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2026年4月に施行される「年金制度改正法」とは?6つの変更点を解説

2026.01.16

2025年6月成立の年金制度改正法は、2026年4月以降、段階的に施行される改正法です。厚生年金への加入対象者が拡大することに加え、標準報酬月額が引き上げられ、遺族年金制度の男女差が解消されるなど、多方面にわたる変化が予想されています。主な改正点をまとめて解説します。

2025年6月に成立した年金制度改正法は、2026年4月以降、段階的に施行されます。従来の年金制度から何が変わるのか、生活にどのような影響が生じるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

年金制度改正法の主な6つの改正点を詳しくご紹介します。将来に備えるためにも、年金制度への理解を深めておきましょう。

年金制度改正法とは?

貨幣価値やライフスタイル、価値観など、社会を構成する要素は常に変化しています。国民生活を保障する手段である「年金制度」も、社会の変化に合わせて変わることが求められています。

2025年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が提出され、修正のうえ、6月13日に成立しました。新しい「年金制度改正法」は男女差を解消し、ライフスタイルや世帯構成の多様化に注目し、さまざまな見直しが実施されています。

■年金制度改正法の意義

年金制度改正法の施行により、次の変化が期待されます。

  • 所得再配分の強化
  • 私的年金制度の拡充
  • 受給条件の男女差解消

いずれも高齢期の生活安定につながる変化です。老後資金の計画を立てるうえでも、年金制度改正法のあらましについて確認しておきましょう。

■年金制度改正法の施行スケジュール

2026年4月以降、年金制度改正法が施行されます。すべての項目が同時に施行されるのではなく、以下のように段階的に実施される予定です。

  • 社会保険加入対象の賃金要件の撤廃:2026年4月から3年以内に実施
  • 社会保険加入対象の企業規模要件の撤廃:2027年10月~2035年10月にかけて段階的に実施
  • 社会保険加入対象を常時5人以上を雇用する事業所に拡大:2029年10月から実施
  • 在職老齢年金の減額基準を月62万円に引き上げ:2026年4月から実施
  • 遺族厚生年金の男女差解消:2028年4月から実施。ただし、女性については20年かけて段階的に実施
  • 子どもの遺族基礎年金の受け取り:2028年4月から
  • 厚生年金等の標準報酬月額の上限を月75万円に引き上げ:2027年9月~2029年9月にかけて段階的に実施
  • iDeCoの加入可能年齢の上限を70歳に引き上げ:2026年4月から3年以内に実施
  • 企業型DCの拠出上限額を月6.2万円※に引き上げ:2026年4月から3年以内に実施
  • 企業年金の運用状況を公表:2026年4月から5年以内に実施

※2025年12月時点における予定金額

年金制度改正法の主な改正点

年金制度改正法による従来の年金制度の主な改正点※は次の6つです。

  1. 社会保険(厚生年金・健康保険)加入対象者の拡大
  2. 在職老齢年金制度の見直し
  3. 遺族年金制度の見直し
  4. 厚生年金等の標準報酬月額の引き上げ
  5. 私的年金制度の見直し
  6. 基礎年金の給付水準の底上げ

それぞれの改正点について解説します。

※2025年12月時点で公表されているポイントのみ解説します。

■1.社会保険(厚生年金・健康保険)加入対象者の拡大

国民年金と国民健康保険は原則として日本国内に居住するすべての人が加入します※が、厚生年金や、国民健康保険以外の公的健康保険(被用者保険)はそうではありません。一定条件を満たす事業所で働くことなどが求められるため、加入できない方も多くいます。

厚生年金や被用者保険は、国民年金・国民健康保険と比べて保障が充実しているだけでなく、保険料の半分を雇用主が負担するため、被保険者にとってメリットが多い制度です。年金制度改正法では、加入対象者を拡大し、より多くの方が医療費や老後資金に備えやすい環境構築を目指します。

※国民年金は原則として満20歳以上60歳未満のみ、保険料納付の義務が課せられる

短時間労働者の加入要件の見直し

従来の制度では、従業員51人以上の企業で働く方が、以下の条件すべてを満たしたときのみ社会保険の加入対象となっていました。

  • 週20時間以上勤務する
  • 給与が月88,000円以上である
  • 2ヶ月を超えて働く予定がある
  • 学生でない

改正法では企業規模の要件が段階的に撤廃され、なおかつ週20時間以上働くなら給与の金額にかかわらず社会保険に加入できるようになります。時給が低く加入要件を満たさなかった方も厚生年金保険や被用者保険への加入でき、保険料の軽減や社会保障の充実を期待できます。

個人事業所の適用拡大

個人事業所で働く方が厚生年金などの社会保険に加入するためには、勤務する事業所が常時5人以上を雇用し、なおかつ製造業や医療などの法律で定められた17の業種に属している必要がありました。改正法施行後は、業種を問わず労働者の人数の条件さえ満たしていれば加入できるようになります。

ただし、労働者の人数条件を満たしていない個人事業所に関しては、改正後も対象外です。また、改正法施行時に存在する事業所に関しては、従来法の17業種以外に属している場合は改正法の対象から除外されます。

加入対象拡大推進のための支援

社会保険の加入対象が拡大されることで、労働者によっては保険料の負担が増加することがあります。例えば、今まで配偶者の扶養範囲内で働き、国民年金保険料や健康保険の保険料を納付していなかった方も、「給与が月88,000円以上」という要件が撤廃されたことで、保険料を自分で負担する必要が生じるかもしれません。

社会保険の保険料は原則として雇用主が50%負担しますが、今まで納付していなかった方にとってはたとえ残りの50%とはいえ負担が高いと感じる可能性があります。そこで改正法施行後3年間は75%を雇用主が負担し、労働者の負担割合を25%に軽減する支援策が実施されます※。

※社会保険料の軽減支援策は、事業所側からの申請が必要です。

■2.在職老齢年金制度の見直し

年金を受給しながら働く高齢者は、賃金が月50万円を超えると老齢厚生年金の金額が減額されますが、改正法施行後は減額基準が月62万円に引き上げられます。

改正後は保険料の負担に応じた年金額を受給しやすくなり、より積極的に働けるようになると期待できます。高齢者の社会参加の活発化、また、人手不足の解消なども期待できるでしょう。

■3.遺族年金制度の見直し

現行法では、遺族厚生年金の受給要件は男女において差がありました。遺族年金制度はそもそも働いていないあるいは給与が少ない女性を想定した仕組みであったため、女性のほうが受け取りやすくなっています。

また、子どもが遺族年金を受給するには、被保険者の配偶者がいないことが条件でした。改正法では、父や母と生計を同じくする子どもも遺族年金を受給しやすくなります。

男女差の解消

現行法では、30歳未満で配偶者と死別した女性に対しては、遺族厚生年金は5年間のみ給付されます。また、30歳以上については無期給付です。一方、男性は死別時の年齢が55歳未満の場合は受給できず、55歳以上で死別した場合のみ、60歳以降から無期限で給付を受けられる仕組みです。

改正法施行後は、男女ともに次の条件で遺族厚生年金を受給します。

  • 死別時の年齢が60歳未満:5年間のみの給付
  • 死別時の年齢が60歳以上:無期限での給付

ただし、配慮が必要なケースにおいては、死別時の年齢が60歳に満たない場合も5年を超える給付を受けられることがあります※。

※いずれも養育する子どもがいない方のケースです。子どもがいる場合は給付条件が変わります。

子どもの遺族年金の受け取り

現行法では、配偶者のみ遺族年金を受給できる仕組みのため、子どもが受給するには「被保険者の配偶者がいないこと」が条件として課せられていました。改正法施行後は、父や母(被保険者の配偶者)と生計を同じくする子どもであっても、父や母が遺族基礎年金を受け取れない場合には、子ども自身が遺族基礎年金を受給できるようになります。

例えば、次のようなケースでは、子どもが直接遺族基礎年金を受給することが可能です。

  • 遺族基礎年金を受給していた父・母が再婚し、受給資格を失った
  • 父・母が収入要件を超えているため、遺族基礎年金を受給できない
  • 子どもを養育している父・母が死亡し、子どもが離婚していたもう片方の親に引き取られた
  • 子どもが祖父母などの直系血族の養子になっている

ただし、ケースごとに受給可否が異なるため、年金事務所などに相談するようにしてください。

■4.厚生年金等の標準報酬月額の引き上げ

厚生年金等の保険料は、標準報酬月額などをベースに算出されています。標準報酬月額が高額になると保険料が高くなりますが、その分、年金額にも反映される仕組みです。

従来法では標準報酬月額の上限が月65万円のため、実際には月65万円を超える報酬を得ている方も、一律で月65万円の標準報酬月額に適用される保険料を支払っていました※。改正法施行後は標準報酬月額の上限が75万円に引き上げられるため、高収入を得ていた方は現行以上に高額な厚生年金を受給できるようになります。

※標準報酬月額と月収は異なります。

■5.私的年金制度の見直し

老後に備える方法は、国民年金や厚生年金といった公的年金制度だけではありません。iDeCoや企業型DCなどの任意加入の「私的年金制度」も活用できます。公的年金制度では老後資金が心もとない場合などは、私的年金制度を検討できるかもしれません。

年金制度改正法では、私的年金制度の見直しも実施されます。主な変更ポイントは次の3点です。

  • iDeCoの加入年齢の引き上げ
  • 企業型DCの拠出限度額の拡充
  • 企業年金の運用の見える化

各ポイントを解説します。

iDeCo加入可能年齢の引き上げ

現行法では、iDeCoに加入できる上限年齢は60~65歳(働き方や国民年金への加入状況によって異なる)でした。改正法施行後は、働き方や国民年金の種類によらず70歳までiDeCoに加入できるようになります。

iDeCoの加入可能年齢が引き上げられることで、老後資産の準備期間が長期化します。また、iDeCoの拠出限度額の上限も、今後引き上げられる予定です。

企業型DCの拠出限度額の拡充

企業型DCの加入者掛金は、従来、事業主掛金の額を超えることができませんでした。改正法施行後は、拠出限度額の枠内であれば事業主掛金の金額を超えて拠出できるようになります。また、拠出限度額も引き上げが予定されています※。

※2025年12月時点

企業年金の運用の見える化

改正法施行後5年以内に、企業年金の運営状況を厚生労働省がまとめて公表することになります。他社の運営状況と比較できるようになり、より透明性の高い運営の実現が期待されます。

■6.基礎年金の給付水準の底上げ

貨幣価値の下落や物価上昇に伴い、基礎年金が社会情勢にそぐわないという声も高まっています。年金制度改正法の施行後、基礎年金の給付水準の底上げも実施される予定です。

給付水準低下への対応

基礎年金額は、社会や経済の変化を反映したマクロ経済スライド方式により決定されています。

この方式では不況下では基礎年金の水準低下が見られますが、改正法施行後は法制上の措置を取り、給付水準の上昇策を講じることが決まりました。また、給付水準措置の実施により年金額(基礎+厚生報酬比例部分)が低下する方には、その影響を緩和する対策も実施されます。

【モデル年金1人分】受給総額への影響

経済の推移が思わしくない場合、給付水準上昇策が実施される予定です。

対策実施後は、モデル年金1人分(基礎年金6.7万円、厚生年金の報酬比例部分4.6万円)で見ると、62歳以下の男性と66歳以上の女性は、年金の生涯受給総額の増加が期待されます。また、高所得者の一部を除く38歳以下の方も、生涯受給総額の増加が見込まれています。

将来の資金計画に役立てよう

年金制度改正法の施行により、将来受給できる年金額が変わります。老後資金の準備にも影響が生じるため、ぜひご自身に関わる変更点を確認しておきましょう。

また、公的年金だけでは十分な老後資金を得られない方は、私的年金制度や民間の個人年金なども検討できるかもしれません。将来の不安を軽減するためにも、一度、老後資金について考えてみましょう。

構成/林 泉

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