猫との暮らし、誰かにアドバイスしてほしいことが多くないですか?
突然だが、筆者の自宅には猫がいる。
一緒に暮らして結構な年月が経つので忘れがちだが、最初に猫を迎え入れた時には知らないこと、分からないことだらけで書籍に頼ることが多かった。
病気や怪我については獣医師に質問すればいいが、習性や適正な食事量についてまでいちいち質問するわけにはいかない。
かといって他に自分の抱える疑問に明確な答えをくれる人というのは、当時身の回りにはそう多くなかった。
猫の飼育については、今も分からないことがいくつかある。
そういった疑問をネットで解決しているという方も多いところだが、エビデンスのない情報を無責任に提示している人もいるので判断も難しい。
「周りに頼れる飼育経験者がいなくても、そういった人と繋がるアプリでもあれば…」と考える飼い主さんも多いかもしれないが、実はそれを可能とするアプリが間もなくリリースされる。
それが“Necovice(ネコバイス)”だ。
このサービス。簡単に説明すると前述のとおり、猫の飼育について不安、疑問点について、プロがアドバイスをしてくれるというもの。
プロとは現役で精力的に活動している保護猫活動家を指す。
多数の猫と接し、習性を熟知し、里親への譲渡活動を行ってきたプロの意見をスマホ一つで得られるというのがNecoviceの強みだ。
今回はそのNecoviceのリリース元である「とーち保護猫の会(東京都渋谷区:代表ジョイ吉さん)」運営事務局の吉村さんに、本サービスリリースの経緯や特色についてインタビューさせていただいた。
相談すべき相手がいない人が猫を保護したときを思って…誕生経緯
松本 Necoviceの正式リリースが間近となっておりますが、これまで前例がない飼い猫との生活を送る上で生じた飼い主さんの悩みに応じる専門のアプリを立ち上げることとなった経緯。それから、リリースまでに生じた苦労話などがございましたら、教えていただけますとさいわいです。
吉村さん Necoviceの運営管理者であるジョイ吉は、日頃、野良猫の保護や里親(新しい飼い主さんのことをこのように呼んでいます)募集を行なっています。
保護猫の譲渡は「譲渡したら終わり」ではなく、猫が新しい家に慣れて、里親さんの家族の一員となれるまで伴走することを大切にしています。
具体的には、以下の事柄についてサポートさせて頂いております。
‐生活環境の整備サポート
例(1)猫の身の回りのお世話に必要なグッズをご案内してそれを適切に設置して頂く。
例(2)脱走防止対策を施して頂く。
‐新しい環境への慣らしサポート
例:臆病な性格の猫を譲渡した場合や先住の動物がいる場合は、いきなり室内でフリーにはせずに、里親さんと一緒に猫たちの新しい環境への慣れ具合をよく観察して、ケージから出すタイミングを決める。
‐ケージ卒業後の関係づくりアドバイス
例:ケージから出した後も、先住動物や新入り猫との接し方を里親さんに伝授する。
上記のことがすべてではなく、譲渡後時間が経ってから、「今度は里親さんご自身が野良猫を保護してしまった」というご相談を受けることもあります。
その時に、ふと「この里親さんは、ジョイ吉という猫ボランティアを知っていたからすぐに相談できたけど、そういう知り合いがいない人は困るだろうな…」と思いました。
最近はネットで何でも調べられますが、その情報は玉石混淆です。間違った情報も多く存在します。
また、獣医さんは獣医療の専門家であり猫の保護や飼育初期対応、例えば「どのように捕まえるのか」や「保護して間もない時は、その後の駆虫や投薬に備えて当面ケージ飼育にすることが望ましい」といったことまで、必ずしもご存知でない場合もあります。
それは、獣医療の知識ではなく、飼育の “経験知”だからです。
実際に、ジョイ吉が譲渡した猫の里親さんの中には獣医さんがいらっしゃるのですが、「猫が粗相(トイレ以外での排泄)をするようになってしまったけど病気ではない。どのように対処したらよいか?」というご相談を受けたこともあります。
そのお宅の猫トイレは屋根が付いているタイプのトイレだったので、「もしかすると屋根がイヤなのかもしれない。試しに外してみて下さい。」とお願いしたところ、粗相はピタッと止みました。
このような実体験を通じて、猫の飼育に関する“本当に役に立つ知識”を必要としている人が多いと感じ、誰でも気軽に専門的な相談ができるサービスを作りたい。その想いからNecoviceの立ち上げに至りました。
アドバイザーは知識・経験・人柄で選出!誰でも気軽に相談できるアプリを目指して
松本 Necoviceではリリース時点で、各地で活躍されております熟練の猫ボランティアさんとの連携もアナウンスされております。
こういった経験値のあるボランティアさんの協力は心強いと感じるのですが、どのような基準でボランティアさんを選定し、またどういった折衝を経て協力をお願いしたのかについて、お聞きしたいのですが…?
吉村さん 前述のとおり、ジョイ吉自身が普段から猫ボランティアとして活動しているため、現時点のNecoviceのアドバイザーは、既に交流のある猫ボランティアさんたちを中心にお声がけしています。
アドバイザーの選定をするうえで重視したのは、「知識・経験・人柄」の3点です。
単に保護活動の実績があるだけでなく、
・相談者に対して誠実に対応できる方
・適切な飼育知識やマナーを持ち、根拠をもって助言できる方
・SNSなどを通じて発信する内容にも責任感がある方
このような基準で判断しました。
お声がけは、一緒に「本気の譲渡会(とーち保護猫の会も参加する合同譲渡会)」に参加している猫ボランティアさんや、SNSを通じて日頃から交流がある猫ボランティアさんたちから始めました。
普段から交流があるため、その方々が相談者さんたちのご相談に応じられるだけの知識やマナーを既に身に着けていらっしゃると分かっていたので、「是非Necoviceのアドバイザーになって欲しい」とお願いしました。
SNSでの交流のみで直接お会いしたことがない方々には、ジョイ吉が自ら会いに伺いました。時には名古屋など各都道府県にも足を運び、アドバイザーとして参加いただく趣旨や責任の範囲を丁寧に説明しました。
Necoviceで相談者さんからお金を頂戴して相談者さんのご相談に応じることは仕事、責任を持って知識を提供する立場ですので、やはり必ず一度は直接お会いして、人柄や考え方を確認したうえでお願いするようにしています。
当初は、ジョイ吉がアドバイザーになって頂きたいと思う猫ボランティアさんたちは、非常にしっかりと活動なさっている方々ばかりのため、「ただでさえ忙しいのに、今以上に忙しくなってしまうのではないか?」と危惧なさる方々も多く、実際、その誤解が解けずにお断りも受けることもありました。
ですが、Necoviceでは、アドバイザーが現場に出向くことはございません。
相談者さんがアドバイスを受けて自ら実践していく仕組みです。
そうすることで、Necoviceは地域にこだわらず全国各地の相談者さんとアドバイザーを繋いで、オンラインで相談者さんのご相談を受けられる体制を構築できました。
また、常々ジョイ吉は、「ボランティアなのだから、何もかもすべて無料でやらなければいけない」という風潮に強い違和感が持っておりました。
ボランティア側がそう思ってしまっているせいもあってか、残念ながらとかく過度な要求をする相談者さんも絶えません。
そこでボランティアは無理な要求に応じてしまい、結果として労力・金銭の両面で疲弊してしまうという事実があります。
本来、自分にできないことを他者に依頼するならば、その事柄にかかる費用は依頼者が負担すべきです。それはアドバイスであっても同じことです。
ですので、Necoviceの利用は有料となります。支払方法につきましては、アプリ内でクレジットカードやPayPayで決済して頂く仕様になっております。
猫ボランティアの知識や経験は、一朝一夕で身につくものではありません。
長年の時間、労力、時には費用をかけて積み重ねてきたものです。
猫ボランティアは、相談されればその相談内容について熟慮して、これまで身につけてきた知識や経験に基づいてアドバイスしています。
アドバイスをするのに、猫ボランティアは自らの時間と労力を使います。
それを『業務』、『仕事』として、アドバイスする猫ボランティアさんたちが正当な報酬を受け取れるようにしたのがNecoviceです。
Necoviceでは、その考えに共感し、責任をもってアドバイスできる方々にアドバイザーとして参加していただいています。
運営元「とーち保護猫の会」に聞く。保護猫譲渡の到達点
松本 Necoviceの運営事務局は「とーち保護猫の会」さんとなっております。
個人的に少し検索させていただきましたが「とーち保護猫の会」さんは日頃から猫の保護や愛護センターからの引き出し、譲渡会など猫と里親さんを繋げる活動もなさっており、感服です。
せっかくですので、「とーち保護猫の会」の活動内容や、発足の経緯などを少しお伺いしてもよろしいでしょうか?
吉村さん「とーち保護猫の会」は2019年10月に発足したのですが、実はその前は全員、別のとある団体の譲渡会に参加しておりました。
しかし、その団体は、今一つ保護猫の譲渡に積極的ではなかったこともあって、自分たちだけでもっと譲渡に積極的な団体を作ろうという話になって、「とーち保護猫の会」を作りました。
SNS等を見ていても、猫に関しては保護ばかりがもてはやされることが多いですが、保護はゴールではありません。
むしろスタートです。
ゴールは正式譲渡になった時です。

猫の保護は、譲渡とセットで考えないと、あっという間に世話しきれない頭数になる可能性があります。
最近は猫ボランティアを名乗る方の多頭飼育崩壊も増えています。
今年は、一人で70匹もの保護猫を抱えて自ら命を絶ってしまった猫ボランティアさんもいましたし、熊本では数万円もらっては猫を引き取って、全く世話せずに100匹超の猫を死なせた猫ボランティアが逮捕されました。
これらは、世間一般のみならず猫ボランティアの間にも「保護と譲渡はセット」という考えが浸透していないせいだと思います。
保護猫の譲渡は決して簡単なことではありません。
譲渡条件をクリアしている希望者さんにしかお譲りできないですし、いざ保護してみたら重い疾患があって譲渡不可という場合もあります。
そのようなケースもあることを踏まえた上で、「譲渡のハードルを下げるわけではないが、譲渡できる猫はどんどん譲渡していく」という考えのもと、「とーち保護猫の会」を発足しました。
猫と一緒に安心できる住みよい環境を作るために、Necoviceは役立つはず…
松本 最後になりますが、猫と暮らしていると一緒に生活したり、最低限のしつけを考える上で、色々と悩む部分もあります。
現状まさにそういう事態に直面している飼い主さんがこの記事を読んでいる可能性も考えられます。
そういった方向けにNecoviceのPRメッセージを、ぜひよろしくお願いいたします!
吉村さん 猫は犬のようには躾けられません。
人間が猫の習性に合わせた環境を整えてあげる必要があります。
逆に言えば、そのような環境を作るだけで問題が解決することも多いです。
そして、飼い猫は意外と飼い主さんのライフスタイルに合わせてくれるような一面もあります。
Necoviceを通じて、猫と人がお互いに歩み寄れる環境を作り出して、猫も人も幸せに暮らせるようになるといいなと思います。
「分からないことは専門家に聞く」ができるアプリ、Necovice!
ということで、今回は間もなくリリースとなるNecoviceについて、ここまで運営事務局の吉村さんから伺ったお話を紹介させていただいた。
何でもそうだが、経験のない状態では最善の行動をとることは難しい。
仕事も趣味も、トライ&エラーで人は成長するものなので、それが当然。
ただ、あまりにヒントやアドバイスが乏しいと自分がやっていることが正しい方に向かっているのか不安になる。
これは動物との暮らしにも当てはまる。
まして猫にとって対策を講じていない室内での生活は意外と危険が多い。
猫にとって有害な食品、観葉植物はかなり多く、口に入るものは誤飲の可能性もある。そのため、当たり前の生活を見直す局面に何度も遭遇する。
接し方も猫それぞれの個性に応じる必要があり、これはやはりプロの意見が欲しい。
体調の変化は目ざとく観察して必要があればすぐに動物病院へ連れて行くことも大事だが、同じように猫の普段の様子にも、飼い主は細やかな観察が求められる。
Necoviceは独力ではなかなか最善の接し方にたどり着けない方にも、プロが必要に応じて個別にアドバイスをしてくれる。
文/松本ミゾレ
【取材協力】
とーち保護猫の会 運営事務局
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