mRNAインフルエンザワクチン、従来型よりも高い有効性を示す
ファイザー社の修飾ヌクレオシドを用いたメッセンジャーRNA(modRNA)インフルエンザワクチン(以下、modRNAワクチン)は、標準的なインフルエンザワクチンと比べて有効性の高いことが、大規模な第3相試験において示された。このインフルエンザワクチンは、同社の新型コロナワクチンに使用されたのと同じタイプのmRNA技術を利用している。
米East-West Medical Research InstituteのDavid Fitz-Patrick氏らによるこの研究結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に11月19日掲載された。
この臨床試験では、米国、南アフリカ、およびフィリピンでの2022/2023年のインフルエンザシーズン中に、18~64歳の成人1万8,476人を対象に、modRNAワクチンの有効性が評価された。試験参加者は、modRNAワクチンを接種する群(9,225人)と、既存の4価インフルエンザワクチン(Fluzone)を接種する群(9,251人)にランダムに割り付けられた。
主要評価項目は、ワクチン接種後14日以降に検査で確認されたインフルエンザ様疾患の発症率に基づく相対的な有効性とした。
その結果、インフルエンザ様疾患の発症数は、modRNA群で57件、Fluzone群で87件であり、modRNA群ではFluzone群に比べて発症率が34.5%低いことが示された。発症例はほぼ全てがインフルエンザA型ウイルス株(H3N2型、H1N1型)によるもので、インフルエンザB型ウイルス株については、modRNA群で未知のB型症例が2件報告されたのみであった。
血球凝集抑制(HAI)試験により評価したmodRNAワクチンの免疫原性(抗原が抗体産生などを誘導する能力)は、A型ウイルス株に対しては従来型ワクチンに対する非劣性が示されたが、B型ウイルス株に対しては非劣性を示すことはできなかった。副反応はほとんどが軽度から中等度であり、報告数はmodRNA群の方がFluzone群よりも多かった(局所反応:70.1%対43.1%、全身反応:65.8%対48.7%、発熱:5.6%対1.7%)。
米ヴァンダービルト大学医療センターのBuddy Creech氏はNBCニュースに対し、「modRNAワクチンは、大変革をもたらす可能性がある」と語っている。同氏は、mRNAワクチンは従来型のワクチンよりも迅速に製造できるため、そのシーズンに実際に流行する株にワクチンを適合させることができる可能性があると指摘している。
その一方で、このワクチンの承認は容易には得られない可能性があるとの見方を示す専門家もいる。なぜなら、最近、複数の公的機関の関係者がmRNAワクチンに疑問を呈しており、8月には米国保健福祉省(HHS)がmRNAワクチン研究への約5億ドル(1ドル156円換算で約780億円)の資金提供を中止したからだ。
米ベイラー医科大学のPeter Hotez氏は、「mRNAワクチンには多くの利点があるにもかかわらず、現状では、HHSがこの科学にほとんど、あるいは全く関心がないのではないかと懸念している」とNBCニュースに対して語った。
ファイザー社は、連邦規制当局と協議中であるとしているが、承認のスケジュールについては明らかにしていない。(HealthDay News 2025年11月21日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2416779
構成/DIME編集部
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