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研究データが警告!クリスマスに贈ると嫌われる「プレゼント」の落とし穴

2025.12.07

研究が示す「贈ると嫌われるプレゼント」とは?

年の瀬を迎え何かと物入りが多いという向きも少なくないと思うが、大切な人へのクリスマスギフトに何を贈ろうかと考え中だったりするかもしれない。

日頃の感謝の気持ちを伝えられる物品であればなんでもいいとも言えそうだが、新たな研究ではプレゼントするのは避けたほうがいいジャンルの商品が特定されている。それは〝自己啓発系〟の商品やサービスだ。

どんなに善意であれ、クリスマスギフトでダイエットティーやジムの回数券、自己啓発本などのプレゼントは、受け取った者が感謝されていると感じるよりも、批判されていると感じることが多いことが研究を通じて明らかになっている。

フロリダ国際大学とウースター工科大学の研究チームが2025年9月に「Journal of Retailing」で発表した研究では、合計1340人の参加者を対象とした5つの実験で、プレゼントされた自己啓発商品と中立的な商品に対する反応を比較している。

自己啓発系のギフトの例としては、家庭用エクササイズ器具、FitBitウォッチ、ジムやエステの回数券や会員権、お茶などのダイエット食品や健康食品、自己啓発本などが挙げられる。その種の商品やサービスを喜ぶ人々も一部には存在するのだろうが、多くにとってはあまり歓迎はできないようだ。

もちろん贈る側はそうした自己啓発系ギフトを相手のために良かれと思って渡していることは明らかだが、皮肉にもその意図は往々にして実を結んでいないことになる。

レビューが荒れる!?自己啓発系ギフトの落とし穴

いずれの実験においても自己啓発系のギフトを受け取った者は、ギフトの評価が低く肯定的に感じておらず、否定的なオンラインレビューを書き込む傾向が強く見られたのである。

ご存知のようにアマゾンや楽天などの小売業者は購入後に顧客にレビューを頻繁に依頼してくるが、もしそうした経路でプレゼントを受け取り評価を求められた場合、低評価が下される確率が高くなるのだ。

自己啓発系のプレゼントを受け取った者は、現在のあるがままの自分が受け入れられておらす、変化が求めれていると感じたとしても確かに不思議ではないのだろう。場合によっては現在の自分が否定され、あるいは批判されていると感じるケースもあるかもしれない。

「贈り物は愛と寛大さを示すものであるはずです」と研究チームののリネア・チャップマン氏は科学メディア「Phys.org」に説明する。

「しかし自己啓発のための贈り物は、あるがままの自分を愛され、受け入れられる存在として捉えるという、その人の認識を脅かす可能性があります。それは無条件で評価されるという、きわめて基本的で社会的な欲求に反するのです」(チャップマン氏)

調査の結果、参加者の3分の2が自己啓発系の商品をプレゼントとして受け取った経験があり、否定的な感情になったことがあったと回答している。そしてこうしたネガティブな経験によって、ネット上の商品レビューで否定的な書き込みを行う可能性が高まることも突き止められている。自己啓発系ギフトを贈られて「傷ついた感情」を、否定的なオンラインレビューを書き込むことで打ち消そうとする代償行為に促されるのだ。

自己啓発系の商品は自分のためだけにすること

ネガティブで低評価のオンラインレビューを抑制するためにも、研究者らは来たるクリスマスシーズンを前に小売業者に明確な警告を発し、フィットネス器具や自己啓発本などの販売促進は、クリスマス時期から年明けの1月に移行してみることを提案している。

メーカーや小売業にとって今や無視できない商品のオンラインレビューだが、小売業者がレビューを依頼する際に、自己啓発系ギフトの受取人からの否定的なレビューを軽減するために実施できる2つの戦略を研究チームは提示している。

第一に、レビュー依頼時に金銭的なインセンティブ(各種ポイント付与や割引券、クーポン券など)を提供することで、受け取るフィードバックの否定的な内容を軽減できることだ。

第二に、レビュー依頼を人間味のあるものにすること、たとえばレビュー依頼が実在の従業員によって書かれたことを伝えることなどで、否定的な書き込みを緩和できるということだ。

いわゆる「ブラックフライデー」で購入する自己啓発系のグッズは自分のために購入すべきであり、プレゼント用にはこの種の商品を避けるべきなのかもしれない。自己啓発系の商品やサービスは自分のために自腹で買わないことには、その効果の点においても有効ではなさそうでもある。

「派手な過剰包装は嬉しくない」という事実

相手のことを想って贈るプレゼントだが、贈る側の善意が仇となるケースはほかにもあるようだ。その1つが過剰包装だ。

特にクリスマス時期のプレゼントでは、手の込んだ装飾的の包装が思いを伝えると勘違いしてゴージャスに包装する傾向があるようだ。過剰包装の贈り物には、大きすぎる箱、何層にも重ねた包装紙、過剰なリボンの使用などがある。

しかしカリフォルニア州立工科大学をはじめとする研究チームが2024年12月に「Journal of Retailing」で発表した研究では、5つの研究と4つの補足研究を通して贈り主は手の込んだ包装を好む一方で、受け取る側は一般的にシンプルで標準的な包装を好むことが報告されている。

特に職場での贈り物の交換など、贈り物が義務的なものであったり、関係性が希薄だったりする場合は、過剰な梱包に対する否定的な見方がより強くなったという。

「過剰包装の贈り物を受け取ると、受け取った人は実際の贈り物にたどり着くまでに何層もの包装を解かなければならず、イライラする経験となります」と研究チームは説明する。

「さらに受け取った人は余分な包装材を処分する方法を見つけなければならず、それがさらなる不満を引き起こします」(研究論文より)

小売業者にとってこの調査結果は、過剰なラッピングを見直す時期が来ていることを示唆しており、簡易包装オプションを提供することで消費者の好みに応えると共に、無理なく廃棄物を削減できることにも繋がる。

贈ることもあれば贈られることもあるプレゼントだが、どうやら特にこの時期、自己啓発系グッズを過剰包装で贈る愚は避けた方がよさそうである。

※研究論文
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022435925000338

※参考記事
https://phys.org/news/2025-11-gifts-backlash-bad.html

文/仲田しんじ

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北海道生まれ東京育ち。学業ドロップアウト後、小説家を志しつつ広告代理店営業マン、任期制陸上自衛官、家電販売員などを経て経て出版業界へ。アスキーなどで編集者として勤務した後、フリーライターとして活動。科学から心理学まで幅広いテーマを執筆。ネット上の研究論文を読むのが趣味。大型自動二輪免許を持っている。 X: @nakata66shinji

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