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故人をAIで再現する「AI故人」はアリか、ナシか?調査で見えた賛否と世代間ギャップ

2025.12.03

急速な生成AIの普及に伴って「故人をAIで再現する=AI故人」への関心が高まっているが、倫理や同意の設計、本人性の担保といった論点もあり、AI活用の注目すべきポイントと課題といえるだろう。

生活者を起点にしたマーケティング支援事業を提供するネオマーケティングは、全国の20歳以上の男女を対象に「AI故人」をテーマにインターネットリサーチを実施して、その結果を公開した。AI故人を許容できる理由については、女性は「家族の支え」「記憶の保存」、男性は「未練の癒し」「知のアーカイブ」志向が強いことがわかった。

「故人との再会を望む気持ちがある」や「生前の記憶を形に残せる」といった精神的な面だけでなく、「テクノロジーの進化として受け入れる」といった合理性も一定の支持があったという。

AI故人の認知度は年代が低いほど高くなる傾向

「故人をAIで再現すること(=AI故人)」を知っているかについては、年代差が大きいことがわかった。年代が低いほど理解しており、「詳しく知っている」割合は、20代が23.0%で60代が4.5%と大きな差があった。全体では「名前は聞いたことがある」が4割以上を占めており、存在は知っているが理解するのはこれからという状況のようだ。

AI故人の受け止め方は、半数が「どちらともいえない」と回答

AI故人の受け止めでは、賛成は20%強で反対は30%弱だった。最多の回答は「どちらともいえない」で約50%だった。年代差は明確で、20代の賛成派は33.0%に対して、60代は9.0%と若年層ほど受容的だった。性別では、男性の賛成派が23.0%で女性の18.8%を大きく上回っている。現状は様子見の人が多い印象だが、本人同意、肖像権、遺族配慮などのルールを整えば、追悼や記録としての良い事例を増やしていくことで支持は広がりそうだ。

AI故人の賛成理由は残された者の癒しや合理的な考え方

AI故人をどう判断するかで「賛成」か「どちらかといえば賛成」と回答した人がAI故人を許容できる理由は、情緒的な癒しが軸になる回答になった。「故人との再会を望む気持ちがある」(57.4%)がトップで、それに「生前の記憶を形に残せる」(41.6%)、「未練や後悔を癒す手段になる」(39.7%)、「家族の精神的支えになる」(39.2%)が続いた。

そのほかにも「テクノロジーの進化として受け入れられる」(34.9%)や「故人の知識・思考を後世に残せる」(32.1%)などの合理面で支持する人も一定数いた。男女別の回答では、女性は「家族の支え」、「記憶の保存」がやや強く、男性は「未練の癒し」や「知のアーカイブ」志向が相対的に強いこともわかった。

AI故人が許容できない理由は尊厳と違和感

「AI故人」について「反対」もしくは「どちらかといえば反対」と回答した人の許容できない理由は、「故人の尊厳を損なうと感じる」(42.0%)と「違和感がぬぐえない」(41.3%)という意見がほぼ同水準で並んだ。実体感や情緒の両面での抵抗が大きな理由になっているようだ。

男女別の回答では、男性は尊厳・倫理(51.4%・40.3%)などの規範を重視して、女性は違和感(47.5%)や精神的受容の難しさ(35.3%)など感情面を挙げている人が多かった。年代別では、60代で「違和感がぬぐえない」が突出(50.7%)しているが、20代から30代は「故人の意思を確認できないため不適切」や「遺族間で意見が分かれそう」など手続きや合意に関する懸念が挙がった。手続きや合意については環境の整備で納得の土台を作りやすい分、感覚的な抵抗が主因の60代より若年層のほうが理解は進みそうだ。

約3割がAI故人を誰が対象でも受け入れられない

故人のAI再現で許容できる対象や関係性の範囲を質問すると、全体では30.0%が「誰であっても受け入れられない」と回答した。AI故人の許容については、配偶者や親子など法的・生活共同体としての結びつきが強い関係ほど高い傾向があったが、「恋人/パートナー」は低くかった。

この結果には、関係の安定性や遺族合意の取りやすさ、生前同意の確認可能性が影響していると思われる。男女別では、女性は「配偶者」から「ペット」まで相対的に許容幅が広く、男性は全面拒否がやや高い傾向だった。年代別では20代が「恋人・パートナー」を含めて許容幅が広く、60代は拒否が増えて親族中心に絞られる傾向があった。

AI故人の許容できる目的のトップは「家族の精神的支え・供養」

AI故人の利用目的で許容できるものでは、全体の41.2%が「家族の精神的支え・供養」を挙げた。AI技術を感情面の支えとして受け入れる傾向がみえる結果だった。特に女性はその傾向が顕著で、45.4%が利用を許容すると回答している。

男性は、「生前の経験・知見の継承(25.0%)」、「科学的・歴史的アーカイブ(18.8%)」など知的遺産の活用に対する関心が高く、知の継承手段としての「知のアーカイブ志向」があるようだ。20代と30代は、「創作」、「教育」、「商業利用」といった新たな用途まで許容範囲を広げており、若年層ほど柔軟な発想でAI故人の可能性を模索していることも読み取れる。

「どのような目的でも許容できない」という意見もあるが、今後の社会的対話や利用事例の積み重ね次第で、AI故人の活用領域は広がっていく可能性はありそうだ。

自分のAI故人は賛成派が15.4%ながら20代男性は約3割が賛成

自分の死後にAI故人化されることについては、「賛成」と「どちらかといえば賛成」を合わせても15.4%だった。「反対」と「どちらかといえば反対」の合計は44.7%だった。「どちらともいえない」が約4割もいるので、判断を保留している人も多い印象だ。

年代別では、賛成は20代が26.5%、30代が19.0%、40代が16.5%、50代が9.0%、60代が6.0%という結果で若年層ほど支持していた。性年代別では、男性20代の賛成派は30.0%で女性60代の反対派が65.0%で、対照的な結果になった。

17.2%がAI故人のサービスを前向きに検討

AI故人のサービスを利用したいと思うかについては、全体の17.2%が「利用したい」もしくは「どちらかといえば利用したい」という回答をしており、前向きな姿勢の人が一定数いることがわかった。年代別では、20代が26.5%、30代が19.5%、40代が17.0%、50代が16.0%、60代が7.0%で若年層ほどAI故人に対してポジティブだった。性年代でみると男性20代が30.0%で最多だった。男性20代は、自分が死後にAI化されることについても約3割が賛成だったので、ほかの性年代の人よりも前向きといえるだろう。

AI故人のサービスを「利用したい」もしくは「どちらかといえば利用したい」と回答した人の理由では、上位には「故人にもう一度会いたい」(59.3%)、「自分の心の整理をしたい」(44.2%)、「家族の精神的支えになる」(41.3%)、「感謝や謝罪を伝えたい」(36.0%)といった回答が並んだ。

この調査では、AI故人のサービスを利用したいと考える理由は、“再会・支え・感謝”といった感情面の癒しにつながるものが中心だった。もしAI故人をサービスとして構築するのであれば、プロダクト面では再会体験、メッセージ伝達、知の継承の3つをコア機能にして、将来の自己AI化に備える「タイムカプセル」機能などを組み合わせることが有用かもしれない。それによって感情的ハードルを下げて、AI故人に対する受容の裾野を広げることができれば普及の可能性は高まりそうだ。

「AI故人に関する調査」概要

調査対象:全国の20歳以上の男女(AI技術に全く興味がない人は除く)
有効回答数:1000名
調査実施日:2025年9月28日~2025年9月29日
調査方法:ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式
引用元:ネットマーケティング

構成/KUMU

30年以上暮らした東京から実家に戻った地方在住フリーライター。得意分野は、ゲーム、アニメ、マンガやIT&デジタル関連など。自宅でリモート取材や自宅作業が増えたので、20年以上ぶりにフル自作PCを作成して活用中。最近の取り組みは、実家で発掘したセガマークⅢ以降の昭和から平成のゲーム機が動くか点検すること。

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