女性のセクシュアルウェルネスに寄り添うドイツ発のセルフプレジャーブランド「Womanizer(ウーマナイザー)」は、日本を含む世界8か国で18歳から65歳の女性を対象に、性生活に影響を与える要因に関するグローバル調査を実施した。
それによれば、性生活にもっとも影響している要因として「疲労」(22%)、「日常的なストレス」(20%)、「時間の無さ」(17%)、「性欲の低下」(16%)が上位になった。一方でパートナーとの関係に関する項目では、「関係がうまくいっていない」(8%)、「コミュニケーションの減少」(7%)、「パートナーへの魅力の低下」(4%)は下位で、多くの女性にとって性生活の満足度を左右するのは、パートナーとの関係性ではなく日常生活の負担やストレスが要因であることが浮き彫りになった。
8か国調査でわかった現代女性の性生活
調査した8か国は、それぞれに性生活の満足度に関して特徴的な傾向があった。「性生活の充実を妨げる要因」については、「特になく、自分の性生活に満足している」と回答した女性の割合は全体で約2割(19%)だった。国別では、スペイン(23%)がもっとも高く、それに日本(22%)、ドイツ(21%)と続いた。一方でイギリス(15%)やオーストラリア(14%)は、満足度がやや低い傾向だった。
スペインは、妨げとなる要因として「時間のなさ」(25%)や「日常的なストレス」(23%)を挙げる女性が多かったが、他国と比較して「パートナーへの魅力の低下」と回答した割合が2%ともっとも低く、パートナーとの関係の良好さが性生活の満足度を支えている可能性がありそうだ。
ドイツは、「日常的なストレス」(27%)や「疲労」(25%)が性生活の質に影響する要因として多く挙げられており、世界平均(疲労22%・ストレス20%)と同様の傾向だった。ドイツは「性教育・知識の不足」と回答した女性の割合(0.4%)が8か国中でもっとも少なく、性に関する知識の充実が安定した満足度につながっている可能性もある。
性生活に満足している世代はZ世代とシルバー世代
年代別の調査では、「Z世代(18歳~24歳)」、「ミレニアル前期(25歳~34歳)」、「ミレニアル後期(35歳~44歳)」、「X世代(45歳~54歳)」、「シルバー世代(55歳~65歳)」と区分けして行われた。世代別では、性生活に満足している女性の割合は、Z世代が20%でシルバー世代が23%と、若年層とシニア層が高い傾向になった。
ミレニアル前期と後期は、満足度が17%とほかの世代に比較して低い傾向だったが、この世代はパートナーとの性行為の頻度が週あたり平均1.4回~1.5回とZ世代(週1.6回)をやや下回っている。ミレニアル世代の多くは、「疲労」(27%)、「日常的なストレス」(27%)、「時間のなさ」(22%)を性生活の妨げとして挙げており、仕事、家庭、社会的責任など複数の役割を同時に担うことで、心身の余裕が失われて親密さを保つ時間や気力が奪われていることが推察できる。
この傾向は、調査したほとんどの国で共通しており、文化的な違いよりもライフスタイルや生活負荷の大きさが女性の性生活に影響していると思われる。
シルバー世代も性生活に満足している割合が高かった。週あたり平均0.7回と性行為の頻度はもっとも低いが、約4人にひとり(23%)が性生活に満足していると回答しており、その妨げとして「性欲の低下」(19%)、「体調や健康面の不調」(15%)、「疲労」(14%)といった要因が挙がっていた。
ただ、それ以上に満足を示す割合が多く、頻度よりも質を重視する傾向や年齢を重ねることで性のあり方を前向きに再定義する意識の高まりがみえる結果といえる。
日本女性の特徴は「疲労」と「原因がわからない」
日本女性をピックアップすると、5人にひとり(21%)が性生活に「満足している」と回答し、世代別では、Z世代がもっとも高く31%、ミレニアル前期が26%、X世代が22%だった。世界平均とは異なり、ミレニアル後期(16%)と55歳~65歳のシルバー世代(16%)では、満足度が低い傾向があった。
性生活の満足度を妨げる主な要因は、「疲労」(19%)、「性欲の低下」(18%)、「時間のなさ」(13%)が上位だった。日本では、多くの女性が身体的な変化だけでなく、日々の疲れやストレス、生活リズムの乱れといった心身のコンディションが性生活に影響していると感じている人が多い印象だ。
「原因がわからない」と回答した女性は20%で、8か国中で最多だった。自分の心や身体の状態をうまく言語化できず、何が影響しているのかを理解する機会が少ないのが理由といえそうだ。
「性教育・知識の不足」を要因として挙げた女性はわずか2%だったが、Z世代ではこの傾向がより顕著で、約3人にひとり(29%)が「原因がわからない」、5%が「性教育・知識の不足」を挙げており、両者の間には一定の関連もみられる。
全体的に「性教育・知識の不足」を自覚している割合は少ないものの「原因がわからない」と感じる層の多さは、性教育や性的知識、性について話し合う機会の少なさを反映しているのかもしれない。
今回の調査結果を受けて、「ウーマナイザー」のPR責任者であるヴェレナ・ジングマン(Verena Singmann)は次のようにコメントしている。
「日本の女性の5人にひとりが『原因がわからない』と答えていることは、自分の“性”について理解したり語ったりすることの難しさを示しています。セクシュアルウェルネスは、パートナーとの行為だけでなく、自分自身とのつながりや心地よさを感じることでもあります。忙しい日常の中で、ほんの数分でも自分の心と体の感覚に意識を向けることが、ストレスの多い社会で心のバランスを取り戻すきっかけになるでしょう」
調査した8か国の女性は、性生活の満足度を妨げることに関して、パートナーの影響よりも疲れやストレスが大きかった。世代別では、シルバー世代でも満足度が高い人が多いこともわかった。特に頻度は少ないが、満足度が上がっていることは注目すべき点だろう。性生活に関しては、心と身体の余裕が満足度向上につながりそうだ。
「世界8か国 性生活に影響を与える要因に関するグローバル調査」概要
調査対象:18歳~65歳の男女8000名(うち女性4019名)
調査国:世界8か国(日本、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、スペイン、ドイツ、フランス)
実施時期:2025年4月
調査方法:オンラインアンケート(Appinio)
構成/KUMU







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