2026年以降の住宅ローン控除は、延長されると予測されています。住宅の購入を検討している場合は、最新動向のチェックが必要です。
目次
「2026年以降の住宅ローン控除は延長されるのか?」「いつ決まる?」と、気になっている方も多いのではないでしょうか。
2026年以降も延長される可能性があるため、最新動向や変更点をチェックしておくことが大切です。本記事では、現行制度の概要や控除を受ける手続きについて解説します。
住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは、住宅を取得・新築・増改築する際に借り入れた住宅ローンの年末残高に応じて、所得税や住民税の一部が控除される制度です。
ここでは、制度の仕組みや現行での取り扱いを解説します。
■制度の仕組み
住宅ローン控除は、正式には「住宅借入金等特別控除」と呼ばれます。住宅ローンを利用して、住宅を新築、購入、増改築した人が対象となり、住宅取得者の負担軽減とマイホーム取得の促進を目的とした税制優遇制度です。
控除を受けることで毎年の所得税額が減少し、場合によっては住民税からも一定額が控除される仕組みです。
控除期間や控除率、控除対象となる借入金の上限額は、法律や年度によって異なります。
■2025年末までの入居を対象
2025年12月時点での住宅ローン控除は、2025年12月31日までに入居した場合に適用される制度となっています。控除を受けるには、新築・中古を問わず、一定の共通条件を満たすことが必要です。
たとえば、入居する年の合計所得が2,000万円以下であることや、新築の場合は「完成から6カ月以内に居住を開始する」などの要件が含まれます。
さらに、現行制度では2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅が対象に含まれ、住宅の性能区分ごとに細かな条件が設定されています。中古住宅についても、耐震性や床面積などの基準を満たすことで控除の対象となるため、事前に適用条件をよく確認しておくことが大切です。
2026年以降の住宅ローン控除はどうなる?

2025年12月上旬の段階では、2026年以降の住宅ローン減税がどのような形で続くのか、政府から明確な方針は示されていません。ただし、現行制度が年末で終了してしまう可能性は高くないと考えられています。
ここでは、制度が継続されるとみられる理由について解説します。
■税制改正で住宅ローン減税の延長を要望
2026年以降も住宅ローン控除の延長があると予想できるのは、2025年8月末に国土交通省が提出した「令和8年度税制改正要望事項」に、住宅ローン減税の延長と見直しの必要性が記載されているためです。
「税制改正要望」の内容が必ずしも実現するとは限りませんが、政府はこれを参考にして税制改正の検討を進めます。
現状の日本では、まだ誰もが簡単に住宅を取得できる状況ではなく、個人が自費で国の省エネ施策に協力するのも容易ではありません。そのため、住宅ローン控除は完全に廃止される可能性は低く、制度内容を見直しながら延長される見込みが高いと考えられます。
■12月の「税制改正大綱」で判明する見通し
令和8年度の住宅ローン減税の延長や内容が決まるまでには、いくつかのステップがあります。2025年秋ごろには、各省庁・税制調査会が、税制改正に向けての要望について検討をはじめます。その後、12月には「令和8年度税制改正大綱」が決定・公表されるため、ここで概要が判明する見通しです。
2026年以降の住宅ローン控除については、国土交通省や国税庁の公式サイトで最新情報を確認できる可能性があるため、チェックしておくとよいでしょう。
現行の住宅ローン控除の概要

2026年度以降の住宅ローン控除の詳細は、まだ明らかではありません。しかし、税制改正では一部の調整はあるものの、基本的な仕組みは大きく変えずに継続されることが一般的です。
そのため、ここでは現行の住宅ローン控除の内容について確認しておきましょう。
■控除の内容
現行の住宅ローン控除の内容は、以下のとおりです。
| 控除率 | 現行制度では住宅ローン残高の0.7% |
| 控除期間 | 原則13年間(既存住宅で10年間) |
| 借入限度額(住宅の性能に応じて異なる) | ・認定長期優良住宅・低炭素住宅:子育て世帯・若者夫婦世帯5,000万円/その他の世帯4,500万円・ZEH水準の省エネ住宅:子育て世帯・若者夫婦世帯4,500万円/その他の世帯3,500万円・省エネ基準適合住宅:子育て世帯・若者夫婦世帯4,000万円/その他の世帯3,000万円・その他の住宅(2024年以降新築):対象外2023年末までに建築確認済みなら2,000万円まで適用 |
| 控除の仕組み | ・所得税から優先控除・所得税で控除しきれない場合は住民税から控除(上限9万7,500円) |
| 対象期限 | 2025年12月31日までの入居分が対象 |
■適用条件
住宅ローン控除の適用要件は、以下のとおりです。
| 住宅の取得・入居条件 | ・新築、取得、増改築、リフォームした住宅であること・入居は取得から6ヵ月以内に行うこと・対象住宅は省エネ基準や認定長期優良住宅、低炭素住宅など性能に応じて分類 |
| 借入条件 | ・住宅ローンの返済期間が10年以上であること・借入先は銀行や住宅金融支援機構などの認定金融機関 |
| 所得要件 | 合計所得2,000万円以下 |
■控除額の計算・シミュレーション
住宅ローン控除の税額控除額は、以下の計算式で算出します。
年末の住宅ローン残高×0.7%
一例として、年末ローン残高3,000万円の場合、年間の最大所得税控除額は以下のとおりです。
3,000万円×0.7%=21万円
年末の住宅ローン残高は、金融機関から毎年10月ごろに送付される「年末残高証明書」で確認できます。
減税額には上限があり、住宅の省エネ性能ごとに設定されている借入限度額に基づきます。
たとえば、認定長期優良住宅・低炭素住宅を新築した子育て世帯・若者夫婦世帯の上限額は、5,000万円×0.7%=35万円です。年末の住宅ローン残高が5,000万円を超える場合でも、控除の上限額は35万円となります。
なお、所得税で控除しきれない場合は、住民税から控除(上限97,500円)されます。
■控除には確定申告が必要
住宅ローン控除を受けるには、原則として初年度に確定申告が必要です。いつもは年末調整を行っている給与所得者でも、住宅取得に伴う借入金の年末残高証明書や登記事項証明書など必要書類を添付して、税務署に申告しなければなりません。
会社員の場合、2年目以降は勤務先で年末調整によって控除を受けられる場合がありますが、控除を受けるためには初回の申告で正確に手続きを行うことが必須です。
手続きが完了すると、所得税から控除が適用されます。
■2年目以降に必要な手続き
住宅ローン控除の2年目以降は、会社員であれば、年末調整の際に手続きが可能です。税務署からの書類や金融機関発行のローン残高証明書を勤務先に提出するだけで、簡単に手続きできます。
一方、フリーランスや個人事業主など毎年確定申告を行っている場合、2年目以降も控除を受けるためには、必要書類を添付して確定申告が必要です。
住宅ローン控除を活用するポイント

住宅ローン控除を効果的に活用するためには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。
- 税制優遇が大きい住宅を選ぶ
- 中古住宅ならリフォームも検討する
これらのポイントについて、詳しく解説します。
■税制優遇が大きい住宅を選ぶ
購入する住宅の種類によって、借入限度額や控除の上限が変わる点に注意が必要です。たとえば、省エネ基準住宅やZEH水準の省エネ住宅よりも、長期優良住宅や認定低炭素住宅を選ぶと、控除額や借入限度額が大きくなるため、控除をより有効に活用できます。
ただし、控除額が大きくなる分、建築費用も高くなるのが一般的です。そのため、控除額だけで住宅を選ぶのではなく、建築費や維持費、控除によるメリットなどを総合的に判断することが大切です。
■中古住宅ならリフォームも検討する
住宅ローン控除は、中古住宅でも利用可能です。適用条件を満たす中古住宅であれば、住宅ローン控除を利用することで購入費用の負担を軽減できます。
さらに、控除対象となるリフォームを行えば、リフォーム費用も控除の対象となり、費用を抑える効果が期待できます。そのため、中古住宅を購入する際は、リフォームをあわせて検討するとよいでしょう。
ただし、中古住宅の購入とリフォーム工事の両方が必ず控除の対象になるわけではありません。控除が適用される物件やリフォームの内容には制限があるため、契約前に条件を十分に確認することが大切です。







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