寒い冬がやってきました。「冬は昆虫採集に向いていない季節」と思われがちですが、実はそんなことはありません。
場所や方法を工夫すれば、冬でも十分に昆虫採集を楽しむことができます。今回は年末年始など冬の旅行シーズンにおすすめしたい昆虫採集が楽しめる旅先を紹介します。
沖縄本島
冬の昆虫採集といえば、やはり南の島がおすすめです。沖縄本島は亜熱帯気候で、冬でも1日の平均気温が20℃弱もあります。そのため、年間を通して活動している昆虫を観察することができ、冬でも採集を楽しめます。
例えば、チョウの仲間は冬でも簡単に観察することができます。那覇市内の公園などでも簡単にチョウの姿を見られるでしょう。沖縄には九州以北では中々見られない南方系のチョウが多く、初めて訪れる方には新鮮な出会いがたくさんあります。日本最大のチョウ・オオゴマダラも、冬の那覇市内で優雅に飛ぶ姿を見つけることができます。オオゴマダラはゆっくりふわふわ飛ぶので、見つけたらじっくり観察してみましょう。
一方で、暖かいとはいえ、すべての昆虫が活動しているわけではありません。中には、活動せずにじっとしている種類も多くいます。例えば、宝石のように美しいナナホシキンカメムシは、集団で葉の裏に集まり、冬を越します。暖かい地域ならではの昆虫たちが越冬する姿も、冬の沖縄の見どころです。
先島諸島
さらに温暖な地域で冬の採集を楽しみたい方には、石垣島や宮古島などの先島諸島がおすすめです。この地域は沖縄本島よりもさらに気温が高く、冬でも1日の平均気温は20℃前後。昆虫好きにとっては日本で最も楽しい冬のフィールドといっても過言ではありません。
先島諸島では、冬でも活動している昆虫の数が多く、チョウやトンボが数多く舞う姿を楽しめます。林道を歩いていても冬を感じさせないほどです。大型のクワガタムシなどはあまり見かけませんが(少数はいます)、雨が少なく過ごしやすいこの時期は、暑さが苦手な人にとって絶好の採集シーズンでもあります。
また、先島諸島や沖縄本島含む南西諸島は生き物の分布の観点から見ると、非常に興味深い場所です。チョウやガ、トンボなどの移動性の高い昆虫では、さらに南の地域から飛来して日本初記録となるような種類が見つかることもあります。一方、移動性の低い昆虫では、この地域にしかいない固有のものも多く見られます。
実は身近な河川敷も狙い目
「冬に昆虫を採集するには沖縄へ行かないとダメなの?」と思った方もいるかもしれませんが、実は本州・四国・九州などでも冬の昆虫採集は楽しめます。中でも僕が特におすすめしたいのが、冬の河川敷です。
河川敷には、川の流れで流れ着いた朽木が多く、植物も豊富。昆虫たちにとっては、絶好の越冬スポットです。手鍬で朽木を割ったり、斜面の土を掘ったりしてみると、クワガタやオサムシの成虫などが見つかることがあります。
特にオサムシの仲間は、春から秋に採集しようとすると、プラスチックコップなどを使った落とし穴トラップを作って採集するため、基本的にはその場所に設置と回収の2回行く必要があります。しかしながら、冬であれば、1回で見つけることができるので、冬の方が採集しやすいと考える人もいるほどです。
関東の多摩川、関西の淀川の河川敷などでも越冬中の昆虫を簡単に見つけることができます。ぜひ、冬の間も寒さに負けずに様々な場所を訪れて、昆虫たちを探してみてくださいね。冬の探索が夏のヒントになることもよくあります。
昆虫ハンター・牧田習
博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「趣味の園芸 やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ」(NHK)、「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。
著書:「昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本」(小学館)、「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)、「春夏秋冬いつでも楽しめる昆虫探し」(PARCO出版)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my
書籍情報
『昆虫博士・牧田習の虫とり完全攻略本』
著者:牧田 習
定価:1,210円(本体1,100円+税)
体裁:新書判 / 128ページ / 4C刷
発行:小学館
発売日:2025年7月4日
ISBN:9784092274433
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文/牧田習







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