日本橋・銀座・有楽町
上野・御徒町・神田・秋葉原・浅草・蔵前
青山・表参道・広尾・六本木・麻布十番・赤坂
恵比寿・中目黒・目黒・五反田・白金台・高輪台
田町・浜松町・新橋・虎ノ門
天王洲・品川シーサイド・大崎・大井町
水道橋・御茶ノ水
神楽坂・飯田橋・四ツ谷・市ヶ谷
築地・八丁堀・門前仲町・木場・東陽町・砂町・潮見・辰巳
押上・亀戸・大島・錦糸町
新宿(新宿区内)・早稲田・高田馬場・新大久保
池袋
渋谷エリア :
西原・元代々木町・大山町・初台・本町・笹塚・幡ヶ谷などを中心とした渋谷区北西地域~渋谷駅・新宿駅・原宿駅・代々木上原駅などの主要駅方面
(No.1タクシーアプリ『GO』の相乗りサービスが『GOエコノミー』として本格展開を開始!都心部12区を網羅-PR TIMES)
引用にしてはかなり長くなってしまったが、ともかくこれだけ広いエリアで既にサービスが展開されていることを読者の皆様には知っていただきたい。
東京都心エリアと渋谷エリアを跨ぐことはできないが、それでも上に挙げた運行エリアは「もしかして、鉄道なんか必要なくなるのでは!?」と思わせるのに十分な説得力を帯びている。なお、GOエコノミーの運賃は「通常のタクシーの運賃・迎車料の約50~60%の価格」とのこと。
個人的には、東京駅から有明にGOエコノミーで行けることにかなり驚いている。筆者の住まいである静岡から高速バスに乗って東京駅で降り、そこからGOエコノミーで何かと用事のある東京ビッグサイト付近へ移動できるのだ。もちろん、鉄道を使ったほうが運賃としては安いはずだが、乗り換えの手間なく目的地へ移動できるのは本当に素晴らしい!
運行時間に注意が必要
……と思ったのだが、ここで筆者はあることに気がついてしまった。
このGOエコノミー、24時間営業ではないのだ。
運行時間 : 平日7:00頃~22:00頃 / 土日祝 7:00頃~18:00頃
(同上)
この運行時間、要はタクシーの需要が多い頃合いにはGOエコノミーを走らせないということである。それはそうだろう。土日祝の18時以降など、酔っぱらいがGOエコノミーに乗ってくる可能性が高い時間帯である。他の利用者にとっての「車内の快適性」を考えると、やはり「サタデーナイト」に相乗りタクシーは稼働させないほうがいいだろう。
が、それを考慮したとしてもGOエコノミーはかなり広い時間帯をカバーしていると言えるのではないか。
またしても筆者の個人的事情を引き合いに出してしまうようだが、静岡から上京して都心各地の取材先を巡ってその日のうちか翌日に静岡へ引き上げる……などということをしている者にとっては、「安価」と「移動のストレートさ」を両立させた乗り物は非常にありがたい。
ビジネスシーンでも、このGOエコノミーは十分に活躍してくれると考えてもバチは当たらないだろう。
「GOエコノミーモデル」は全国的に普及するか?
そして、次に考えるべきはこれと同様の仕組みの相乗りタクシーが全国に広がるか? ということである。
結論から言えば、都心と全く同じ形の相乗りタクシーが全国的に普及することはないだろう。横浜、名古屋、大阪、福岡等の大都市中心部ならともかく、そうではない地方都市になるとアプリ予約より電話予約を、キャッシュレス決済より現金決済を重要視する。要は「地元の高齢者向けの移動手段」にならざるを得ないのだ。冒頭で「相乗りタクシーが、全国的に普及しつつある」と書いてしまった手前、このような結びになるのはやや気が引けるが、地方在住の人は「GOエコノミーが我が地元に来る可能性」よりも「地元のタクシー会社が地域に特化した相乗りタクシーを用意する可能性」を考えたほうが現実的ではないか。
【参照】
GOエコノミー
No.1タクシーアプリ『GO』の相乗りサービスが『GOエコノミー』として本格展開を開始!都心部12区を網羅-PR TIMES
文/澤田真一
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