東京都では、お子さんの塾代に活用できる助成制度を実施しています。また、一部の市区でも助成制度を受けられます。利用条件や申請時の注意点をまとめました。申請しても適用されないケースについても具体的に解説するため、申請前・後にチェックしてみてください。
目次
お子さんの塾代が負担に感じるときは、助成制度の利用を検討してみましょう。自治体によっては、塾や習い事の費用に活用できる助成制度を実施しています。
東京都の塾代助成制度をまとめてご紹介します。また、申請時の注意点や適用されないケースなども解説するので、参考にしてみてください。
東京都の塾代助成制度

東京都では、都内在住の中学3年生と高校3年生など向けに学習塾や通信講座などの費用に活用できる資金貸付制度「受験生チャレンジ支援貸付事業」を実施しています。また、市区によっては、独自に塾代に活用できる助成制度を実施していることがあります。
東京都で活用可能な塾代助成制度をまとめました。各制度の利用条件や提出書類、手続きの流れについて見ていきましょう。
■【東京都】受験生チャレンジ支援貸付事業
受験生チャレンジ支援貸付事業とは、中学3年生や高校3年生、定時制高校4年生などの進学を目指す方向けに、学習塾や受験対策講座・通信講座などの受講料や受験料などを無利子で貸し付ける事業です。
対象校に合格する、審査に通過するなどの条件を満たすと返還を免除されるため、貸付制度とはされていますが、実質的には給付制度に近いといえます※。
※例年、約99%の方が返済を免除されています。
利用条件
受験生チャレンジ支援貸付事業では、次の2つの資金の貸付を実施しています。
- 学習塾などの受講料(上限30万円)
- 高校・大学などの受験料(高校受験は上限27,400円、大学等は12万円)
申請できるのは、高校や大学等に進学する子どもを養育する世帯の生計中心者(18歳以上)です。1人の子どもに対して複数年度利用することはできませんが、中学3年生のときに利用した場合は高校3年生のときに再度申請できます。また、以下の条件を満たしていることも求められます。
- 世帯総収入もしくは合計所得金額の合算額が一定額以下である※1
- 世帯の資産額が600万円以下である
- 世帯員が土地・建物を所有していない※2
- 申請時点で、申込者と対象となる子どもが都内に1年以上居住(住民登録)している
- 生活保護受給世帯ではない
- 暴力団員が属する世帯の世帯主ではない
※1 基準額は世帯人数やひとり親世帯かどうかによって異なります。
※2 現在居住中、もしくは生計維持のために必要な土地・建物は一定範囲内に限り所有していても申請できます。
必要書類
貸付事業に申請するときは、以下の書類を提出します。
- 市区町村窓口で受け取った借入申込書
- 申請者の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど。外国籍の方は特別永住者証明書か在留カード)
- 対象の子どもの在学証明書もしくは学生証
- 世帯全員が記載されている住民票
- 申請者の課税証明書
- 申請者の印鑑登録証明書
ひとり親の場合は、上記の書類に加えて児童扶養手当や児童育成手当の受給状況がわかる書類も提出してください。また、受講料を借りる場合は塾のパンフレットや講座申込書、受験料を借りる場合は入試要項も合わせて提出します。
貸付金を借りた後、受講料や受験料の領収書など、資金使途がわかる書類を提出しましょう。貸付金受給前に支払った場合は、他の申請書類と合わせて提出します。
手続きの流れ
受験生チャレンジ支援貸付事業へは、以下の順に手続きを進めていきます。
- 市区町村の窓口で相談する
- 条件を満たしていることを確認し、申込書を作成・提出する
- 審査により貸付が決定した場合は、借用書を作成・提出する
- 貸付金で支払った受講料や受験料の領収書を提出する
- 返済免除の条件を満たす場合は、免除申請をする
不明点があるときは、お住まいの市区町村窓口に問い合わせましょう。
■【文京区】中学生学校外学習費用の助成
文京区にお住まいの方は、「中学生学校外学習費用の助成制度」を利用できることがあります。ただし、この制度は受験生チャレンジ支援貸付事業と併用できないため、両方の条件を満たす場合は利用制度を一つに絞り、申請手続きを実施するようにしてください。
利用条件
中学生学校外学習費用の助成制度は、年に10万円を上限とした学習費を受給できる制度です。上限額に至るまで、年度内で最大2回申請できます。
申し込む保護者は、以下の要件すべてを満たしていることが求められます。
- 文京区内に住所がある
- 中学2年生もしくは3年生の子どもと同居している
- 子どもの学習塾などの学校外学習費用を支払っている
- 文京区就学援助費の補助対象である
- 生活保護受給世帯ではない
なお、学校外学習費用とは、学習塾か家庭教師、通信教育にかかる費用のことで、事業者(法人・個人事業主)が有償で提供しているものです。また、月謝や短期講習料、入会金、教材費などは補助対象ですが、事業者以外が実施した試験費用は含まれません。
必要書類
本助成制度を利用するときは、文京区役所の教育総務課に以下の書類を提出します。
- 申請書兼口座振替依頼書
- 学校外学習の費用がわかる領収書
窓口で直接提出しますが、郵送でも問題ありません。また、領収書が発行されていないなどの理由で提出できない場合は、教育総務課に相談してみましょう。
手続きの流れ
本助成制度は申請期間が定められています。区役所の教育総務課に確認のうえ、次の手順で手続きをしましょう。
- 申請期間内に必要書類を提出する
- 審査後、助成を受けられるときは通知を受け取る
- 申請の際に登録した口座に助成金額が振り込まれる
通常は助成決定から1ヶ月程度で助成金を受け取れます。書類に不備があると助成金受け取りまでの時間が長引く可能性があるため注意が必要です。
■【練馬区】ひとり親家庭向け学習支援事業(学習クーポン)
練馬区では、学習機会の格差解消を目指し、ひとり親家庭に向けた学習支援事業を実施しています。なお、実費ではなく「学習クーポン」として支給されるため、クーポンの金額内であれば複数の学習関連費用に活用できます。
利用条件
ひとり親家庭向け学習支援事業では、以下の学習クーポンを受給できます。
- 中学1・2年生を養育する世帯:年10万円分
- 高校1・2年生を養育する世帯:年15万円分
学習クーポンの支給対象となるのは、以下の要件をすべて満たす世帯のみです。
- 練馬区内に住所を有する
- 児童扶養手当の全額もしくは一部を受給している世帯、あるいは同程度の所得水準の世帯
- ひとり親家庭
- 中学校1・2年生もしくは高校1・2年生の生徒を養育する
- 「練馬区ひとり親家庭向け家庭訪問型学習支援事業」の支援対象ではない
- 生活保護受給世帯ではない
- 対象学年において本事業の学習クーポンを受け取っていない
学習クーポンは、学習塾の初期費用や月謝、教材費、学力テスト代、短期講習費用などに活用できます。利用できる学習塾は本事業の対象事業者に限られます。クーポンを活用する前に確認しておきましょう。
また、クーポンの有効期限は各年度末までです。年度末を超えると利用できないため注意しましょう。
なお、本事業と東京都の受験生チャレンジ支援貸付事業では、対象となる学年が異なります。そのため、本事業で助成を受けた方も、受験生チャレンジ支援貸付事業に申し込むことが可能です。
必要書類
本事業に申請する際の必要書類についての情報は、区役所ホームページでは公開されていません。上記の条件を満たし、まだその年度の学習クーポンを受け取っていない場合は、練馬区役所の本事業運営事務局に問い合わせてみましょう。
手続きの流れ
本事業は以下の流れで利用します。
- 運営事務局から案内文を受け取る
- 案内文に記載されているQRコードを用い、本事業の利用を申し込む
- 運営事務局からIDと仮パスワードを郵送で受け取る
- IDと仮パスワードを使って、電子クーポンシステムにログインする
- 新しいパスワードを設定する
- 電子クーポンを利用できる学習塾を探す
- 学習塾に受講を申し込み、電子クーポンの利用を申し出る
- 電子クーポンで学習費を支払う
学習塾はすでに通っているところであっても、本事業の対象事業者であれば利用できます。今までに通ったことがない学習塾で電子クーポンを利用する場合は、クーポン利用前に学習塾への入塾が必要になります。
塾代助成制度利用時の注意点

東京都で塾代の助成を受けられる制度は多数あります。東京都の受験生チャレンジ支援貸付事業と併用できるケースもあるため、お住まいの市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。また、塾代以外にも家庭教師の費用や模擬テスト代などの補助を受けられることもあります。
自治体の助成制度を利用するときは、以下のポイントに注意しましょう。
- 申請期限を守る
- 返金を求められることがある
- 申込者が限定されることがある
助成対象者の条件を満たしていても、場合によっては助成を受けられないケースもあります。各ポイントについて解説します。
■申請期限を守る
基本的に助成制度は一定期間内のみで実施しています。利用したい助成制度があるときは、まずは申請期限を確認し、期限内に必要書類を提出して申込みの手続きを完了させるようにしましょう。
返済免除が受けられる場合は、免除手続きにも期限が定められていることが一般的です。例えば、受験生チャレンジ支援貸付事業の場合、入学年次の5月までに返還免除手続きを行うことが必要です。手続きを実施しないと免除を受けられないため、返済の義務が発生します。
また、練馬区の事業のようにクーポンタイプで助成が実施される場合は、利用期限にも注意が必要です。利用期限を過ぎるとクーポンが無効になるため、全額自己負担になる可能性があります。有効にクーポンを活用するためにも、受給後すぐに利用計画を立てるようにしましょう。
■返金を求められることがある
助成制度により現金あるいはクーポンを受け取った場合、以下のような状況下では返金を求められることもあるため注意が必要です。
- 必要な書類をすべて提出していない
- 収入要件を超えている
- 塾代が記載された領収書を提出していない
- 助成金やクーポンを本来の用途以外で使用した(転売など)
助成制度によっては「使用した金額の助成を受けるタイプ」ではなく「まとまった金額を受け取り、必要に応じて利用するタイプ」もあります。後者の場合、未使用分の返金を求められることがあります。返金していないと助成金全額の返還を求められる可能性もあるため、残額の扱いについても事前に確認しておきましょう。
また、塾代などの領収書の提出は、助成受給後でも構わないケースがあります。しかし、「いつ提出してもよい」と思っていると提出期限を超えることになってしまい、助成金全額の返還を求められるかもしれません。受給後の提出書類や期限もあらかじめ確認しておきましょう。
■申込者が限定されることがある
塾代などの助成制度は、通常、利用対象者が限定されています。例えば、文京区の中学生学校外学習費用の助成制度の場合、中学2年生か3年生の子どもと同居していることが条件となります。
また、東京都の受験生チャレンジ支援貸付事業では、都内に1年以上住民登録をしていることが必要です。他地域から引っ越してきてすぐの状態では利用できません。さらに世帯収入や資産も一定条件以下であることが必要です。
条件を満たしているか確認しないで手続きを開始すると、結局は受給できず、時間を無駄にすることにもなりかねません。手続きを開始する前に、ご自身が申請条件のすべてを満たしているのか確認しておきましょう。判別しにくいときは、当該事務所などに問い合わせるのも一つの方法です。
教育関連の助成制度を探してみよう

教育は未来への投資です。多くの自治体では子どもの教育費に活用できる助成制度や貸付制度などを実施しています。塾代や家庭教師代などの学校外学習費用の負担が大きいと感じるときは、お住まいの自治体で活用できる制度がないかチェックしてみましょう。
紹介したような制度は、東京都以外でも実施されていることがあります。いずれも助成対象者が限定されているため、申請前に条件をすべて満たしているか確認しておきましょう。
構成/林 泉







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