10月20日は骨粗しょう症の日、29日が脳卒中デー。11月2日が「いい血圧の日」で、14日は「人生100年時代の日」だった。
これら記念日に合わせて、全国各地で健康に関する様々なイベントが開催されたが、今回は現役の医師が登壇して紹介された二つのキーワードから、ヘルスリテラシーの向上につながる情報と、新薬開発の最新情報をピックアップしてみた。
QOLに密接に関連する骨の健康を見直す
ジョンソン・エンド・ジョンソン メドテック(東京都千代田区、代表取締役プレジデント玉井孝直氏)は“人生100年時代”を生きるために、より多くの方がヘルスリテラシーを身につけ、主体的に医療・健康に関われるようにサポートしている。ヘルスリテラシー向上プロジェクト「My Health, Myself ― 私の健康のために、私ができること。」を展開中で、10月20日の世界骨粗しょう症デーに関連して、疾患啓発イベント「親子で話す骨のこと」を開催した。
同社の調査では、日本人は体調不良を感じても様子をみてしまったり、適切な医療を受診できる自信がない、といった傾向があると言う。健康に関する正しい知識と行動は、人生100年時代には欠かせない。特に日常生活の行動に大きな影響を与える骨の健康については、これまであまり注目されてこなかった。
現在、日本で骨粗しょう症の治療を受けている患者は130万人以上(2023年調査)、骨粗しょう症の患者数は8年前に比べて2倍に増加しており、その7割 以上を女性が占める。自覚症状がほとんどないまま進行してしまい、転倒による骨折で発覚することが多い。
重篤化すると生活の質(QOL)や生命予後にも影響する怖い病気だが、骨密度のピークを迎える若年期にいかに骨密度を高く維持するかが、高齢になってからの骨粗しょう症になるリスク軽減に影響する。
何歳からでも可能な骨貯金を減らさない生活
今回のイベントでは慶應義塾大学医学部整形外科教授中村雅也先生と歌手の早見優さんが、骨の重要性について語ったが、中村先生によると、40 代、50代になってから対策しても、決して遅くは無いと言う。
「まずは、骨に関心を持っていただきたいです。骨折してからではなく、怪我をする前に骨って大事なんだと気づいてほしい。(中略)普段の何気ない食生活や運動習慣の中に、大きな変化があるということを、今日皆さんにお伝えできたら嬉しいです」と教えてくれた。
骨粗しょう症予防のためには、食事を見直し、運動により骨貯金を減らさないこと。また、子供には適度な運動や日光を浴びるなど、骨貯金を殖やすよう指導するなど、骨貯金は人生100年時代の需要なキーワードの一つだった。
脳血管疾患は全死因の第4位で3年間に14万2千人も増加
日本人の死因の4位を占めているのが脳卒中などの脳血管疾患。2020年時点の脳血管疾患全体の治療患者数は174万2千人で、2023年には188万4千人となり、わずか3年間で14万2千人も増加している。
脳卒中は主に血管が詰まり脳への血液の供給が滞ることで生じる「脳梗塞」と「脳出血」に分かれる。脳梗塞は脳卒中の約7割を占め、寝たきりとなる原因の第1位である。命が助かっても片麻痺、言語障害、記憶障害などの障害が残るケースも多く、介護度別にみると「要介護4、5」においては認知症を上回り、脳血管疾患が第1位で、本人だけでなく家族や医療経済の大きな負担となっている。
よく知られている通り、脳梗塞は早期治療が重要で、本人の自覚症状が無くても周りの人が気づいて素早く対処することが重要になってくる。脳卒中デーに発表された治療薬の会見で、日本医科大学大学院医学研究科神経内科学分野大学院教授、日本医科大学付属病院脳神経内科部長 脳卒中集中治療科部長須田智先生は、早期発見のための合言葉「BE‐FAST」で、症状を見つけて素早く治療を行ってほしいと呼び掛けた。
B:BALANCE、平衡感覚の異常(立てなくなる。フラフラする)
E:EYES、目(物が二重に見えたり視野が欠ける)
F:FACE、顔(口が歪む。笑顔ができない)
A:ARM、腕や手(物がつかめず落とす。手が上がらない。腕を同じ場所で固定できない)
S:SPEECH、話す(呂律が回らなくなる。言葉が出ない。話が理解できない)
T:TIME、時間(症状が出た時間を記録する。早いほど治療の選択肢が広がる)
急性脳梗塞の治療薬は血栓溶解薬の「組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)」が、ほぼ唯一の薬として利用されているが、これは発症後4.5時間以内の使用に限られている。須田先生も「発症後4.5時間というと長く感じられるかもしれませんが、実際は症状が出て異常と感じられた患者さんが来院されて検査を受けて、正しく診断を下してから投与するまでに、最低でも1時間ぐらいは経ってしまうので、決して長い時間ではありません」と、使用時間は短い。先進国でも脳梗塞患者の5~10%にしか投与されていないと言われている。
こうした問題に対し、新薬開発のベンチャーであるティムス(東京都府中市、代表取締役社長若林拓朗氏)では、急性期脳梗塞の治療薬候補として、SMTP化合物群に属するTMS-007(JX10)を開発し、現在臨床試験を行っている。2021年に日本国内で完了した臨床試験によると、「TMS-007」は、発症後の投与可能時間を約3倍の12時間と大幅に伸ばせる可能性があるという結果となった。
開発を担当した東京農工大学特任教授でティムス取締役会長蓮見惠司氏によると、新薬は「血栓溶解作用」と「虚血再灌流障害抑制(抗炎症)作用」を併せ持っていると言う。「もともと人間の脳内では、自然にできた血栓や出血を自然に治す働きがあります。そうした自然な働きを促すように作用する薬なので、血栓や出血が無ければ働かず、どこにも影響を与えません」としている。
脳血管疾患の年間医療費は2022年に1兆8142億円にもなり、後遺症による介護、リハビリテーションにかかる経済負担も大きい。新薬への期待が高まっている。
病気になったら適切な時に、より効果のある薬を使いたいもの。さらにその前に、病気にならない体づくりや予防は必須課題である。健康や医療に関する情報を正しく判断し、適切な選択や行動をするためには、多くのリソースをうまく活用していく「力」としての“ヘルスリテラシー”が重要なカギになりそう。
健康だからこそ忘れがちな病気のこと。来月12月2日はビフィズス菌の日、13日は「胃に胃酸」の日、28日は身体検査の日である。毎月10日は「糖化」の日、17日は「減塩」の日が記念日として定められている。自分の体を見直すきっかけにしてみては?
文/柿川鮎子
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