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時代を動かしたモノとは?小山薫堂さんが語るDIME創刊40年のヒット商品史

2025.12.25

小山薫堂さんは、『DIME』の創刊2年目となる1987年から執筆をスタートした。

そんな40年の変遷を知るキーマンに、創刊前年、85年生まれの編集長が、『DIME』の出発点から現在までを通して、変わったこと、変わらないことを聞いた。

小学館DIMEトレンド大賞と共に振り返るヒット商品の歴史とは?さらに、今後に向け、小山さんが『DIME』に熱望する2つの使命とは――。

小山薫堂さん(右)

放送作家、脚本家。京都芸術大学副学長。1964年熊本県生まれ。人気番組や映画作品を手がけ、脚本を担当した『おくりびと』は、第81回米アカデミー賞外国語映画賞に輝いた。2025大阪・関西万博ではテーマ事業プロデューサーを務めた。

DIME編集長 石﨑寛明(左)

創刊当初の『DIME』の強みはトレンドの種の発掘だった

石﨑 小山さんには、創刊2年目の1987年から、『DIME』で執筆いただいているんですよね。

小山 大学を卒業した翌年ですね。在学中、吉田照美さんのラジオ番組のADをしていた関係で、卒業後は照美さんを広告塔に、原宿・竹下通りで『バナナトリップ』というTシャツ屋を立ち上げました。ところが10か月で潰れ、本格的に放送作家としての道を歩みはじめた頃(笑)。当時、テレビ番組『11PM』の見習い作家をしていまして、ネタの参考にしていたのが『DIME』です。縁あって、「Data Watching」(※87年10月15日号)という企画で、「バカ息子」をテーマにした記事を書かせてもらいました。これが僕の雑誌デビューになりました。

石﨑 小山さんは、当時の『DIME』はどのようなカテゴリーの雑誌ととらえていましたか。

小山 ちょうどマーケティングの概念が広がりはじめた時代と重なります。『DIME』も世相や流行を分析し、トレンドの種を作り出す雑誌という印象でした。確かトレンドという言葉も『DIME』から生まれたんですよね。自分たちの見つけた面白いモノ・コトを「これがトレンドだ!」と言い切ることで、リアルな流行へ変える力を持っていました。

記事内容は硬軟二刀流!グラビアもありました

創刊号

1986年(昭和61年)5月1日に発売された創刊号。表紙の女性がかぶるのは。歩きながら飲めるドリンキング・ヘルメットだそう。

この記事をきっかけに『11PM』で特集が組まれた

「Data Watching」

小山さんが『DIME』で初めて執筆した「ザ・バカ息子」を分析した「Data Watching」の記事。連載自体は現在もつづいている。

石﨑 創刊から10年以上、女性モデルを起用しつづけた表紙のビジュアルにも時代を感じますね。

小山 おそらく、男性読者に向けた戦略だったのでしょう。今では信じられないかもしれませんが、当時は「これを持てば異性にモテるだろう」という心理が大きなトレンドを生み出していました。流行が恋愛に直結していたように思います。今の若者も「可愛くなりたい」「カッコよくなりたい」という願望で消費行動をとりますが、根底にあるのは異性にモテたいという下心より、自己満足や自己肯定感を満たしたい思いが強いと思いますね。

石﨑 外向きの消費から、内向きの消費に変わったということですね。確かに、主観的ウエルビーイングの方向に向いていると感じます。

小山 時代が移り変わる分岐点となったのが、IT業界で成功を収めた若手経営者たちが消費をリードし、新たなムーブメントを生み出すようになったこと。お金の使い方や、価値観も変化しました。一番、時代のスイッチを実感したのは、2003年に開業した六本木ヒルズのオープニングパーティーに招待された時ですね。現在のインフルエンサー的な人たちと情報交換が行なわれ、「ここから次のトレンドが生まれていく」と強く感じました。同時に、それまで流行を作ってきた様々なメディアが一気に追い越されたような気分になったことを覚えています。

石﨑 情報の発信源の多様化が始まったわけですね。

小山 個人、街、場所など、どんどん多重化していきました。

現代の消費行動はヒルズ族から始まった

六本木ヒルズ

2003年に開業した六本木ヒルズには多くのIT長者が集結。ヒルズ族といわれた若き経営者は旧式の消費行動や価値観を変革しこの場所から流行が発信される時代に。

想像すらできなかった『iPhone』がつくり出した世界

石﨑 1990年代後半からは、デジタル機器、デジタル家電などを中心に、ビジネスパーソンに向けて新しいライフスタイルを提案する記事が増えていきます。

小山 同時代のトレンドをウォッチする企画が増えましたね。

石﨑 小山さんにはトレンド大賞の審査員としても長く関わっていただきましたが、記憶に残っているヒット商品はありますか。

小山 2000年以前のヒット商品は、既存のものに何かを足すことで新しい価値を生むような、想像の範囲内のヒット商品が多かった気がします。それを打ち破ったのが『iPhone』でした。電話の進化として、携帯電話の登場までは想像できたと思いますけど、電話でありながら、通話よりむしろ、SNSやメッセージでコミュニケーションをとるデバイスになるとは予測すらできませんでした。スマホと一緒に急成長した『Instagram』などのSNSアプリもまた想像が及びませんでしたね。

DIME

石﨑 『DIME』の企画や記事で印象深いものはありますか。

小山 コスパやタイパが流行の要素として捉えられたのは意外でしたね。昔から良品や、アイデアの面白いものは注目されていましたが、実用性が問われるという風潮は、ここ5年で急激に浸透しました。

石﨑 エコやSDGsのトレンド化も影響していますね。

小山 記事以外に、ここ数年で一番衝撃を受けたのは付録なんです。それもどんどん豪華になり、一時は付録に命をかけてる感じすらありましたよね。どう原価調整しているのか、感心しましたね。

石﨑 そこですか(笑)。

大衆が情報に流された時代は国民的ヒット商品が続々

『だっこちゃん』

半年で240万個売れした1960年発売の『だっこちゃん』のように、’90年代までは誰もが知るヒット商品が数々誕生。現代ではヒットがニッチ化している。

流行の種を光で照らし好奇心を鍛えることが使命

小山 石﨑さんは、雑誌全体の売り上げが低迷する逆境の時代に編集長となり、今後どこに重点を置いて、編集をされていきますか。

石﨑 「推し」や、「IPコンテンツ」を特集のフックにして、これまでの読者に加え、より多くの人の手に取ってもらうようにしています。

小山 確かに昔は自分がいくら推しても何も動かなかったけど、今は自分が推して、ファンが集まれば動く時代ですからね。

石﨑 そこは40年前に比べ最も変化したことかもしれないですね。

小山 ただ、メディアってどうしても光り輝いているものに寄っていくんですけど、本当は、必要なのに光が当たらないところを照らすのがメディアの使命だと思うんです。『DIME』には、これが流行ればみんながもっと便利になるものや、日本がもっと強くなるものを発掘していく、トレンドサルベージメディアになることを期待しています。

石﨑 本当に新しい発見かどうかの見極めが難しいですけど、光のあて方によっては、『DIME』らしさを打ち出せるかもしれませんね。

小山 みんなが「へ~っ」て言えるような面白い情報がそろえば、きっとニーズがあると確信しています。年を重ねても人の好奇心って無尽蔵であり、それが若さを保つ秘訣だとも思っています。これからもずっと、『DIME』は好奇心を鍛える雑誌でありつづけてほしいですね。

長くつづいた連載『レッドデータリスト』

2006年2月7日号

『レッドデータリスト』

絶滅の危機にある商品を小山さん視点で分析した連載で、メーカーから候補を募集も。写真は『ジンギスカンキャラメル』を紹介した記事。

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DIME最新号

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2025年12月16日(火) 発売

来年末は、DIME本誌で答え合わせ!?来る2026年、盛り上がるだろう意外なブームを各ジャンルの識者・編集部員が大予言! IT、マネーから旅行にファッション、グルメまで……”一年の計”を先取りできる最新号!

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