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60周年を迎えた映画「サウンド・オブ・ミュージック」の聖地・ザルツブルグの魅力を探る

2025.11.27

ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」は、60年も前の1965年に公開されました。それにも関わらず、未だにロケ地であるザルツブルクおよびその近郊では、この映画のロケ地巡りが確実にザルツブルク観光の目玉の一つとなっています。60周年で盛り上がるザルツブルクを少しのぞいてみましょう。

ザルツブルクの町中の散策

ザルツブルクの町にたどり着くと、サウンド・オブ・ミュージックのラッピング観光バスがたくさん走っていてびっくり。このバス会社は、映画撮影時に協力しており、映画のヒットをきっかけにロケ地訪問の旅を企画したのだそうです。

町のロケ地観光では素敵な「歌うガイドさん」に出会いました。

待合せの時間に現れたガイドさんは、オーストリアの民族衣装を素敵に着こなしたトゥルーディーさん。参加者一人一人との対話も合間に楽しみながら、とても綺麗な英語で豊富な知識を惜しげもなく放出してくださいました。

ガイドのトゥルーディーさん。

映画と事実の違いも含めたお話はなかなか興味深いのですが、さらに素晴らしいのは、場面ごとに歌を披露してくれたのです。

映画と事実の違い?と思われた方もいらっしゃるでしょうか。

繊細な歴史を含んでいるテーマを、事実に基づいて作ったノンフィクション作品として、このサウンド・オブ・ミュージックはハリウッド映画として仕立てられました。

実はドイツ語圏ではこの映画はあまり知られていないのですが、それはこの映画が作られる10年ほど前には、ドイツ語圏で同じ家族のストーリーが既に2本の異なる映画として完成していたので、あえてノンフィクションを観る必要はないと関心は低く、21世紀まで上映されたこともなかったのです。

一方で、アメリカを中心とする英語圏やアジアでの人気は今でも変わらず強く、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの英語圏ではクリスマスが近づく頃、テレビで放映され、家族揃って観るのだそうです。

映画ファンにとっては大切なモーツアルト小橋。

マリアと子供達が遠足で通ったこのモーツアルト小橋。一体周りはどんなだろうと、私が知りたかった場所の一つです。ザルツブルクの中心部をザルツァッハ川がうねり、その左岸と右岸に町の見どころが分かれています。そこに架かる橋の一つが、このモーツアルト小橋です。川に沿ってバスも頻繁に走っているので、効率よく町を回ることが可能ですが、付近をゆっくり歩いてみるのも良いですね。

モーツアルト小橋の脇。自転車道と歩道の合間には木が一列に並んでいます。

ロケ地といえば、ミラベル庭園も見逃させないスポット。ちょうど太陽が照っていて観光客もたくさん。時間をずらせば、結婚式用の写真撮影に来ていた2組のカップルにも出会えました。

ミラベル庭園は太陽の似合う素敵なスポット。

映画でマリアや子供達が駆け抜けていたアーチ。

バラのアーチ。今はちょっと緑が薄いけど。

緑のぎっしり感は少ないものの、ここを歩きたい人、写真を撮りたい人がたくさん。譲り合いながらの撮影でした。若いアジア人女性3人組も、この近くで映画の場面を思い出しながら、歌を歌っていましたよ。映画が世界を繋ぐ!という感じでちょっと嬉しくなりました。

公共の場で堂々と歌いながら観光する人は普通なかなか居ないのに、ザルツブルクではなぜかそれが当然のよう。他の観光客が歌っていると、自分もその世界に引き込まれる感じが不思議で楽しい。

歌唱コンクールの現場で開催されたガラパーティー

今年10月末、華やかな60周年記念ガラパーティーが開催されたのはフェルゼンライトシューレ、直訳すると岩場の乗馬学校。映画でトラップファミリーが出場した歌唱コンクールの現場です。

映画の関係者、トラップファミリーの末裔、ジャーナリスト、カメラマン、一般の人も含め賑わっていました。演目に出演する民族衣装を着た少年少女も目の前を通り過ぎていきます。

記念写真の撮影ができるように大きなボードがあって、関係者がそこでインタビューを受けたり、写真を撮ったり。

エリザベス・フォン・トラップさん(左)。

トラップ大佐の孫であるエリザベスさんが、私を見つけてカメラ目線をくれました。実は前々日、エリザベスさんはジャーナリストの一行を訪ねてきてくださり、面識があったのです。その時素晴らしい歌声でのギターの弾き語りを披露してくださいました。まさにあの映画の世界の再現で感激しました。

ガラパーティー。

初めて来た場所なのに、ステージを見たら、ああここがあの歌唱コンクールの現場なのね、と脳みそは勝手に認識しています。

映画でトラップ家の子供フリードリッヒ役を務めた映画俳優ニコラス・ハモンドさんもこのガラパーティーの進行役を務めました。

満席の客席を見ると、高齢な方から若い方まで本当にファンの層が広いことを実感します。対話や歌の出し物など、見応えのあるステージでした。

レオポルズクロン城ではシンポジウムが開催

レオポルズクロン城外観。湖に面した映画でも何度も見かける場所。

もう一つの大切なロケ地、ロココ様式のレオポルズクロン城。観光客が勝手に入ることはできませんが、ツアーなどで見学できます。マリアと子供達が停泊しようとしてボートが転覆した、あの場面、思い出しますね。

このお城、一部はホテルのスイートルームとして、または結婚式の会場として使われたり、広い庭では夏にはサウンド・オブ・ミュージックをテーマとしたピクニックなども企画されたりするようです。重要文化財でありつつ、今でも生き続けるお城です。

シンポジウムのパネルディスカッションで話す、ニコラス・ハモンドさん。

パネルディスカッションでは、観光業に関わる人や、映画の関係者が集まりました。マリア・フォン・トラップの孫にあたるクリスティーナさんも参加され、10歳までこの映画を見たこともなかったとお話されました。二十歳の時にアメリカ国内の旅行でレンタカーを借りるために名前を書いた時の反応で、自分が有名なトラップ家の一員であることを初めて実感したのだとか。

クリスティーナ・フォン・トラップさん。

何度もコンセプトが上がり検討されつつ、今まで実現しなかった、サウンド・オブ・ミュージック博物館が、いよいよ来年2026年オープンする見込みですが、クリスティーナさんも娘さんたちとその時再びザルツブルクに来たいとおっしゃっていました。

映画ではトラップ家の家として現れるこのお城は、18世紀にレオポルト・フォン・フィルミアン大司教が建てさせ、その後ザルツブルク音楽祭の創設者の一人であるマックス・ラインハルト氏の邸宅でした。彼のお気に入りの部屋は自分好みに造らせた図書室なのだそうです。

温かい色合い。落ち着きを醸し出す図書室。

とても温かみのある色調に目が奪われます。ゆったりと座って、友と語り合えるスペース、こんな知的で素敵な空間は、なかなか他にはありません。

ゴーリングの聖ニコラウス教会

ザルツブルクから少し離れた、自然の美しい村ゴーリング。ここは映画のロケ地としてまだまだ知られていない、とっておきの場所です。

丘の上にある聖ニコラウス教会。

週末など結婚式が開かれたりすることもあるそうですが、この日地元ゴーリングのコーラス隊が民族衣装を着て、私たちのためにエーデルワイスなどを歌ってくれました。サウンド・オブ・ミュージックの世界が蘇ったようです。

教会の中で地元のコーラスがエーデルワイスを合唱。

サウンド・オブ・ミュージックの魅力

冒頭で紹介したザルツブルクツアーの最後、実はまだ続きがあります。

時間は決まっていないものの、マリアがいたノンベルク修道院から歌声が聞こえる時があるらしいのですが、タイミングよく聴けるかは運次第。

60年経っても変わらない魅力。世代を超えて3世代一緒にザルツブルクを訪れたりするようなファンもいるというのですが、それもこの映画が世の中の動きに惑わされず貫かれる家族愛やオーストリアの魅力がたっぷりに詰まっていて時代に左右されないものだからなのでしょうか。

文・写真/吉村美佳
ドイツ・バイエルン州在住。歴史のある町が好き。レーゲンスブルク公認ガイド。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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