Long COVIDの経過は8つのタイプに分かれる
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状、いわゆるlong COVIDは、一般に、新型コロナウイルスへの感染後に、疲労感やブレインフォグ、めまい、動悸などのさまざまな症状が3カ月以上持続する慢性疾患とされている。
このほど新たな研究で、long COVIDの経過は、症状の重症度、持続期間、経過(改善傾向か悪化傾向か)により8つのタイプに分類されることが示唆された。米ハーバード大学医学大学院のTanayott Thaweethai氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Communications」に11月17日掲載された。
Thaweethai氏らはこの研究で、RECOVER(Researching COVID to Enhance Recovery)イニシアチブへの参加成人3,659人(女性69%、99.6%は2021年12月以降のオミクロン株流行期に感染)を対象に、感染の3~15カ月後に評価したlong COVIDの症状スコアに基づき、患者の縦断的経過パターンを解析した。対象者のうち、3,280人は最初の新型コロナウイルス感染から30日以内に試験に登録した急性期患者、残る379人は登録時には未感染であったがその後に感染したクロスオーバー群であった。
感染から3カ月時点で10.3%(374/3,644人)がlong COVIDの基準を満たしており、そのうち約81%が1年後も症状を有していた。解析の結果、long COVIDの経過として、以下の8つの異なるパターンが特定された。
1)症状負担が持続的に重度(195人、5%):対象期間を通してlong COVIDの閾値を満たす。
2)症状負担が断続的に重度(443人、12%):long COVIDの症状スコアが断続的に閾値を超える。
3)改善傾向、症状負担が中等度(379人、10%):long COVIDの症状スコアが経時的に低下。
4)改善傾向、症状負担は軽度(334人、9%):感染後3カ月時点の症状スコアが3)よりも低く、6カ月時点ではほぼ0。
5)悪化傾向、症状負担は中等度(309人、8%):症状スコアが経時的に上昇。
6)症状が遅れて悪化(217人、6%):感染後3~12カ月の間の症状スコアは低いが、15カ月時点で増加。増加の一因は労作後の不調。
7)一貫して症状負担が軽度(481人、13%):全体的に症状の負担は軽度だが、3~15カ月の間に症状スコアが断続的に上昇する。ただし、いずれも閾値未満。
8)一貫して症状負担は最小か無症状(1,301人、36%):一貫して症状スコアの閾値未満。
Thaweethai氏は、「われわれが特定したlong COVIDの経過の違いは、今後の研究において、患者ごとに回復期間が異なる理由の説明となり得るリスク因子やバイオマーカーの評価を可能にするとともに、潜在的な治療ターゲットの特定にも役立つだろう」とニュースリリースの中で述べている。
論文の上席著者である米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のBruce Levy氏は、「この研究は、COVID-19の長期的経過の多様なパターンを定義するという緊急の必要性に応えるものだ。得られた結果は、long COVID罹患者に対する臨床的および公衆衛生的サポートに必要なリソースを判断するのに役立つとともに、long COVIDの生物学的根拠を探る研究にも役立つだろう」と述べている。
なお、米疾病対策センター(CDC)によると、long COVIDの症状として200種類以上が確認されているという。(HealthDay News 2025年11月19日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nature.com/articles/s41467-025-65239-4
Press Release
https://www.massgeneralbrigham.org/en/about/newsroom/press-releases/insights-into-long-covid-trajectories-in-adults
構成/DIME編集部
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