好きなものを持ちつづけるのが人生において最高の贅沢

「家のリビングで何げなくテレビを見ていたら、突然自分の歌が流れてきて。あのときは〝一体何が起きてるの?〟って驚きました」
そう話すのは、2017年に大きな話題を集めた「バブリーダンス」を初めて自身が見たときの印象だ。
大阪の登美丘高等学校ダンス部が『ダンシング・ヒーロー』に合わせて踊る動画が、SNSを中心に瞬く間に広がった。当時の社会現象を「不思議な気持ちで見ていました」と笑顔で振り返る。
「私の娘と同じ世代の女の子たちが、オリジナルの振付で踊っていて。嬉しさと新鮮さがありました。実際には、その少し前から平野ノラさんが出囃子のように曲を使ってくださっていたり、さらにもっと前には東海地区のほうで盆踊りでも長年にわたって使われていたんです。ひとつの曲が時代を超えてこんなにも愛されるなんて、本当に幸せなことだなと思いますね」
デビュー30周年を機に、現在は再び本格的な音楽活動を再開させている荻野目さん。自身で作詞作曲をした楽曲も多く、また、ステージではギターも披露している。
「元々、20代前半の頃にギターを手にしたことがあったんです。そのときは難しくて断念したのですが、30代になり、子育てが中心の生活になったときに自分だけの時間が必要だなと感じて、ウクレレを始めたんですね。そしたらすごく楽しくて。
その後、イベントなどで弾く機会があったのですが、主人から『ライブではやっぱりギターのほうがいいと思うよ』とアドバイスをもらい、それで再びギターと向き合うようになりました」
楽器を演奏するようになり、音楽との向き合い方にも変化が。
「バンドメンバーと一緒にグルーヴを作れるって、こんなに楽しいんだ!って思えて(笑)。それに、どんなことでも、もっと自由に楽しもうという気持ちを持てるようにもなったんです。それまでは曲を作るにしてもテーマにこだわりすぎたり、窮屈に考えてしまっていたんですね。
でも、歌いたいことを曲にすればいいんだと思うようになってからは自然とメロディが浮かぶようになり、お客さんもその曲をすごく喜んでくださって。今は、自分の心にまっすぐに表現していくことの楽しさや大切さをあらためて噛み締めています」
「きっと人生も同じだと思うんです」と荻野目さんは続ける。
「最近はSNSで自分の好きなものを写真でアップしている人が増えてますよね。それって本当に素敵なことだなと思えて。私も年齢的に人生の折り返しに入り、少しずつミニマムな生き方にシフトしていかなければいけないのかなと考えるようにもなりました。
でも、やっぱり〝好き〟と思えるものは人生の宝物として持ちつづけたいと思うんです。実際、最近は大好きだった虫の図鑑をまた買い集めたり、虫の曲やコンテンツを作ったりするようになりましたし(笑)。
そうした自分を幸せにしてくれる〝好き〟なものにはお金に代えられない贅沢さがありますよね」
名曲『ダンシング・ヒーロー』は時を超えて愛されるように


2017年の日本高校ダンス部選手権において『ダンシング・ヒーロー』の曲に乗せてボディコンの衣装で激しく踊る登美丘高等学校のダンスが話題に。当時部長だった伊原六花は現在女優として活躍中。
取材・文/倉田モトキ 撮影/干川 修
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