数々のヒット商品を紹介しつづけてきた『DIME』は、2026年春に40周年を迎える。そこで2025年11月14日に発売したDIME1月号では「【完全保存版】僕たちを夢中にさせたヒット商品クロニクル」と銘打ち、創刊となった1986年前後を基軸に、時代を彩ったエポックメイキングなモノ&サービスを振り返る特集を展開した。そこから見えてきたのは、ユーザーの「暮らしを便利にしよう」「楽しくしよう」という作り手たちの〝思い〟だった。
2025年9月5日。ホンダを代表するブランドのひとつ『プレリュード』が24年の眠りから目覚めた。本記事では6代目となる『プレリュード』復活の舞台裏を、開発責任者に聞く。
バブルを背景に華開いた『プレリュード』という個性
1978年 国産車初の電動サンルーフ

駆動方式はFF、エンジンは直列四気筒1.8L/CVCCを搭載した2ドアスペシャリティークーペ。アメリカでは特に「セクレタリーカー」として人気を誇った。
1980年 CVCC-Ⅱエンジンに進化

発売から2年を経てサンルーフがスモークドガラスとなり開放感、爽快感が向上。エンジンはCVCC-Ⅱへと進化させて燃費向上を達成。
酒、たばこ、ギャンブル、脳神経専門医が指南するやめたくてもやめられない「ゾンビ習慣」からの脱け出し方
誰もが何かしら、『やめたい』と思っているのになかなか『やめられない』悪習慣を持っているもの。その悪習慣をゾンビ習慣と呼び、やみつきさせる脳の仕組みを解明、「エモ…
1982年 伝説の〝デートカー〟誕生!

「FFスーパーボルテージ」のコピーで登場した2代目。シートのリクライニングノブがセンター側にありすぐに倒せるから。むふふ。

1987年 先進的な機械式4WSを搭載

スタイリング、コンセプト共に2代目を継承してヒットした3代目。量産車世界初となる機械式4輪操舵が最大のトピック。
1989年 ノンリトラの〝inx〟登場

リトラクタブルヘッドライトを固定式とし大人向けのスポーティークーペに仕立てられた『プレリュード inx』を追加した。
1991年 昔の顔つきで出ていま「せん」!

固定式ヘッドライトを採用しスタイリングを大刷新。車体も3ナンバーサイズに大型化したがバブル崩壊もあって総生産台数が急降下⤵。
1996年 伝説の扉が一度閉じられて……

大ヒットした2代目路線に回帰しVTECエンジンを積むType Sでは220馬力に達したが国内販売はわずか1.3万台となり……。
新型『プレリュード』のココがすごい

ホンダ『プレリュード』
独自の2モーター式HV「e:HEV」を心臓に再び走り出した新型。あの頃を知る人には懐かしく、知らない人には新しく感じられる令和時代のスペシャリティースポーツカー。617万9800円〜。

モーターながら仮想8段変速とサウンドがドライバーの心とシンクロする「Honda S+Shift」を新搭載。

過度な装飾ではなく確かなシート設計など質実剛健なインテリアで大人のドライブする心をサポート。

ハッチバックとすることで荷室の使い勝手を向上。リアシートを倒せばゴルフバッグがふたつ収まる。
バブル時代に活躍していたデートカーとは?
「アッシー」「メッシー」、ディスコにライブハウスが賑わったあの頃。ドライブ、音楽、甘い記憶が詰まったデートカーは若者の〝動く個室〟だったのだ!

「秘書のクルマ」と呼ばれた伝説の〝デートカー〟が復活
〝待望の復活!〟と応援いただいている『プレリュード』ですが、特に『DIME』世代の皆さんにはデートカーとしての記憶が強いのではないでしょうか。 『プレリュード』の初代から3代目までを担当したデザイナーによると、初代発売時、特にアメリカで「セクレタリーカー(秘書のクルマ)」と呼ばれたことから、2代目ではロー&スポーティー、格納式ライトで男っぽさを狙ったのだそうです。そしてその狙いが見事にハマった日本でいただいた愛称が〝デートカー〟! 以降も『プレリュード』は進化を遂げつつ代を重ねていきますが、バブル崩壊の影響も大きく、5代目を最後に長い眠りにつくこととなりました。
ではなぜ今復活なのか?
このクルマの企画は2021年後半に動きはじめましたが、テーマは「プレリュード復活」ではなく、新たなHVスポーツカーを送り出すことでした。当時すでに『NSX』も『S660』もなく、ホンダスポーツの流れが途切れた時期だったんですね。
スポーツカーはたくさん売れる車種ではありませんから様々な要件、それこそ車種ラインナップ、技術革新、人口動態から地政学(!)などいろいろと合致しなければ実現が難しい商品です。企画化がもう少し遅れていたら『プレリュード』はHVではなくBEVになったかもしれないし、そもそも出せなかったかもしれない。ですから今の正直な気持ちは「間に合ってよかった!」。
『プレリュード』の車名については、企画を練り上げる過程で誰とはなしに自然に浮かんできたと言うのが本当のところ。スタイリングも若手デザイナーが〝HVスポーツ〟をテーマに描いたもので、伸びやかで非常に美しいラインだと感じています。試乗会などで「リアトランクをもつ伝統のクーペスタイルじゃないね」との指摘も頂きましたが、大きな窓をもつハッチバックは明るく開放的で、リアシートを倒せばゴルフバッグが2個入るほどの容量がありますから、「プレリュードでキャンプ」なんて自由な楽しみ方をしていただきたいですね。
『プレリュード』は2モーターHVシステム「e:HEV」を積んでいますので、ガソリン燃費のよい高速クルーズ以外はEV走行となります。ですから基本モータードライブなのですが、そこに走る喜び、操る楽しさをもたらす「Honda S+ Shift」を新搭載しました。走行を演出するエンジンサウンド(回してよし、さほど回さなくても気持ちよく吹き上がる!)に加え、特にパドル操作によるシフトダウン時のブリッピングまで再現していて、日本、欧州のジャーナリスト試乗会でも大好評でした。仮想的な有段ミッションによって、ドライバーの操作とクルマの挙動、サウンドまでもシンクロさせる「Honda S+ Shift」をぜひ、ご自身でハンドルを握り、体感いただきたいと思います。
現在、期待込みで多くの受注を頂いておりますが、これが継続するよう今後の話題づくりも欠かせません。ぜひ『DIME』読者の皆さんも「思い出巡りドライブ」や、「娘や孫と……」といった新しいデートスタイルを、この『プレリュード』で楽しんでいただけたら開発者冥利に尽きるというものです。

本田技研工業
四輪開発本部 完成車開発統括部
新型プレリュード開発責任者
山上智行さん
1969年生まれ。現行『シビック』から『プレリュード』で開発責任者を務める。現在の愛車は『シビック』で、間もなく『プレリュード』も納車予定!
取材・文/前田賢紀 撮影/小倉雄一郎(人物) 写真/Fujifotos/アフロ 編集/寺田剛治
昭和、平成を彩った歴代のヒット商品を総まとめ!50ページ超の大特集でお届けするDIME1月号
ソニーの初代ウォークマン、パナソニック「ブレンビー」、シャープ「書院」、NEC「PC-9800」シリーズ、ドコモ「ポケットボード」、au「INFOBAR」、シャープ「ザウルス」、アップル「iMac」、理想科学工業「プリントゴッコ」、マルマン「禁煙パイポ」、ナショナル「ジョーバ」、任天堂「バーチャルボーイ」、ホンダ「シティ」などなど、全300商品・サービスをピックアップ!
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