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星占いを、金融相場の読み解きに使う「金融占星術」という手法がある。
占いで投資をするなんて非科学的だ!と、笑わないで欲しい。
米国の伝説的な銀行家J.Pモルガン氏は、「Millionaires don’t use astrology, billionaires do.」
(訳:億万長者は占星術を使わないが、大富豪は使っている)という言葉を残している。
しかも実際に、機関投資家やヘッジファンドの人たちが活用し、成績を上げている事実もある。
本記事では、金融占星術を使って2025年11月の相場を振り返り、また2025年の12月の市場動向の占い結果を各星座ごとにお届けする。
金融占星術でまず注目すべきは、「月」と「水星」
改めて金融占星術とは、天体の動きと投資家の心理の関係を分析する手法である。一般的な星占いが個人の運勢を見るのに対し、金融占星術は、市場や投資家の集団心理の動向を読み読み解く。
天体の運行には一定の周期があり、市場の動きや暴落タイミングもまた、一定の周期サイクルで繰り返されるという考え方が基礎になっている。
理論として体系化されており、有名な理論には、相場のサイクル(周期)理論を研究するレイモンド・メリマン氏(米国)の理論や、主に惑星のサイクルと金融相場との転換点を紐づけた米投資家のW.D.ギャン氏の手法、日本では為替相場のプロとして長年活躍するアセンダント社の山中康司さんの分析が有名である。
分析には、天体の状態や位置、複数の天体同士が作る角度(アスペクト)など様々な要素が使われているが、以下の2つの要素をまず理解すれば大丈夫だ。
(1) 月の満ち欠け(投資家の感情サイクル/円高・円安)
(2) 水星の動き(情報の流れやテーマの変化、地球との関係)
月の満ち欠け:為替(円相場)の法則
月の満ち欠けは、潮の満ち引きだけでなく、人間の感情やバイオリズムに影響を与えると言われている。科学的な根拠には乏しいが満月の日は犯罪が多くなったり、気持ちが高ぶったりする一方、新月の日は、気持ちが落ち着き、冷静な判断がしやすくなったりする。
これを相場に応用した場合、以下の傾向があると言われている。傾向のことを「アノマリー」とも言う。
●新月―>満月へと月が満ちていく期間=円高に向かいやすい
投資家の心理が徐々に過敏になっていき、不透明感や警戒心が高まる。日本円は、市場が不安定なときに買われる安全資産の性質が強く、警戒感の高まりとともに円が買われて円高になり、リスク回避的になる。
●満月―>新月へと月が欠けていく期間=円安に向かいやすい
緊張が解け、冷静な分析や楽観的な見通しが戻りやすくなる。市場に安心感が広がり、リスクを取るようになり、その結果、低金利な円を売り、株や外貨を買う動きが活発化し、円安に向かいやすくなる。
実際に2025年11月のドル円相場と照らし合わせると
11月の月の満ち欠けは、11/5が満月で、11/20が新月だった。それぞれを米ドル/円のチャートに当てはめてみると、10月に比べて円安状態ではあるものの、11/5が円高のピーク(約153円)なのに対し、11/20が円安のピーク(約158円)と、傾向に一致していることが分かる。科学的には何も証明されていないし、毎月この状態になるとも言い切れないが、傾向にあると知っておくだけで、投資検討の目安のひとつにできるのだ。
水星の動き:商業神ヘルメス象徴で読み解く市場
太陽に最も近い惑星の水星は、占星術だと、商取引、情報通信、神経回路を司り、またギリシア神話に出てくる商業神ヘルメスの象徴でもある。特に商いのキーワードから、金融相場では、ニュースに対する投資家の反応や売買システムの稼働状況、そして投資家の意思決定プロセスに影響を与えると言われている。
特に、以下の2つの動きが相場分析によく使われている。
(1) 水星逆行
地球から見て水星が後退しているように見える期間を指す。太陽の周りをまわる公転周期が、水星が約88日に対し、地球が365日であるため、年あたり3~4回は必ず水星逆行が起きる。
この期間は、情報の混乱や意思決定の遅れシステムトラブルが起きやすい期間だと言われ、相場では方向感が失われ、突発的な乱高下が発生しやすくなる混乱期のような状態になる。積極的に資金を投じるにはリスクが高い時期となる。
(2) イングレス
水星がある星座から次の星座へ移動することを指す。水星が滞在している星座によって、投資家が興味を持つテーマや観点が変化する。またここでいう星座は、西洋占いの12星座のことを指し「サイン」とも呼ばれる。天体が位置する星座ごとにどのような特長があるかは、記事文末にまとめた。ここでいう星座は、読者のみなさんの誕生月の星座ではない点に留意されたい。
これら2つを合わせて占ってみると、例えば、2025年11月は、水星が射手座で逆行を開始(11月9日)した。射手座の水星は「海外・貿易・楽観」を司っており、海外発のニュース(貿易摩擦や海外選挙など)による「情報の混乱」が起きやすい日だった。ちょうど11月7日に、高市首相が衆議院予算委員会での台湾有事発言があったタイミングと重なる。
7日が金曜日、逆行開始の9日が日曜日で休日の場合は、翌営業日から相場影響があると読むので、数日ズレているように見えて、実質一致している。
2025年11月の日経平均株価の値動きに重ねると
11月はちょうど、水星逆行が起きた時期なので、相場が荒れやすかった。
1.11/2から水星が、さそり座→射手座にイングレスした。相場は明るい上昇雰囲気になるのだが、逆行前の場合に高値を付けた場合は、数か月先を見据えた天井になることが多い。
2. 11/9から射手座(海外・貿易)での水星逆行がはじまった。海外選挙、戦争、貿易摩擦などで相場が乱高下しやすく、情報が錯綜し、噂で売られる展開になりやすかった。実際に高市首相の発言などを発端に相場が混乱したり、米半導体大手のNVIDIAの決算発表が現地時間の19日にあり、市場予想を上回る業績だったにも関わらず、株価が急落する場面があったりした。
3.11/19に牡牛座の満月となった。これは特に金融市場でのエネルギーが強まる時期で、水星逆行と相まって相場の佳境にあったと考えられる。奇しくも社会が最も注目しているAI関連企業であるNVIDIA決算とタイミングが重なったのは偶然なのだろうか。
4,翌20日は、さそり座の新月となった。しかもこの日は、太陽・月・水星の3つの天体が、破壊と再生を司っているさそり座で完全に重なる(配置が0度)日で、水星内合(トリプルコンジャクション)という状態でもあった。相場の方向が転換する強烈なシグナルでもある。11/2から日経平均株価が下落傾向だったのが、悪材料が出尽くした感があり、反転の攻勢を仕掛けるかの如く、一時ではあるが5万円台を回復した。
2025年11月のリスクが高かった日&チャンスだった日
・リスクが高かった日
(1)11月5日(水):牡牛座の満月:金融市場に対して最もエネルギーが貯まっていたタイミングであり、実際に日経平均株価は、他の日に比べて大きな下落、一時2000円超の下げシーンもあった。
(2)11月10日(月):水星逆行開始直後の“魔の”月曜日:先述の通り、金曜日の高市首相の発言を受けて、相場の方向感が読みにくいタイミングだった。
・チャンスだった日
(1) 11月13日(木)(前後):満月後の円安方向への波に乗る。水星逆行初期の混乱(10日週)をやり過ごし、市場が逆行に慣れ始めた頃合いで、次の新月である20日までは、為替相場はチャンスだった。
(2) 11月20日(木):さそり座の新月 + 水星内合(トリプルコンジャンクション):11月前半からの下落調整局面が、この日を境に新しいトレンドへ切り替わるタイミングで、「逆張りポイント」だった。
2025年12月の相場を読み解く。水星逆行終了でチャンスは訪れるのか?
続いて12月の相場を分析してみよう。12月の月と水星の動きは以下である。
・月:12/5に双子座で満月 ―> 12/20(土)に新月
・水星:11/29で逆行が終了しており、12月は全期間順行、12/12に射手座へイングレス
これらを踏まえて詳細に分析してみると、以下の2つの日がチャンスとなりそうだ。水星逆行がない月なので素直な値動きが期待できる月でもある。
一方、12/22週はクリスマス休暇と新月が重なるので、ポジション調整が進む分、取引量が減って思わぬ動きが起きやすいため、後半はリスクがあるともいえる。尚、水星逆行が終了した直後の12/1,2日は「留」という動きが止まっているように見える状態が水星で起きるので、逆行時の混乱的動きが残りやすい。
◆チャンスの日
(1)12月8日(月):満月後の円安方向&リスクオン狙い
12月5日の満月を通過し、「月が欠けていく期間(満月→新月)」に入るタイミング。円安(リスクオン)になりやすい期間に入り、円安は日経平均株価の上昇を呼び込みやすい。日経平均インデックスなどの買い始めるのに良いタイミングか?また、為替では、円売り方向のポジションを仕込むのにも良さそう。
尚、同週の12月12日(金)には、水星が射手座へイングレスする。この日より、細かい悪材料が無視されて勢いだけで価格が上昇する年末ラリーが本格化していくと言える。
(2)12月22日(月):新月直後のトレンド変化狙い
12月20日に新月を迎えた明けの22日は、新月のエネルギーを市場が織り込むはじめ、新しいサイクルが始まる日。円高に向かいやすく日経平均には下げ圧力がかかるとともに、クリスマス休暇前で流動性が落ち、また新月を境に短期トレーダーのポジション整理の動きがよく起こる。そのためこのタイミングではETFや株取引の利確タイミング、円買い方向へのポジションを仕込みやすい日となる。
◆リスクの日
(1)12月1日(月)・2日(火):水星逆行が終了した直後の状態で、混乱が残りやすい
(2)12月23日(火)~:クリスマス休暇と新月が重なり取引量減、思わぬ動きが起きやすい
12月の水瓶座のキーワードや傾向
新月や満月、水星がどの星座にいるかによって、領域や特徴・留意点の分析に役立つ。

水瓶座の方は、予測不能な動きが頻発するエキサイティングな時期。
ハイテク、電気、宇宙、暗号資産など“未来”そのものを象徴する分野が鮮やかに動き出す。
驚きのニュースやサプライズで急落・急騰が起こりやすく、スピード感のある対応が求められる場面も。
常識にとらわれない発想が、成功を引き寄せる鍵となる。
金融占星術で読み解く12月まとめ
2025年12月の金融相場は、総じて前半は、水星逆行の終了からの慎重な回復、中盤以降は、楽観的な上昇が訪れる見込み。11月のような混乱は少なそうだ。
金融占星術の理論に基づく市場分析であり、将来の運用成果を保証するものではなく、投資判断は読者皆さんの責任で行ってほしい。その上で、金融占星術は、次にどのような相場が訪れるのか?「市場の天気予報」ツールになる。
市場のノイズに惑わされず、大局的な流れをつかむためのひとつの要素として活用してほしい。
文/久我吉史







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