2015年にSDGs(持続可能な開発目標)が採択されて、さまざまな環境や社会の問題を解決するための取り組みが活発になっている。
ADKマーケティング・ソリューションズ(ADK MS)では、2008年から毎年、関東・関西地区の男女15歳から79歳までの1万名以上を対象としたライフスタイル、消費行動、メディア接触などの多面的視点から生活者の実態を捉えているためのオリジナル調査「ADK生活者総合調査」を行っている。
その「ADK生活者総合調査2025」をもとにした『SDGsに関する意識結果』が発表された。
SDGsと関連項目に対する人々の認知・理解度や生活意識との関連性を分析したものだが、それによればSDGsのワード認知率は昨年同様にすべての年代で80%前後と高い水準を維持している。
特に50代以上の高年齢で高い傾向がみられた。だがSDGsの関連商品やービスの利用、行動変容に関する阻害要因も昨年に引き続き見受けられたという。
SDGsの認知率は82.1%で高水準を維持
「SDGsという言葉について知っているか」では、「知っている」と回答した人は昨年より0.1ポイント上昇して全体で82.1%になった。年代別では、いずれの年代も80%前後と高い水準で、特に50代以上の年齢層で高い傾向がみられた。
SDGs以外の関連ワード認知率では、「フェアトレード」は1.5ポイント上昇して44.1%、「カーボンニュートラル」は2.6ポイント上昇して52.9%だったが、そのほかの関連ワードは上昇が鈍化していた。
若年層ほどSDGsに積極的な企業で働きたい傾向が強い
SDGsに積極的に取り組んでいる企業で働きたいかについては、積極企業への就職意向は全体で38.9%だった。年代別では10代が突出して高く52%だった。「非常にあてはまる」の割合を年代別でみると、若年層ほど高い傾向だった。
10代への何に取り組んでいる企業で働きたいかという質問では、「SDGsに積極的に取り組んでいる企業」が42%でもっとも多く、それに「LGBTフレンドリーな企業」が25.6%で続いた。
SDGsに関する広告の印象では、「わかりやすく広報・広告をしている」と感じていない人が全体の6割を超えており、「まったくあてはまらない」と回答した人は15.8%で、多くの人が企業のSDGsの広告発信に課題を感じていることが浮き彫りになった。
SDGsへの具体的な取り組みは「食品ロス削減に取り組んでいる企業」に関心。
「SDGsに積極的に取り組んでいる企業の製品・サービスを利用したい(=利用意向)」についての質問では、48.8%と約半数があてはまると答えた。
「SDGsを達成するために自ら積極的に行動している」と回答した人は31.4%で、利用意向との差は17.4ポイントと大きなギャップがあった。「どのような取り組みを行っている企業の商品・サービスを利用したいか」では、「食品ロス削減に取り組んでいる企業」を選んだ人が9割以上で、もっとも関心を集める項目だった。
SDGsの阻害要因は「商品・サービスの価格が高い」、「手間や時間がかかる」、「何をしたらよいかわからない」
「SDGsの実現に向けて、行動を変えたり、商品・サービスを購入したりすることを妨げる要因」については、もっとも多かった回答は「商品・サービスの価格が高い」で56.2%と半数以上だった。
それに「手間や時間がかかり面倒」が27.8%で続いた。生活者側が負担や手間を感じることが、行動を阻む要因になっているようだ。
男女別では、女性は「何をしたらよいか分からない」(25.8%)、男性は「押しつけがましい」(21.5%)が多い回答だった。
「SDGs実現に向けた行動を起こすために、企業はどのようなことをしたらいいと考えていますか」については、「CO2排出量や削減量の見える化」が38.5%でもっとも多く、それに「行動に対するポイント付与」(37.0%)、「企業からの情報提供」(35.8%)が続いた。女性は「CO₂排出量や削減量の見える化」(42%)や「企業からの情報提供」(38.1%)を重視する傾向があり、企業の情報開示や商品・サービスを通じて貢献できる仕組みの提供が求められていた。
共感度の高いSDGsの目標項目は4年連続でトップは「貧困をなくそう」
「SDGsが掲げる17の目標の中で共感できるもの」については、4年連続で1位「貧困をなくそう」、2位「海の豊かさを守ろう」、3位「すべての人に健康と福祉を」というランキング結果だった。
1位の「貧困をなくそう」は、社会問題として取り上げられることの多い子どもの貧困や物価高騰なども重なり、もっとも関心が高い目標になっている。
2位の「海の豊かさを守ろう」は、海に囲まれた島国だからこそ、海洋ごみの問題などの解決を推進すべき主要課題として認識しているようだ。
3位の「すべての人に健康と福祉を」は、コロナ禍を経て健康や医療・福祉などの重要性が注目されていることが影響していると思われる。
年代別では、17の目標のうち8項目で60代の共感度がもっとも高く、次いで10 代は7つの項目で共感度が高いという傾向があった。男女別では、17の目標のうち15の目標で女性の共感度が高いこともわかった。
政治や経済の状況で企業の立ち位置や取り組みが左右されている面もみえるSDGsだが、若い世代は積極的な会社で働きたいと回答した人が多かった。
一方で企業側の発信は評価が高くなかった。みんなで考えていかないといけない目標だけに、今後も企業側の取り組みは注視していくべきだろう。
「ADK生活者総合調査2025」調査概要
目的:生活者の生活行動・価値観・メディア接触を多面的に把握するため
対象エリア:
関東 (東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・群馬県・栃木県・茨城県)
関西 (大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県・滋賀県/関西地区は2015年より調査対象)
対象者条件:15歳~69歳の男女(中学生は除く)
調査期間:2025年5月14日~2025年6月2日
サンプル数:1万2053名
調査手法:インターネット調査
ウエイトバック集計:国勢調査の人口構成、関東・関西のエリア構成に合わせてウエイトバック集計を実施
出典元:「ADK 生活者総合調査2025」
https://www.adkms.jp/news/20251119-2/
構成/KUMU







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