人口の過小評価は政策に深刻な影響を及ぼす

「ダムが建設されると、広大な地域が浸水し、人々は移住を余儀なくされます」と、ラン・リッター氏はプレス声明で説明する。つまりダム建設で移住を余儀なくされた人々の数のデータを活用して人口モデルを構築したのである。
「ダム会社が影響を受けた人々に補償金を支払うため、移住した人口は通常、正確に数えられます。世界規模の人口データセットとは異なり、このような地域的な影響に関する声明は、行政区分によって歪められていない、包括的かつ現地での人口数を提供します。私たちはこれを衛星画像から得られる空間情報と組み合わせました」(ラング=リッター氏)
分析の結果、すべての人口データセットにおいて農村部人口の著しい過小評価が確認された。具体的には「WorldPop」が-53%、「GWP」が-65%、「GRUMP」が-67%、「LandScan」が-68%、「GHS-POP」が-84%であった。
分析対象の307件のうち203件が中国の農村部であったが、中国のデータを除外した分析も行われ同様の結果が得られることが確認されている。
既存の人口統計データとの乖離の一部は、多くの国が正確なデータ収集のための手段を有していないこと、そして遠隔地の農村部への移動が困難なことに起因していることが指摘されている。
国勢調査は資源配分を決定する上で中心的な役割を果たすため、世界中で農村人口の過少推計が蔓延すると、これらのコミュニティに行政サービスなどの点で深刻な影響を及ぼす可能性がある。
数十億人のギャップは大問題
世界人口がすでに100億人を超えていたとしてもおかしくないことが指摘された今回の研究だが、誰もが納得しているわけではないようだ。
香港科技大学のスチュアート・ギーテル=バステン氏は科学メディア「New Scientist」に対し、農村部の人口データ収集への投資を増やすことは有益だが、地球上に私たちが考えているよりも数十億人多い人口が存在するという考えは極めて可能性が低いと語った。
「もし私たちが本当にこれほど膨大な数を過小評価しているのであれば、これは大ニュースであり、長年にわたる何千ものほかのデータセットと矛盾することになります」(ギーテル=バステン氏)
膨大な人口を数えようとすると、数百、あるいは数千人といった数が見落とされる可能性はある。しかし数百万人、あるいは数十億人という数を見落としてしまうと、地球における人類の居住に関する我々の理解は根底から覆されてしまう。科学者たちは、数十年にわたるデータセット研究を再考する前に、もう少し証拠が必要になるだろう。
「地方でのデータ収集にもっと投資するとともに、人口を数えるためのより革新的な方法を考え出すべきだという結論には、私も確かに同意します」とギーテル=バステン氏は研究結果には同意している。
世界人口がすでに100億人を超えているのだとすれば驚くしかないが、地球上で最も数の多い哺乳類である人間だけに、自分たちが考えている以上に実は人間はきわめて強い繁殖力を備えているとも言える。少子化と出生率低下はあくまでも社会問題であり、人類の歴史からみれば問題にすらならないのかもしれない。
※研究論文
https://www.nature.com/articles/s41467-025-56906-7
文/仲田しんじ
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