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犬は人間の3~4歳児レベルの共感力や同調性を持つ、ロンドン大学の実験で明らかに

2025.12.06

「私たちは、犬のことを知っているようで、実は犬がなにを感じ、なんのためにその行動をとっているのか、深く理解しないまま接しているケースがほとんどです。というのも、犬についての科学的な研究が本格化したのは2000年以降になってから。

つまり、この20年ほどの間で動物行動学や、認知科学の見地から得られたデータによって、犬の研究は飛躍的に進んだのです」

――と、「人と犬の関係学」の分野で日本初の博士号を取得したドッグトレーナーの鹿野正顕さんはいいます。

この連載では、科学に基づいた愛犬との信頼関係の結び方、効果的なトレーニングについて鹿野さんに語ってもらいます。

※本稿は、鹿野正顕『なぜ犬は全力で私を愛してくれるのか』(小学館)の一部を再編集したものです。
イラスト/しまだなな

ロンドン大学の実験で犬には人間の3~4歳児くらいの共感力や同調性があるとわかった!

最近、タレントの女性が知人の愛犬に咬まれてケガをするというニュースがありました。犬と一緒に写真を撮ろうとしていた矢先の事故だったそうですが、これは犬の習性を理解していれば、未然に防げる事故だったといえます。

私たちは、犬のことを知っているようで、実は犬がなにを感じ、なんのためにその行動をとっているのか、深く理解しないまま接しているケースがほとんどです。というのも、犬についての科学的な研究は意外なほど遅れており、本格化したのは2000年以降になってから。

つまり、この20年ほどの間で動物行動学や、認知科学の見地から得られたデータによって、犬の研究は飛躍的に進んだのです。

これまで常識や定説として考えられてきたことが、実は誤解だったという事例も数多くあります。最新の研究に基づいた犬の知識を学ぶ場所もほとんどありませんので、飼い主の多くがそれらを知らないのは無理もありません。

プロのドッグトレーナーでさえ情報のアップデートができていない場合もあるほどです。

血液や尿に含まれる成分の分析、MRI(磁気共鳴画像法)による画像検査、脳波や心拍数の測定といった手法が犬にも採用されるようになり、犬の内面の反応が科学的に解明されてきています。

犬がなにを感じているのか? 正確に理解することで、犬にとってより幸福な暮らしを追求できるようになったといえます。

たとえばーー

犬は泣いている人をほおっておけない?

長時間の外出から帰ったときに大喜びで迎えてくれたり、ツラいことがあると自然と寄り添ってくれたり、犬との特別な感情のつながりを感じたことがある人も多いのではないでしょうか? 実は犬の共感力は、動物界ナンバーワンといわれているのです。

ロンドン大学の研究者による「しゃべりだす人、鼻歌を歌いだす人、泣きだす人」それぞれに対する犬の反応を調べた実験では、18頭中、15頭が自分の夢中になっていることを放りだして、泣きだす人を慰めるような行動をとったそうです。この実験から、犬には人間の3~4歳児くらいの共感力や同調性があるものと推測されます。

犬は、人間と共同で狩りを行ってきた動物です。共同で作業するには、人間の意図を読みとって役割分担をしながら行動する必要があります。

そのため、犬の共感力は動物界でもナンバーワン。犬は人間が指差した方向を向くことができるのですが、これも共感力がないとできない行動で、狼やチンパンジーでもできなかったそうです。

犬は長い間、人間と共同して狩りを行ってきたなかで、協力的な行動を獲得。

におい、表情、声から人の感情を読み取っている

人間は、不安や興奮といった感情の昂たかぶりを感じると、アドレナリンなどの神経伝達物質が代謝されて血流にのり、毛穴から汗として流れ出てきます。犬はそれを嗅ぎとることで人間の感情を読みとっているのではないかと考えられています。

また、表情や声からも犬は人間の感情を本能的に読みとることができ、飼い主に共感する仕草を見せることがあります。このように相手の感情に自分ごとのように共感することを心理学用語で「情動的共感」といいますが、犬と人間の間にもこの法則が成立することが最近の研究で明らかになっています。

悲しいときやツラいときに、犬が自然と寄り添ってくれるのは、彼らの偽いつわりのない優しさなのかもしれません。

飼い主のストレスに犬が反応する。

人のストレスと愛犬の心拍数がリンクしている!?

それが犬の健康にとって仇となる場合もあります。

人間はストレスを感じると、コルチゾールというホルモンが分泌され、それが血中にまわり、長期的には毛髪に蓄積されていきます。この毛髪に含まれるコルチゾールの量を飼い主と犬のペアで計測したところ、飼い主と犬のコルチゾール値が比例関係にあることがわかりました。

つまり、飼い主の長期的なストレスが犬にも伝わってしまうということです。また、飼い主の短期的なストレスにも犬の心拍数がリンクしていることがわかっており、このことは飼い主の心理状態が愛犬にも影響することを表しています。

著者/鹿野 正顕(かの・まさあき)
ドッグトレーナー、スタディ・ドッグ・スクール代表
1977年、千葉県生まれ。スタディ・ドッグ・スクール代表。学術博士(人と犬の関係学)。獣医大学の名門・麻布大学にて「人と犬の関係学」の分野で日本初の博士号を取得する。
卒業後、人と動物のよりよい共生を目指す専門家、ドッグトレーナーの育成を目指し、株式会社Animal Life Solutionsを設立。犬の飼い主教育を目的とした、しつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」の企画・運営を行いながら、みずからもドッグトレーナーとして指導に携わっている。2009年、犬の行動改善やトレーニングに関して、信頼性の高い知識とスキルを持つと評価されるドッグトレーナーの国際資格CPDT-KAを取得。日本ペットドッグトレーナーズ協会理事長。「犬の行動学のスペシャリスト」としてメディアでも活躍中。最新著書は『なぜ犬は全力で私を愛してくれるのか 飼い主の「なぜ?」に科学ですべて答える本』(小学館)。

https://www.shogakukan.co.jp/books/09311598

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