DIME MAGAZINE
数々のヒット商品を紹介しつづけてきた『DIME』は、2026年春に40周年を迎える。そこで2025年11月14日に発売したDIME1月号では「【完全保存版】僕たちを夢中にさせたヒット商品クロニクル」と銘打ち、創刊となった1986年前後を基軸に、時代を彩ったエポックメイキングなモノ＆サービスを振り返る特集を展開した。そこから見えてきたのは、ユーザーの「暮らしを便利にしよう」「楽しくしよう」という作り手たちの〝思い〟だった。
本記事で取り上げるのは1995年7月に登場した「プリント倶楽部」。30年経った今でもゲームセンターの一角で存在感を放っている。いったいどのような進化を辿ってきたのか話を聞いた。
プリクラは写真とともに〝思い出〟も残せるんです
1995年 「元祖」プリントシール機！
『プリント倶楽部』
初代機はセガとアトラスの共同開発。当時は約60秒で1シート・16枚の写真シールがプリントアウト。値段は300円だった。
プリントシール機誕生初期のプリ。「プリクラ交換」という文化が生まれた。
初代のプリクラフレーム。選択して撮影すると、シールが出るということが目新しかった。落書きや補正機能はまだない時代。
2001年 撮りたい画角をチョイス
『やまとなでしこ』
カメラの位置が、上・正面・足もとの3か所に。撮影中にどの方向を向けばいいのか、カメラマンの声で指示が入るように。
2004年 椅子を使った面白ポーズもOK
『美の掟』
撮影ブース内に椅子が設けられ、業界初の「座って」の撮影が可能に。落書きスペースが2か所用意されはじめたのもこの頃から。
2005年 ジャングルジムが中にある！？
『夢見鳥』
人気の高い「ラメ」を楽しめる、「ゴールドラメプリンター」を搭載。ぶら下がり棒なども設置し、エンタメ性溢れる仕様に。
2020年 動画機能を初搭載！
『fiz』
静止画6枚、動画6枚の計12枚撮影可能。専用アプリのカメラをかざすとシール画像が動き出すARプリクラという新機能も業界初。
2024年 理想的な写りを叶える
『GIMMI』
自分が好きなタイミングでシャッターを切ることができる「プリリモコン」を使い、「今ココ！」という盛れる瞬間を押さえられる。
2025年 より直感的に盛れるプリ
『NICO MAKE』
最新プリクラ『NICO MAKE』のココがすごい
『GIMMI』の進化版。シール用撮影4枚＋追加撮影15枚の最大19枚（※）が撮影可能。
フェイスラインなど、自分好みに調整したレタッチを、すべてのプリに自動で反映できる。
※プレイ制限時間内における最大枚数／プリもっと発動時は最大20枚
初代プリクラに居た〝あのキャラ〟今や超有名人！？
アトラスのテレビゲーム『真・女神転生』シリーズで登場する雪の妖精「ジャックフロスト」。今や人気キャラな彼のことを当時は〝プリクラ君〟と呼ぶ人もいた。
撮影「体験」を提供しつづけプリは愛されてきた
藤本 プリント倶楽部は、当時アトラスで営業を担当していた女性社員のアイデアだと聞きました。社内のスタッフが、ゲーム画面をテレビに映し、ビデオプリンターで出力して資料にしていたそうです。それを見て、映像をプリントアウトできるのが面白いと感じていた中、学生がかわいいシールを持ち物に貼っている姿を街で見かけ、顔写真をシールにしたら流行るのではないかと考え、セガと共同で開発されたと。
有川 当時、撮影した写真をその場で印刷できるのは革新的。しかし、前例のない機器のため、すぐにヒットはしなかったようですね。
藤本 たしか、話題になってきたのは、1997年頃ですよね。
有川 人気大爆発のきっかけのひとつは人気アイドルがテレビ番組で取り上げてくださったこと。グループのメンバーがフレームになったプリクラも登場しました。コラボレーションの先駆けですね。
藤本 しかし、その後セガは2000年頃に一度撤退。その間アトラスが新しい機種を展開していました。セガとして再参入したのは2020年で、有川さんはそこから開発に携わってますよね。
有川 ええ。再参入して最初に出したのが『fiz』。「モーメント」という3秒の動画機能を搭載しました。当時はまだSNSでの動画が大きく普及しておらず、これからは「モーメント動画の時代が来る！」と考え、導入しました。
藤本 再参入後、いちばん話題になったのが『GIMMI』ですね。
有川 そうですね。この機種は通常の「受付→撮影ブース→落書きブース」という3つの構成から、落書きブースをなくした。撮影と落書きを同じ空間でできるため、撮影して落書きをして、そして撮影に戻るといったこともできます。
藤本 どこに置いていますかという問い合わせも多かったとか。
有川 「プリを撮りに行こう」から「GIMMIを撮りに行こう」と、ユーザーが積極的に選んでくれるシリーズになったと思います。
藤本 機種名が認知されているのは嬉しいですね。スマホで写真を撮れる時代ですが、プリクラは引き続きご支持を頂いています。
有川 プリクラは単に写真を撮る機械ではなく、そこに至る過程を含めたアミューズメント体験を提供しているところが、支持され続ける理由だと思います。撮りに行く約束をする、撮影に行く、撮った後に話をしたり共有したり……という一連の流れが心に残る。
藤本 確かに、シール自体は手元になくても、思い出せるエピソードは沢山あります。
有川 セガの知見と技術力を使って、これからも「セガのプリクラでしか楽しめない体験」を広げていきたいですね。
株式会社セガ フェイブ
プロデューサー
有川尚毅さん
2020年の『fiz』より、開発に携わる。「セガだからこそ作れる機種」を追求するため、流行りをリサーチすることも欠かさない。
株式会社セガ
広報部 広報課
藤本菜々子さん
2025年よりセガ広報として、魅力を発信。初めて撮影したプリントシール機はおそらく小さい頃に撮った「プリント倶楽部2」。
【プリントシール機誕生初期のプリ】© FURYU CORPORATION 【プリント倶楽部、fiz、GIMMI、NICO MAKE】©SEGA 【やまとなでしこ、美の掟、夢見鳥】ⒸATLUS 【ジャックフロスト】ⒸATLUS.ⒸSEGA. ※「プリント倶楽部」および「プリクラ」は、株式会社セガの登録商標です。
取材・文／田村菜津季 撮影／藤岡雅樹 編集／千葉康永
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